15.ダンジョン(6)
先に進めば、洞窟があった。まるで、その洞窟に入ってほしくないのか複数のギミックが用意されていた。1つ目はパズルみたいで、洞窟の入り口の壁の一部が出っ歯ているのだ。これを平たんにするのか全部出し切るのかはわからないけれども、どちらかにそろえることでパズルを完成させることができるのだと思う。
現状のパズルの状態は鑑定で範囲を確認すれば、縦10横10の正方形範囲で操作ができるのだと思う。
「花のお兄さん、これ解いてみてもいい」
「もちろんいいとも、けれどいいのかい?」
「なにが?」
「なにか、探しているのかなと思ったのだけれど」
「え、特になにも探してないよ。人探しはしてるけれど、長期的に探す予定だから。それに、未踏ぎみのダンジョン探索のほうがいいのかなって」
「そうなんだね、解けたら教えてね」
花のお兄さんはそう話すと、少し離れたところからこちらを観察する体勢になった。何を観察することがあるのかはわからないけれども、そんな感じになったのだ。
パズルの1つ出っ張りを押してみると右から3番目上から6番目と右から8番目上から9番目が出た。押した場所が右から1番目、上から7番目だった。右から3番目上から6番目を押すと右から4番目上から4番目と右から7番目上から2番目が出っ張る。右から4番目上から4番目を押そうと触ってみると肌触りが違うような気がした。しかし、鑑定を試してみても結果は何も出てこないことになった。もしかしたら、花のお兄さんならわかるのかなと思い、盗み見たけれども手を貸す気はないのか完全に傍観者の体制をくずす様子はなかった。
【花ビッシさんがコメントしました】なにかみつけたの?
【炎拳の喧嘩王さんがコメントしました】説明がほしい
「えっと、パズルなんですけれどもいま私が触っているところの材質が少し違うような気がしたんです。けれど、鑑定術が低いからか判定結果を上手く出せなかったんですよね。けれど、同行者の花のお兄さんは完全に傍観の姿勢なんでどうしようかなと思いましてね」
【いっヌ至上主義さんがコメントしました】練度の問題なんだろうね
【匿名希望さんがコメントしました】ヒントをやろうか?
【束縛から放たれし英雄さんがコメントしました】俺がしよう
【こっくりと狐さんがコメントしました】みんなシオンちゃんの意見聞かないとね
ヒントを渡すと言い出すコメント欄を見ながら、ここでもらっても面白みがないのかもしれない。ならば、自力で解くのがいいのだろう。
「みなさん、ありがたいのですが自力で頑張りたいかなと思います」
その一言を伝えたら「そっか、頑張って」や「応援してるよ」などのコメントが来ている。応援してくれるのがうれしいなと思えた。
このパズルの鍵は触感を確認するのが重要なのかもしれない。10×10のパズルで、でっぱりは右から4番目上から4番目の場所だった。俺のアバターからしたら高い位置になるが、花のお兄さんの身長ならギリギリ通れる高さになる。もしかしたら、ドアなのかもしれない。それならば、高さは、これ以上高くなることはないのだろう。ならば、左右の幅を想定するべきだろう。それを考えながら、出っ張りを押していく。上手く出てきてくれる場所もあれば、出したままがいいところが引っ込んでしまうことがあった。
それなりの回数を繰り返してみて、全容が見えてきた。縦6×横4のであった、いまはあと1つが出てきてくれれば解決出来るところまでもってきた。そして、唯一ざらつかない場所を押してみればすべてざらついていた場所のみが出っ張るようになった。
その瞬間、壁一面が変化する。今まで洞窟だと思っていた場所は家屋のなかだったのだ。そして、花のお兄さんは椅子に座っていたのだ。それを見た瞬間に花のお兄さんにはこの場所に初めから見えていたのだと思った。
「これが初めから見えてたの?」
「ああ、見えてたよ。君には見えてないみたいだから放置してもいいかなと思ってたんだよね。でも、自力でこの魔術を解いたんだから大したものだよ」
「そうなんだね」
花のお兄さんの顔を見れば本当にすごいものをみたといった顔をしていた。それが、どういう意味なのかを理解する。彼の目には俺があの男にとっては下の下なんだろう。ただ、魔法についての知識があるから興味があって関わっているだけなのだ。それならば、関わることをやめるのも彼の都合なのだろう。そう感じてしまえば、いとも簡単に信用しない方がいいのかもしれないと思い始めてくる。それでも、行動を一緒にすると決めたのだから最後まで信じきっていこうと思う。
「ここは一体誰の家なんだろう?」
「さあね。でも、ここに幻影をかけて人々を外に追い出そうとしていたんだ。塔もここにいる人物を封印したままがいいとでも思っているんだろうね」
「塔?塔ってなんなの」
「きみ、もしかして本当にこの場所について詳しくないのかい?」
「え、えっと、どういうことなの」
「質問に答えてほしいんだ。君は、もしかして……」
なにか花のお兄さんが言おうとした。その瞬間花のお兄さんの姿が消えたのだ。まるで、俺になにか伝えない様にしたいのかよくわからないけど。コメント欄すらも動揺を隠せていない。「俄然性が働いたか」というコメントだけが異彩を放っているような気がしたのだ。
「えっと、なんでか花のお兄さんが消えたんですけれどこれはバグかなんかですかね。バグ報告した方がいいのかな」
そんなことを思いながら、1人でこの家屋をあることにしたのだ。




