14.ダンジョン(5)
ポーションを飲まずに近づいたからだろう、花のお兄さんの驚く顔が見えた。たぶん、速度が足りないといったのに速度を上げず近づいたことが原因だろう。一定の距離に近づけたから気になる部分をみることができた。そこには『スイッチ』との結果を見つけることができた。それに、気を取られて弾き飛ばされることになったが書いてあったことを思いだす。
『食人植物ロボットのスイッチ
このスイッチを触ることを禁止!』
と書かれていた。なぜ、触ったらいけないのかわからないけれどもあれが電源のスイッチなのであればあれを触ればいいのかもしれない。そう思い、ポーションを飲む。ポーションは薬らしく苦みを感じるが、どこか甘みもある。小さいころ風邪をひくと病院から処方されていたシロップの薬みたいに思える。もし、ポーションとよばれるのものが同じような味ならば飲むのを避けたくなる。
「花のお兄さん、これから仕掛けます。援護お願いしますね」
「ああ、わかったとも」
その言葉を皮切りに戦闘が再開される。
鑑定術中級を展開しながら、近づく。速さをあげたからだろうけれども、敵の攻撃を避けることが可能になっている。右や左はたまた、上や下からの攻撃を避ける。現実ならこんな動きをすることはできないのに、想像力だけでできるのならすごいや。第二の現実とか言われているけれど、こういうところはゲームなのだと感じれる。
シオンの動きは、縦横無尽に動き回っている。ツタの攻撃もそれに感化されてなのか速度が上がっている。花のお兄さんもシオンの動きに合わせて防御を部分部分で展開しながら、援護射撃のような攻撃をしてくれている。ツタがその攻撃を防ぐ動作をするとスキが生まれる。それを利用しながらスイッチへと近づいていく。食人植物ロボットも俺の目的をしってなのか、シオンへと集中し始める。しかし、気が付くのが遅かったのだろう、シオンへと攻撃が入る前にスイッチへと触れることができた。
その瞬間、機械の動きが早くなった。ポーションで加速のドーピングをしているはずのシオンでもその速度に追いつくことはできなく外へと弾き飛ばされる。視界の片隅で花のお兄さんの驚く顔が見えた。その顔で防御魔術の展開が間に合っていないのを理解できる。じっさいに、すごい衝撃を感じたのだ。過去にも感じることがないくらいの大きな衝撃だ。痛みを感じないとは驚きだったが、遅れて鈍い痛みを感じる。たぶん、骨が折れていると思う。とっさに、腕でかばったがそれでも肋骨まで折れているような錯覚をする。
ロボットの方に目線を向ければ、ロボットは法則性がなく動いている。その動きがどんどん早くなっている。しだいに、その動きに体が耐えられなくなったのか部品と部品の接合部から火花が出始める。そして、大きな音を立てて部品が落ちていく。自身へと攻撃もしているのか、どんどんいろいろな部品が弾ける。しだいに動かなくなり、完全に活動を停止させた。
「……ッ、たお、せた……?」
「すまないね、さきに回復をしよう」
いつの間にか花のお兄さんがそばに来ていた。そして、彼の手には何かのネックレスがあった。それを俺にかざすと痛みがみるみると引いていく。そして、傷もなにもない状態に戻った。これがHP回復で解消されたのだろう。
【狂えるものの長さんがコメントしました】ここ、あいつがやらかしをかくしたところじゃん
【花ビッシさんがコメントしました】なんか知ってる人いるんだけどw
【♰闇の覇者♰さんがコメントしました】なんだかまずい人きてて草
【悪戯好きの気まぐれさんがコメントしました】おや、バレてしまいましたか?
【狂えるものの長さんがコメントしました】お前か
配信のコメントに関しては、ここについて知っている人がいるというのが驚きだ。なんで、知っているのだろう?もしかして、ここに1回来ている人がいたのかもしれない。未踏のダンジョンではなかったのかもしれないけれど、知っている人が多いわけではないから配信していても人気があるのかもしれない。だからこそ、視聴者数が4千を超え始めた。配信してまだ2日しか経ってないのにこれだけ多いのがうれしい。にやける顔を抑えながらロボットの方へと向かう。
「これ何を守っていたのかな」
「さあ、なんだろうね」
残骸を確認している。そこには、気になるマークが刻まれているのを視認することができた。そこには、ハンマーのマークが刻まれていた。そのマークをカメラも映せばコメントは加速する。
【浮名を流す主神さんがコメントしました】そのマークは!
【♰闇の覇者♰さんがコメントしました】おまえ、なんでここにいるんだ
【浮名を流す主神さんがコメントしました】なんですかその名前w
【狂えるものの長さんがコメントしました】そのマークがあるということは、やはりだな
【匿名希望さんがコメントしました】内輪のりやめてもらえますか
【束縛から放たれし英雄さんがコメントしました】さきに進まなくていいのかい?
ほかにも「あのマークって……」や「知ってるやつら情報plz」など意見が二極化しているのが見える。マークを知っている人と知らない人で反応が違うからもしかしたら、重要なキーアイテムのマークなのかもしれない。横にいる花のお兄さんにこっそりと目線を向けてみる。花のお兄さんはマークに思い当たるところがないのか、気にしないで先へと続く道を確認している。
「花のお兄さん。このマークに心当たりはありますか?」
「いいや、私は半分くらい隠居しているから詳しくはないんだよね」
「そうなんですね。ありがとうございます」
気になりはするけれども、先に進むことが先決だろう。そう思い、道に沿って歩み始めた。




