2.クエスト受注
その声の主を配信しているカメラも向けばコメント欄が一気に盛り上がった。
【猫吸い中さんがコメントしました】うっそ、ここで遭遇するイベントとか知らないんだが
【♰闇の覇者♰さんがコメントしました】ここで我らが祖の神と遭遇するとは
【花ビッシさんがコメントしました】やばい、イケメン!でも、こいつは……
【こっくりと狐さんがコメントしました】うわあ、なんでここにこいついるわけ?
「えっと、皆さんはこちらの人を知っているんですか?もし、可能でしたら教えて欲しいです」
「おや、そんな文字に聞かずに私に聞けばいいじゃないですか。まあ、答えるかは気分次第なんですけどね。でも、私今日はとても気分がいいので答えられることは答えますよ」
笑っている。そう、笑っているのに笑っていない。外見をよく観察してみれば、視聴者の人が沸くのも理解できるくらいのイケメンだ。暗めの赤の瞳に黒に近い青の髪。そして、紳士のようにみえる燕尾服にきれいなブローチをつけている。その姿はまるで学生のようであるが、学生よりも胡散臭い。気が付けば、俺の腰に手をまわしてこちらを見下ろしていた。
「さて、ご挨拶させていただきますね。諸事情により名前はお伝え出来ないのですが私のことは、トリックスターとでもお呼びください。さて、私もここに長時間はいられないんです。だって、ここに来れるのは決まった時だけなんですから。そうでないと、バランスが崩れてしいますからね。本当でしたら、お茶などをお出ししておもてなしをしながら話したいのですが、如何せん合うのに時間がかかりましてね。あまりの時間が残っていないんです。ですので、本題に入らさせていただきます。我々が住まう、アスガルドに到達をしていただきたいのです。そのための前準備といたしましてこちらの手紙を届けてほしいんです。少々、気性が荒い人なんですけれども貴女なら問題ないでしょうからね。私が向かうのでもよかったのですが、偶然。そう、偶然優しい人に出会えて本当によかった」
「えっと、あの」
「それでは、お願いしますね。それを、アルヴィースに届けてくださいね」
クエストの受注ボタンを押す前にアイテムを押し付けられたからだろう。勝手に受注してしまった。クエスト名は「はじめてのおつかい」ふざけているのかもしれない。とりあえず、アルヴィースという人に手紙を届ければ完了になるらしい。
「えっと、クエストの詳細を確認していきますね」
そうつぶやきクエスト画面を開く。
『【クエスト はじめてのおつかい】
【内容】
自称トリックスターと名乗る男から受け取った手紙をアルヴィースに届ける。
アルヴィースは現在どこにいるのか不明である。
【アイテム】
トリックスターの手紙
【制限時間】
なし
【報酬】
北欧からの関心。
10000G
ガチャ券×3 』
10000Gというのが大金なのかわからない。けれど、北欧からの関心というのはいいことだと思う。アスガルドに招待って言っていたから多分北欧神話関係の人なんだろう。トリックスターと聞いて出てくるのは悪戯好きの神ロキなんだと思う。素直に渡しに行っていいものか悩む。コメントを見ようとしたら視聴者数に目が言った。トリックスターと合う前は10人にも満たない感じだったのに、今は1000人を超える視聴者が来ている。そして、思いもいにコメントを残しているのだ。やれ、どんな方法で合ったのかや、ロキと合うなんて可哀そうやら、もちろん受けるだろう、一緒に行きたいなど様々なコメントがある。
「あ、いっぱいの人が来てくれてるんですね。ありがとうございます。えーっと、クエスト自体は勝手に受注扱いになっていますので、完了を目指したいとは思っています。けれど、なんの情報もなしに動き回れるジョブでもないんですよね。パーティとかは今はまだ考えてないです。あとは、なにか話すことあるかな?」
【猫吸い中さんがコメントしました】自己紹介してないからしてほしい
【♰闇の覇者♰さんがコメントしました】たしかに!ジョブとかも知らないし、ステータスも見たいかも
【花ビッシさんがコメントしました】ステータス画面は映さないほうがいいよ。個人情報みたいな感じだし
【こっくりと狐さんがコメントしました】そうだね。口頭で、レベルとか教えてくれるだけでもうれしいや
【花咲く女神ちゃんがコメントしました】楽しみ
【いっヌ至上主義さんがコメントしました】ほかのクエストと一緒に進行しながらやるの?
「そうですね。まだ、クエストとかは決めてないんですけどそんな感じになります。それから、自己紹介ですね。名前はシオンです。始めたばかりの初心者です。って、これさっきも言いましたね。職業は召喚者です。召喚系なので、ガチャ引いた後に契約できる魔物や妖精とかを考えていこうかなって感じです。チュートリアルを終わらせたばかりなんで、本当に物はないんですよね」
そんな風に少し雑談をしながら教会の探索を続ける。石像を確認すれば、北欧神話からはじまりギリシャ神話、日本神話、エジプト神話やインド神話などたくさんの神話系の神様が祀られている。天井をみれば、それぞれの神話に関係があるものだ。しかし、中央の場所にある天井絵はよくわからないものだった。コメント欄の人たちも有識者などは居らず、このゲーム特有のものじゃないかと話していた。
歩いていれば、NPCであろう人物の頭にビックリマークが浮いていた。クエストが発生しているNPCに現れるものらしい。
「あの、どうかしたんですか?」
「君は、新たな冒険者候補生かな?」
「は、はい、そうです」
冒険者になる予定はなかったが、クエストを受注するためにもその場で肯定してみる。そうすると、話が進んだ。なんでも、神殿内にある聖遺物を紛失したらしい。それを探すのを手伝って欲しいとの内容だった。聖遺物は、鏡で女神像に本来は戻す予定だったけれど間違って違う神像に取り付けたとのことだった。それも、どの神像に取り付けたのかわからないから困っているとの内容だ。正直、そんなミス起きるのかとか思うし誰も引き受けてくれないのは数が多すぎるのが原因だとは思う。
「うーん、正直うま味とかはないんですけど初めてのクエストが達成するまで長いですから、ここで受けて報酬受け取ってみますか。私でよければ、お手伝いしますよ」
「本当ですか!助かります」
そういって、クエストの詳細が見れるようになった。
『【クエスト 失せ物探し】
【内容】
神官が誤って取り付けた鏡を見つけ出し正しい女神像に取り付ける。
神官の証言では「間違ってつけた像にも鏡のような役割をしたものを持っていた」とのことだ。
【アイテム】
なし
【制限時間】
なし
【報酬】
ガチャ券
500G 』
お金に関しては多い少ないはわからないけれど、難易度的にもこんなものなんだと思う。それにしても、鏡に似た役割ってことはその神像は鏡ではない何かを持っているとのことだ。さっきまで、見てまわっていた中で物を持っている像は結構な数あった。けれど、その中で鏡のようなものを持っていた神像は多くない。そう、多くないだけなのだ。
1つ目は自称トリックスターに出会う前に見かけた神像。2つ目は男で水辺に建てられていた神像。あとは、何個かあるが大きさのイメージを聞く限りではこの二つに絞られる。トリックスターと出会う前に行った神殿の柱を見てまわる。推測ではあるが、ここはギリシャ神話関係の神さまがいるのだと思う。理由は空、海、冥界の3柱に10柱が中心に置かれている。
「ここにたぶん、あると思うんですよね」
【いっヌ至上主義さんがコメントしました】なんでここだと思うの?
【♰闇の覇者♰さんがコメントしました】ここってロキに合う前の場所じゃん
「ここにあると思った理由ですね。私がいた教会の内部は和風の造りだったんです。だから、日本神話関係かなって思ってるんですよ。あとは、日本神話で鏡って聞いたらでてくのは1つじゃないですか。そう、八咫鏡です。八咫鏡は、天照大神の姿を映すことができるくらい強度が高い鏡です。そんな鏡ににた性能がある武器を1つだけ心当たりがあったんです」
そう話ながら目当ての女神像の前に立つ。そう、海の神ポセイドンの愛人を殺すことにした戦の女神アテナ。彼の女神が持っていた盾は鏡のように磨かれていて、メデゥーサの石化の呪いを反射させたとされている。その結果、メデゥーサを打ち破ることができた。そんな逸話があるのだ。神像に盾なども近くに保管されている。そう思ってきたのだ。
「鑑定」
『八咫鏡の彫刻
八咫鏡を模倣して作られた彫刻。天照大神の傍に保管されている』
「うん、これみたいですね。えっと、壊さないように慎重に取って神像の傍に置きに行きすか」
【猫吸い中さんがコメントしました】説明の途中だよ
【いっヌ至上主義さんがコメントしました】そのくらいわからないのか
【猫吸い中さんがコメントしました】なんだと
【いっヌ至上主義さんがコメントしました】お頭が悪いって言ったんだよ
【猫吸い中さんがコメントしました】ふざけるな
「喧嘩しないださいね。軽くですけど、お伝えしますね。この神像はたぶん女神アテナだと思うんです。鏡のように磨かれた盾を持っていたという逸話があるくらいの女神様です。けれど、この鏡は盾という役割ができるような見た目ではないでしょう?すこし、違和感があったんですけれどほかのを見ていたらついつい忘れちゃったんですよね。でも、クエストでしたから解決できてよかったです」
それらしいことを言いつつ運ぶ。別に気にはならなかった。ゲームだしそんなものなのだろうなんて思っていたからだ。だから、声に出していなかったのだ。少し気を付けよう。猫吸い中さんといっヌ至上主義さんは知り合いなのか何なのか喧嘩腰で会話をしているところが散見できる。まずいようなら対策しないといけないかな。
「あ、見つけてくださったんですね。助かります」
エリアに入れば自然とNPCが会話を始める。なんでも、もうすぐここに神像を見に高貴な人が来るから確認や掃除をしていたとのことだ。その時に、八咫鏡がないことが判明して慌てていたとのことだった。
「これが、今回の報酬です。本当に助かりました!」
そう言われて、これにて【失せ物探し】が完了した。クエストが完了すると、クエスト報酬の下に受け取りというボタンが出現してみると受け取ることができる。受け取ってみたら、連続イベントが発生したとシステムから通知された。
「おや、なにか問題かな?」




