1.職業【召喚者】
街にはいれば活気にあふれていた。チュートリアルではプレイヤーとの遭遇はなかったがここでは、プレイヤーらしい人たちが話したり露店をみてなにか買ったり値切ったりしている。俺みたいに初心者の子もいれば、そこそこやっているであろうベテランみたいな人もこの街にはいるみたいだ。
『クエスト
職業選定を受ける
詳細
教会にて職業選定を受けてメイン職業を入手する』
クエストの追尾機能を使用して迷うことなく、教会へと足を進める。教会は、多くの人で溢れかえっていた。リリースされて結構時間がたっているのにも関わらず、人があふれかえっているのには理由がある。ギルド機能。これは、多くのゲームとか創作とかでも使われているグループみたいなものだ。所属することができるのは1か所のみ。1回所属したら1ヶ月は脱退できない。しかし、ギルドもギルドで搾取できないようになっている。それは、内部評価だ。内部告発が多くされれば、ランダムなシステム関係の人が所属する。そして、内部調査が行われる。その結果、黒ならばギルドの解体。そして、幹部などの管理をしていたプレイヤーはさらにペナルティを受けると噂がある。その結果、悪い手法を利用するところは多くない。
教会の造りに目をむければ、中は白を基調としたシックな建築だ。吹き抜け構造でもあるのか外からの日差しが建物に入っていて白い壁や床に反射しキラキラと輝いているように見える。海外の教会とか入ったことないけれど、こんな感じなのかもしれない。天井には緻密な絵が描かれている。けれど、どんな内容なのかはわからない。このゲームに関係するようなことなんだろう。柱には神様らしき石像が柱ごとに1つずつ立っている。進めば柱の形状が変わっていったりしている。なんでだろうか?
「はじめまして、本日はどのような御用でしょうか」
目の前に音もなく表れたのは微笑みを浮かべたシスター服に身を包む女性だった。あたりを見渡せば似たような格好の人がほかのプレイヤーらしい人たちに声をかけたりしている。
「あ、え、えっと、職業を」
「ああ、職業を授かりにいらしたのですね。ご案内いたしますね。こちらです」
そう、シスター服の女性は俺を案内していく。その道中で俺がいろいろなものに気を取られているのを見ていたからか、職業が確定したあと別の人が案内をしてくれることになった。だから、今はうろうろとしないでしっかりとついてくるようにと釘を刺された。
「こちらが、職業を授かることができる場所になります。あの、水の中に入り祈りをささげてください。すると、貴女の適正がある職業が神によって示されることでしょう。貴女に神のご加護があらんことを」
説明をするなりシスターは部屋を出ていった。そして、部屋に一人になった。言われたとおりのことをしようと思った矢先、アイテムである妖精の女王の欠片がなぜか湖の中に落ちてしまった。しっかりとインベントリに入れていたと思っていたのだが、もしかしたら入れそびれたのかもしれない。そう考えながら拾うためにに水の中に入る。せっかく、ティターニアがくれたものだし大事にしないといけないのになんて思いながら、水の中に手を入れる。すると水から光が放たれシステムからの通知が流れてくる。
『職業が確定しました。
あなたの職業は【召喚者】です』
え、選べないのか。なんか、調べた内容と少し違くないか。ある程度選択肢があるって感じだったし召喚系は弱いというか不遇ジョブだったはずだ。ハズレを引いたかんじだよな。これから、どうやってソロ活動メインでできるのか考えないとだな。NPC相手には緊張しなくなったから自然と言葉が出るようになってきたけれど、プレイヤー相手には難しい気がする。だから、1人でプレイできる職業がいいなと思っていたのだ。
『召喚者
召喚をすることで戦闘などを行うことができる。契約方法は多岐にわたる。基本、契約したい相手の条件を満たすことで契約が成立する。ほかにも、親密度などで契約を結べる。自動クエストが発生することが多い』
召喚者は、自動クエストが発生してくるのか。クエストはスタックできるのかがわからないな。でも、決まったものは仕方ないや。やり直したい気持ちもあるけど、メインジョブは確定後の変更不可なんだよな。そこの融通が効けば最高なんだけど、難しいよな。それでも、1からのやり直しはいろいろと面倒だしな。仕方ないから、これで頑張るか。
妖精女王の欠片も拾い上げたら、なぜか進行していた。もしかしたら、色々なものに触れさせることによって成長するタイプなのかもしれない。俺が魔力を注いだ時は0.01しか進んでいないのに今は0.11%と0.1%もの進行が見られる。妖精なんだし神聖なもののほうがいいだろうな。ティターニアにはいろいろと教えてもらったから、今度は一緒にいろいろとみてまわりたい。
「終わりましたか?」
「は、はい」
部屋から出たシスターが戻ってきていた。とりあえず、終わったなら部屋からでて職業の申請とかの手続きをしろとのことらしい。この後もここを利用する人がいるしあとがつっかえると困るとのことだ。ごもっともな言い分である。とりあえず、申請などの手続きをしに別の部屋に案内される。そこで、この世界の地図と小型のクリスタルを渡された。この小型クリスタルが配信などを手助けするアイテムとのことだ。事前にアカウントの紐づけをしているからここら辺の設定は案外スムーズに進んだ。
「これにて、チュートリアルが終了いたします。これからは、貴女もたのしい人生をお送りください。神のご加護があらんことを」
シスターがそう口を開くと同時にシステムから多くの通知が届く。チュートリアル終了後に配布されるアイテムなどだろう。その中には、ガチャ券があった。いろいろな種類があるものの、大まかに分ければ恒常と限定になる。そこからさらに、装備アイテムと見た目アイテムに分けられている。装備アイテムのほうは、防御値などの向上がある装備系アイテムや拡張されているバッグなどが入っている。それに対して、見た目アイテムは洋服など装備アイテムの上から付け加えることができるアイテムだ。ただ、セット効果なるものがあるためこちらを引いても問題ないようなメリットは用意されている。男女ともにワンピースなどの服が着れるのは多様性的な配慮なんだろう。多くの人は気にしないけれど、声が大きい少数派でも反論ができないくらいの完璧な布陣だ。
「とりあえず、お試し配信をしながら教会をみてまわりつつガチャでも引くか」
目的を定めることができれば、あとは取り掛かるだけだった。配信をつければ、初心者ということもあり多いとは言えないけれど数名の人が見に来てくれていた。
「は、はじめまして。シオンです。えーっと、MoAは初めてな初心者です。とりあえず、チュートリアルが終わってこれから教会の探索とガチャを引けたらなって思ってます」
【猫吸い中さんがコメントしました】緊張してるの?かわいい
【♰闇の覇者♰さんがコメントしました】モデルとかやってるの
【花ビッシさんがコメントしました】使ってる化粧水聞きたい
「わ、え、えっと、猫吸い中さん闇の覇者さん、花ビッシさんコメントありがとうございます。緊張はしてます。配信とかも初めてなので。モデルはしてないです。化粧水も使ってなくて普通の水で顔を洗ってます。えっと、教会の中を探索していきますね」
【花ビッシさんがコメントしました】それできれいなのは犯罪だと思う
【こっくりと狐さんがコメントしました】ゲームでも関係するの?
【花ビッシさんがコメントしました】始めたときに肌の調子とかメイクとかしてないとスッピンで登録されちゃうんですよ。もう、最悪
【猫吸い中さんがコメントしました】そうなんだ
【♰闇の覇者♰さんがコメントしました】わかる。MoAでもメイク作業をしないといけないのマジでだるい
コメントがゆっくりではあるものの活発に動いている。このゲームでも見た目というのも結構左右されると書かれていたけど、友好的な人が多くてよかった。これで、否定的な意見が多かったらつらいだろうしな。
そう思いながら、ゆっくりと建物を見てまわる。教会の中は結構広いのだが、ところどころに違和感を覚える。
「この教会、おかしくないですか?」
【こっくりと狐さんがコメントしました】なにがおかしいの?
「普通、教会とかって宗教にもよりますけど祀る神様は1柱が基本だと思うんです。けれど、この教会は中央をのぞいてたくさんの神様の像が置かれているんです。まるで、神々がここに来て何かするときに相性悪い人たちと遭遇するのを避けるかのように」
「おや、よく観察していますね」
配信をしているからって、気を抜いていた。突然、後ろから声がかけられた。そちらを向けば楽しそうな笑みを浮かべながらこちらを遠慮なく見下ろしている男性がいた。




