17.最後の試練2
朝からティターニアの話は始まった。魔術についてだ。魔術師と呼ばれ者たちが何をしたのか、なぜ妖精が魔術師を嫌うのかも説明される。
「まず、妖精は元来思いや願いなどから生まれるのじゃ。基本的に使える魔法の属性は1つのみ。それは、水や火、風、土などの基礎元素からはじまり花の妖精や雷の妖精などもそんざいする。あらゆるものに妖精は存在しておった。大昔に愚かな人間がそんな妖精たちに悪さをした。詳細は吾輩の口からも語りたくないような無残で残酷なことを行った。もし、その残骸を見かけたのなら我が同胞がいないかを見てもらえると助かる。まあ、その結果、妖精族は急激に数を減らした。それでも尚、人間を嫌うことをしないものもいた。その反面、人間に恨みを持つ者もいた。それは、どちらが多いとか吾輩の口から出すことはできない。友好的なものとそうでないものの違いは顕著にある。気を付けるのだぞ。基本、人の暮らしとともにあった存在たちは幸いというべきか人間にまだ友好的なとこをがある。しかし、人間と関わりに薄かったものや同胞が多くとらえられた者たちは恨んでいる」
この話をしているティターニアの目は悲しそうで辛そうだった。それでも、ティターニアは人間が少なのかもしれないと思うくらいにこちらに向けてくる視線は優しいものだった。さらにティターニアは話を続ける。
妖精たちは基本、自然と暮らしていた。それが、妖精界と呼ばれるような空間をつくる妖精たちが逃げ場を作った。その結果、妖精は基本外の世界に出てくることが無くなった。妖精と一緒にいた村などは妖精の加護によって成り立っていたのをそのあと知ったのだ。逃げ遅れた妖精たちを人間がこぞって捕まえて、奴隷のように使役し始めた。魔術師たちがそれを手伝い、道具を編み出した。さらに、妖精は怒り悲しんだ。だんだんと傲慢になってくる人間に妖精たちはほかの種族に助けを求めることにした。
それは、神だった。神々もまた傲慢にふるまう人間に怒りを覚えていた時だったのだ。ラグナロクが起こされた。人間は神々に対抗しようと魔術をさらに極めるようにしていく。しかし、神々にはそんな小手先の呪いにもならないものは通用しなかった。結果として、人間側に敗北でラグナロクは幕を閉じる。しかし、そのあとすぐに世界が崩壊し始めた。
ティターニアはそのあとも話しているのだろう。しかし、音声認識がされていない。もしかしてと思って、文字に起こしてもらう機能を使用しても話している内容は全部文字化けして何もわからない。たぶん、まだ聞けない内容なのだろう。そう目途を立ててティターニアに声をかけることにした。
「ティターニア、たぶんその話、私聞く権限がないみたい」
「なんじゃと。しかし、そうか、そこまで進んでおるのか。まあ、シオンが頑張って知ることができればこの後の話も聞くことができるじゃろ。さて、最後に魔法の属性についてじゃな」
「うん」
「まず、シオンが知っておる魔法の属性はなんじゃ」
「えっと、火と水、土あとは風かな」
「チュートリアルのみじゃな。そこに付け加えるのなら光と闇も入れておけ。さらにそれぞれの魔法が派生して生まれてくるものも存在している」
そういってティターニアはそれぞれの魔法で作ったボールを宙に浮かせて話始める。
「まず、水から派生したのが氷魔法。土から派生したのが草。風魔法から派生したのが浮遊。融合して派生したのもある。土と火で雷魔法が生まれた。光と闇魔法からノーマル魔法。土と風、水魔法で岩魔法。光と風でエスパー魔法が生まれている。まだなにと融合して生まれたのかもわからない魔法もあるから、そこは調べている人もいるくらいじゃ。妖精たちが生まれれば、私もなにから生まれたのかはわかるから結構簡単に探ることができるのだが、生まれて間もない妖精は生き残る能力も低いから近くに先輩妖精がいなければすぐに途絶えてしまう」
ティターニアは説明をしながらそれぞれの魔法を融合して生まれてくる魔法を見せてくれる。原理が違うからこそ、説明をしてくれるのだろう。それでも、ティターニアは最後にはイマジネーションが必須であると締めくくった。
「さあ、シオン。最後の試練じゃ。吾輩がだしているこのそれぞれの属性の魔法を打ち消すまたは主導権をとってみろ。どれか1つでも打ち消すことができた、主導権を確保することができたら合格じゃ」
打ち消すのは同等の力で行うことになる。主導権の確保は格下あいてにのみ成立するものだと説明を受けた。つまり、やるべきことは1つだけだ。打ち消しである。けど、1回くらい愚かにも主導権の確保をしてみるのもいいのかもしれない。けれど、それにはリスクがつきまとう。主導権をとるイメージを持たないといけない。ずっと、ティターニアはイマジネーションが大事だと言っていた。それは、魔法において願いや祈りが呪いになるかだと説明をされた。
魔法の主導権を握るイメージは、それこそボールを取り上げるのと同じ感じでもらい受ける感じにすればいいのかもしれない。無謀だといわれても試す価値がある。ティターニアの気をそらしてから行えばもしかしたらできるかもしれない。狙うのはノーマル魔法だ。他の魔法には相殺する魔法があるそうだけど、ノーマル魔法は威力が弱いため相殺属性の魔法はない。初めに発動させるのは使ったことのある魔法。それでも、きれいに決めることができない。数を増やしてさらに使い慣れてはいないけれど、雷魔法、氷魔法、草魔法、岩魔法も発動させていく。それぞれに、魔法をむけて放つ。
「自棄になってるな。考えるのじゃ。イマジネーションを働かすのが魔法の一番大事なことだと言っておるだろ」
ティターニアがこちらの意図に気が付いていない今が、最初で最後のチャンスだ。そう思い、ノーマル魔法以外にまた攻撃をいれる。そのすきにノーマル魔法の主導権をとりに行く。風魔法で自身の速度を上げてティターニアに近づく。そして、ノーマル魔法に向けて手を伸ばしティターニアから離れていたノーマル魔法に対して解析、分解を取り入れる。そうすれば、ノーマル魔法は呆気なく俺に主導権が渡された。それと、同時にシステムから通知がきた。
「ははは、吾輩のほうが、慢心していたな。シオンの想像のほうがうえじゃったみたいじゃな。しかし、素晴らしい作戦じゃ。こちらの気を他の魔法に向ける。相殺が目的と思わせた隙に主導権をとる。見事じゃ」
「はぁ、はぁ、あ、ありがとう、ございます」
「ふむ、魔力切れ気味じゃな。これを飲みなさい」
そういって渡されたのはあまり見ることのない、竹筒だった。飲んでみれば、中にあったのは水だった。けれど、MPは回復していく。多分、回復系アイテムなんだと思う。なんで竹筒なのかはわからない。完全に西洋風な見た目なのにここだけ和風なのか不思議だ。
「この器の見た目か?そのまま切って持ってきてるからこの見た目じゃ。器を変えると性能が少し減少するからこそそのままの見た目じゃ。MPが少ないものが摂取すると暴走してしまうが、普通の量の者でも魔力酔いを起こす」
「え、そんな」
そんな、怖いものを俺に渡してきたのかよ。好奇心とかあるのかもしれないけれど、こんな物渡されているの無理かもしれない。
「しかし、なにも起こさなかっただろ?これで、魔法についてのチュートリアルも終了じゃ。この後は、教会に行って職業を選別されてきなさい。これが、今回の報酬じゃ」
ティターニアからプレゼントを渡される。中身は
『魔力回復(特性)
魔力を回復させるアイテム。中身は水みたいな味わいだが、性能はダントツでいい。しかし、相性が悪い人においては死亡のリスクがある』
『妖精の杖
妖精が制作した杖。魔法の威力が1.5倍になる』
『???のカード
まだ、この内容を確認する権限はありません』
『妖精女王の欠片
魔力を流し込んで育てることで妖精の女王であるティターニアの眷属を顕現することができるようになる。
0%』
『妖精の図書への鍵
妖精が利用する鍵で入ることができる。妖精以外も妖精の女王から鍵を渡された
カードに関してはガードナーのところでもらったカードと同じ感じだ。チュートリアルが完了したにも関わらず確認することができない。もしかしたら、職業を確定しないといけないのかもしれない。
妖精女王の欠片に関しては、魔力を少し注いでみたけど進行度合いは0.01%にしかならなかった。
「ティターニア、ありがとうございました」
「うむ、その欠片もしっかりと育てるんじゃ。どれだけかけてもいいから頑張るんじゃぞ」
そうティターニアは残して消えた。俺がいたのは森の中で、ここに来るまでに入った記憶とかもない場所だった。マップで確認をしてみれば、職業を選定できる教会の近くでもあることが判明した。ゆっくりと森を抜けて街にはいることにした。




