16.読めない本と最後の試練
朝、寝たのが遅いのにも関わらずいつもと同じ5時に目が覚めた。陰鬱とした気持ちでベッドから出ることが多いからだろう。出たくない、このままずっとここにいたいと思っているからだろう。めまいがしていたのだ。けれど、今日はどうだろうか。そんな症状がでるこはなかった。たぶん、このあとのMoAが楽しみなのだ。とりあえず、仕込みをしているのだろう厨房に行って朝食をもらってくる。そのあと、MoAを開く前におすすめのジョブについて調べる。それで、初心者でもできるであろうクエストとかも知っておくべきかな。あとは、配信をしてみたいからアカウントを作るべきだろう。
「お、おおはようございます」
厨房に入るときにかならず挨拶をするようにしている。やっぱり、前準備の最中で人は一番下の人くらいしかいなかった。ここは、料理長の独壇場で俺に手伝わせると手伝わさせたやつがクビになる。料理人として食材の下処理もできない無能ですと名札を下げているものだとか言っていた。それは、先輩料理人たちも同じことを思っているようで先輩が発見しても同じことになる。だから、ここでの食事だけは最低限確保できているのだ。
「これ、もらっていきます」
俺用に用意されているパンとスープ。肉はないけれどジャムはしっかりと置かれている。それを持って部屋へと向かう。昼食は多分食べられないだろうからゆっくりと食べていくのだ。少量ではあるがこれで夜までもつのだから珍しいことではある。ゆっくりと食べながらMoAの職業について調べてみる。
出てくるのは職業はステータスによって適正が存在しているということ。選択肢が出現するが選べるものと選べないものがあること。また、職業にもランクが存在している。基本、初めの選択で出てくる最高ランクはB⁻とされている。けれど、極まれににユニークジョブと呼ばれるものが出現されていることが確認されている。ユニークジョブはランクとしては、最高ランクのEXとされているが初期のステータスとしてはCくらいらしい。俺も、ユニークジョブが来てほしい気持ちもあるけれど、難しいから戦闘系でC⁺くらいのランクが取得できたら上々かなとおもう。
「召喚士は推奨しない。召喚素材の要求や本人があまり戦えないこと、召喚したものたちを服従させられなければ失敗となりもう1回はじめからのやり直しとなる。初めのうちは、弱いものから契約していくが段々と難易度をあげて契約していくことになる。自身の職業ランクに応じて召喚できるクラスやランクが左右される。か、召喚系は難しいってことだよな。なら、避けるべきなんだろうな」
他にも、職業のレベルが上がればサブクラスの解放がされる。サブクラスは基本的に戦闘関係の物ではなくゲームの中で便利だと思うものを選択する必要がある。例えば、盗賊系であれば隠密やマッピング機能が向上される記者系を。回復や補助などを担当するのであれば、巫女や聖職者を選択するのがおすすめ。召喚士はなんでもいいけれど交渉系があると便利かも……?みなさんがやりたいサブクラスを選択するのが一番楽しくゲームをプレイすることができます。
「結構、調べてみたけど召喚士は不遇ジョブなんだな。でも、自身に戦闘系があんまりないのに契約のために戦闘をするんだったらそりゃあ、困るか。サブクラスに関しては量が多いからサブクラス選択するときにもう一回よく読んでみるかな」
今日、チュートリアルが終わったら職業選択から配信をしてみたいなと思っているからアカウントの制作をすることにした。そのために、ゲーム機に乗り込み配信ソフトを立ち上げてみる。配信画面とかの設定はいまいちわからないから、オートのおすすめ機能にしてみることにした。そのあとは、MoAを立ち上げる。
『おかえりなさい、シオン』
システムが挨拶をしてくる。そうすれば、昨日終わらせた場所で目を覚ます。結構快適だったみたいで不調などは無かった。それに、目の前にはご飯が用意されており手を付けてみれば温かく、味付けも薄味でありながら素材の味を生かすように塩味やうま味などが調整されている野菜のスープだった。
「おいしい」
自然と笑みがこぼれる。食事を終えたら、ティターニアが来るのを待つ。その間に、ここにある本を読んでみた。手に取ったのは、『???の備忘録』と書かれていた。だれの備忘録なのかなんで、ここに文字化けした本があるのかわからないけれど自然と手に取って本を開いていた。
『この本を手に取って読んでいる君に残す。私の名前は邏ォ闍。繝ゥ繧ッ繧キ繝・繝溘?と人間の間に生まれた存在だ。たぶん、これが読まれているときに私は死んでいるんだと思う。それどころか、目標が達成できていないから残しているのかもしれない。
だって、こんな人に読まれること前提に考えて書くようなことをしてないから黒歴史でもあるしね。
来るべき日に世界はMoA縺ィ陞榊粋縺吶k。
どこまで、今の君が理解して読めているのかわからないけれどこの内容が理解できていればうれしい。なんで、こんなメモを残しているのかなんていうのはこれから起こることがきっと、君にも起こる出来事になるだろうから。
初めは楽しんでいたんだ。だって、こんな楽園のような空間に来れたんだから。けれど、次第にここが楽園などではなく地獄だとしるのは時間がかからなかった。
君の周りにだれがいるのかはしらないけれど、繝弱Φ繝励Ξ繧、繝、繝シと仲良くなるといい。君にいろいろなことを教えてくれる。逆に繧キ繧ケ繝?Β邂。逅??とは仲良くならない方がいい。彼らは甘言を吐くが決してこちらの味方ではない。』
なんだ、これは。文字化けが結構しているが何かを伝えようとしている?それとも、設定でこんな本が存在しているのか。それにしては、できすぎているうえにチュートリアルの場所に置いてあるのはおかしいだろう。読めない部分が多いが、きちんと読める場所を探せばすぐに見つかる。
『職業選択はすでに決められている。しかし、自身の適正に合わないものも提示してくる。きっと、この本を読めている君にあうのは召喚者だ。どんなに、周りから不遇だと言われてもこの職業を私は君にすすめるよ。
幸運値が高いはずだからね。
一般的な召喚士は服従させることで使役できるけど、君がなる召喚者は親密度で関係を築く。どんなに大変でも幸運が君の味方をしてくれる。
私が保証するよ。』
召喚者と召喚士なんて言葉遊びみたいなものだ。けれど、召喚系を進められてることだけは理解できた。さらに言うなば、職業はすでに決められているという事実に驚愕した。そんなことをしたら、ゲームとして成り立たなくなってしまう。そう思う反面、調べてみたときに選択できない職業も存在すると書いてあった。ステータス関係だろうとまとめた人は考えていたなと思い出す。つまり、ある程度決まっているのはステータスに関係しているからなのかもしれない。
「なんじゃ、小僧。そんなに真剣に考えこんで」
「え、うわ」
正面から急に声がかけられてそちらに視線をむければ、幼女が逆さまになりながらこちらに声をかけてきていた。人がさかさまで声をかけてくる。しかも、自身の顔の位置に相手の顔が来ているのだ。驚いて、後ろに倒れこむ。幸いカウチに腰掛けていたから、痛い思いをすることはなくただ、ふかふかの感触を全身が再び感じる結果となった。
「早いのう。それだけ、やる気なんじゃな。うれしいぞ。さて、少しやったら職業選択の場所に送ろう。あと少しじゃから、しっかりと聞くように」
そう、ティターニアはくちを開いてこちらにこえをかけた。




