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14.妖精の女王との

 目の前に広がるのは一面彼岸花の景色だ。そして、川の先にいるのは俺に似た姿をした女性。優しそうに微笑みながらこちらをみて口をひらく。けれど、何を言っているのかはわからない。はじめはその人のことを思い出すことができなかった。けれど、指さす方向を見ていればその人がだれなのか思い出せた。


「母さん」


 この声が届いているのかどうかわからないけれど話をはじめる。


「俺、母さんが死んだ理由とかなんでなのかわからないし俺を置いて行ったこと許せないんだ。だって、あそこは母さんがいなくなってから地獄でしかなかったんだ」


 俺の声を聞いても何も反応がないのだと思っていた。けれど、通じていると信じて言葉を続けた。


「俺じゃあ、母さんの王子様にはなれなかったんだね。だけど、王子様が迎えにきたんじゃないの?あの時、喜んでたじゃんか。俺にすら見向きもしなかったのになんで、自殺したの?来ちゃダメってなんで言ったんだよ」


 それでもなお、その女性は俺の後ろを指さして微笑むだけだった。それが、どうしてもつらくて許せなかったんだ。俺と母さんとの間にある川を渡ろうとした瞬間に慌てた顔をしていた。


「来ちゃダメ!」


 初めて、大きな声を出した母さんをみた。いつも、穏やかで優しい人だったからこそ衝撃を受けた。焦った顔をして初めて声が聞こえた気がするのだ。久しぶりに聞いた母さんの声に自然と涙が出てきた。もうほとんど、泣くことのなかった涙があふれ出てきた。


「紫苑、お母さんが弱くてごめんね。シオンのこともっと、ちゃんと、見てあげたかったの。でも、もう無理だった。お母さんが本当はあんなことをしなければよかったの。けど、シオンは、これからいろいろと知ると思うの。あの人にもシオンのことを頼んでいて、ここに来てくれたから約束をも持ってもらえたんだと思うの。愛してるわ、シオン。これからもずっと、あなたが幸運と幸福に満ちあふれる人生を歩んでいけることを願ってるわ。ほら、早く行きなさい。時間がないの」


 そういわれて、泣きながら体が母さんとは反対のほうを向きながら歩みを始める。本当は、もっと言いたいことがあるのに言葉を出す前に目の前が真っ白になった。そして、俺は思い出す。今は、ゲームの最中であることを。そして、恐怖する。なんで、なんも知らないはずのゲームが俺の過去を知っているのかということを。

 母さんが言っていた時間がないというのはどういうことなのなんにもわからない。


『精神攻撃を打破した。2回目の精神攻撃を開始』


 精神攻撃が本当にリアル感のある精神攻撃なのが、このゲームが第二の現実といわれていることの要因でもあるのかな。そんなわけないか。2回目の精神攻撃では眠くなることもなく、何かが漂っている感じで気分が悪くなる気持ちだけがしてきていた。しかし、精神攻撃が通じることがなかった。なぜなのか原因がわからなくてステータスの確認をしてみた。


『プレイヤー名:シオン Lv8 HP120 MP145

 STR100 INT145 DEX120 AGI120  LUK240

 レベル上昇報酬   ステータスポイント+16

 詳細

 空腹度 29/100

 現在の状態:疲労

 疲労度:82/100

 称号:幸運の寵愛

 業績pt:12pt

 称号pt:0pt

【取得済みスキル】

 レイピア初級

 クリティカルヒット15連撃

 解体Level1

 炎魔法初級

 水魔法初級

 風魔法初級

 土魔法初級

 初級鑑定技術

 精神保護EX

【取得中スキル】

 初級索敵21%

 忍び歩き初級40%

 レイピア中級43%

【取得可能スキル】

 ???術

 ???魔法』


『精神保護EX

 どんな精神攻撃にたいしても幸運値に応じて精神攻撃を防ぐ確率が上昇する

 発動方式:フルオート』


 ステータスを確認したらなぜか称号が手に入っていた。それよりも、精神保護EXの説明を読んでみたらあまりにもチートみたいな性能であるなと思った。どうやって入手したのかもわからないけれど、1回目のときに入手できたのかなと思うと幸運の寵愛って称号と相まってよかったのかなと思った。


『3回目の攻撃を開始します』


 この攻撃もスキルが自動発動してまた弾いている。それこそ、なにかしてきているのかすらわからないくらいに攻撃をはじいている。


『4回目の攻撃を開始します』


 特に何も起きない。


『最後の攻撃を開始します』


 最後は、少しだけふらつきはした。目の前がふらふらしていたが、すぐに収まることになった。結果としては、何も起きないということしかわかっていない。けれど、精神攻撃においては幸運値が上昇すればするほど対抗できるようになるということだろう。

 少し経てばまた宝箱が出現した。その中には『知恵の部屋の鍵』と書かれたアイテムが入っていた。たぶん、開けることができなかった部屋のことを指しているのだろう。そう推測を立てたあと、部屋を出る。そうすれば、最後の部屋のドア以外が空いている状態になっていた。

 鍵を開けてみればドアはこれまたすんなりと解放される。中に入れば無数の本が飛び交う図書館が広がっていた。普通の図書館と違うところはどこなのかと聞かれれば、本が飛んでいるところと本棚が空中に浮いているものもあるというところだろう。


「ほう、来るのがはやいのう」


 声がする方を向けば、そこにはここに入るときにいた幼い少女でゴシックロリータ調の服を着ている女の子が立っていた。初めて会った時と少し変わっている点があるとするのならば、なぜか背中に羽らしきものがぼんやりとみることができるということだろう。


「え、あ、っと」

「さて、自己紹介からしよう。我が名はティターニア。妖精の女王にして母だ。そなたの名前はさっき見せてもらったから知っておる」

「その、ここでは何を」

「それぞれの部屋の名前は見ておらんのか?まあ、よい。説明しよう。初めの部屋では、魔法について。魔力の部屋と名付けた部屋で魔力を知ってもらう。そのあとは、その魔力を利用するために戦闘の部屋に入る。戦闘だけで魔法が学べたと慢心するものも多いが魔法とは元来人々が祈って生まれた呪いみたいなものでもある。だから、精神を鍛えないと器が壊れてしまう。そのために、精神の部屋で精神を鍛える。そして、最後に大いなる知識を得て、魔法の神髄を理解し学ぼうとするのだ」

「ふつうは、座学からじゃないんですか?」

「おぬしらは初めから魔法が使えるのか?」

「つ、使えないです」

「じゃから、魔法を使えるようにしてから座学をするのじゃ。魔法はイマジネーション。つまるところ想像力が原動力にもなっておるからな。その正反対にはるのが魔術じゃ。魔法と魔術を一緒にしようとは努々思わぬように。一緒にしたら、初めからやり直しじゃ」


 魔法と魔術が違うというのはまだわからないけれど、一緒にしたらいけないということは学んだ。初めからやり直しとか絶対にやりたくない。チュートリアルを早く終わらせたいという気持ちも出てきている。チュートリアルのスキップ機能とかもあるけれど、せっかくなんだから全部1からやっていきたいと思ったのだ。それが、やり直しとかになったらこわい。それこそ、スキップ機能を使ってしまうかもしれない。そんなことをしたくなくて頑張っていたから嫌だな。


「まあ、吾輩の言っておることを理解してくれればよいのじゃ。初めから頭ごなしで否定はせんから安心しなさい。わからなければ聞けばよいだけじゃ。じゃから、しっかりと学ぶんじゃ」

「はい、わかりました」


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