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「ふむ、彼奴ら、良品とまでは行かずとも中々どうして品質のいい武器を持っているようだな」


ゴブリンが持っていたであろう武器を持って、ゴブリンの死骸をあさり終えたヴァイスがハンスの方へと戻ってくる。

それに合わせて、見張りに立っていた三人も何やらお話に花を咲かせながらもハンスとヴァイスのもとへ歩み寄ってくる。


ゴブリンの武器をハンスから受けとり、しげしげと眺めていたハンスが思い出したかのように疑問を口にする。


「依然読んだ本では、ゴブリンが持つような武器はせいぜいがボロボロな粗悪品だと書いてあったんだが...、だれか横流しでもしているのか?」


「その可能性もないであろうが...、まぁ、大方被害者たちの遺品とかであろうよ」


「ですわね。たかがゴブリン。されどゴブリン。油断したら私たちもこの武器の持ち主と同じ道を辿ることになりますわね」


あまりにも軽く言ってのけるエレーナに、何か言いたげにするハンスだったが、言葉を飲み込んで別の疑問を口にする。


「それにしても、遺品だというならギルドに報告して返還...、ではないが、そういったことをした方がいいんじゃないか?遺族にとっちゃこれが唯一家族の物になったりするんじゃないのか?」


「別にそうしたいならすればいいでしょうけど...」


「基本は冒険で見つけたものは見つけた人の物、だね」


「で、あるな」


「そういうものか...」


「今までの常識では考えられませんね...」


「そうだなぁ...」



カタリナと二人、あまり進まない様子ながらも刀身を布でくるみ、自身の荷物袋へ武器をしまい込む。

そんな二人のやり取りを耳にして、仲間たちも何か気になるようだったが、軽々しく聞ける雰囲気でもなかったため口を閉ざす。


そんなどことなく微妙な空気の中歩くこと二時間、最初に遭遇したゴブリン以外は特に魔物に出会うこともなく一行は依頼のあった村に到着していた。

その村は、人口三百人ほどの、決して大きくはないが、しかし今は蛮族の影響か人一人も見当たらず、どこか薄暗い空気に包まれていた。


「とりあえずついたが...人が見当たらんな」


「出歩いてゴブリンにさらわれたら元も子もないであろうからな...」


「ゴブリンに捕まったらどちらにせよ悲惨な目にあいますからね。出歩かない事こそが一番の自営なんでしょう」


「ですわね。とりあえず村長宅にでも行きませんこと?これを見せたら詳しい話が聞けるかもしれませんし」


「そう、だな。とりあえず...あの建物に行ってみるか」


そういってハンスが指さしたのは、村の中でもひときわ立派な木造の住居と思しき建物だった。

四人とも特にほかにあてがあるわけでもないので、おとなしくその提案に乗り、立派な建物に向けて歩いていく。

そこまで広い村でもないので、ほんの2、3分歩くだけで目標の建物へとたどり着いた。

表札代わりに建てられた看板には「エドモンドのおうち☆ 村長に用がある方はこちらへどうぞ☆」と書かれている。無駄に親切だ。


「...ここであってるみたいだな」


「なんだろう、何となく釈然としないのはあたしだけなのかな」


「安心しろ小娘。きっとここにいる全員が同じ気持ちだろうよ」


ヴァイスのそのセリフにエレーナとカタリナも首を縦に振る。

緊迫した空気なのに、看板のせいで力が抜けた様子の一行は、一瞬「別に困ってないだろこの村、村違いだろ」と現実逃避したくなるがぐっとこらえる。


代表してハンスがドアをノックすると、おずおずと初老の男性がドアを開け、顔を少しだけ出し、ハンスたちを確認するとようやく人が一人入れそうなスペースを開けて招き入れてくれる。


「やぁ、よく来てくれたね。依頼を受けてくれた冒険者さんたちかい?」


「えぇ、依頼書もこちらに。確認します?」


「いや、結構。仮に受けていなくとも今は猫の手も借りたいぐらいだからね...」


「で、しょうね。それより、詳しい状況は説明していただけますの?」


「あぁ、もちろんだとも...。...ことの始まりは1週間前、村の子供が一人水くみに川に行ったとき、ゴブリンと遭遇してしまってね。幸い、仕事の途中だった木こり衆が近場にいたおかげで事なきを得たが...。ほかにも、仕事中の村人からゴブリンを見かけたという報告が相次いでいる...。もし子供や、女衆がゴブリンに遭遇したらと思うと夜も眠れん。是非ともゴブリンがこうも集まったのか、原因の解明と掃討をお願いしたいのだが...、危険かもしれんが頼めるかね?」


「まぁ、無理だというならここにはいないさ」


「そうですわ。それに、この程度の危険ごときに臆するようでは冒険者は務まりませんわ!ねぇ、皆さん?」


「うむ。我が魔導の奥義にて、蛮族など一息に蹴散らしてくれようぞ」


「えぇ、もちろんですよ。困ってる人ほ放っておいてはメ...いえ、冒険者の名折れですからね」


「うん、あたし達はそのためにここに来たんだ。絶対解決してくるから待っててよ!」


次々決意を表明する一行を見て、村長は口元にわずかな笑みを浮かべる。

そして、おもむろに立ち上がると何やら木箱からアイテムをとりだし、「報酬が報酬なので、せめてこのぐらいは...」と一向に差し出し、蛮族がねぐらにしていると思われる洞窟までの簡単な地図を描いて、ハンスに差し出した。

ハンス->アウェイクポーションx1

カタリナ->魔晶石(3点)

ヴァイス->魔晶石(3点)

エレーナ->ヒーリングポーションx1

ローザ->ヒーリングポーションx1

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