表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/13

神との邂逅、報われない僕らの世界

導入は軽めに……

 ここは――どこだろう?



 僕はいつも通り学校で、無知で愚かな学友たちを憐れみ、無力な自分に嘆いていたはずだ。

 現実逃避が得意な僕だけども、ついに幻覚まで見始めるようになったのかな?


『あなたは、なぜそれが分かっていながら、そうも世界に対し憎むのですか』

「は……?」


 頭に入り込んでくるのは、美しくも恐ろしい二面性を持った声とも言えない、意志のようなものだった。

 突然目の前に現れた、『存在』を僕は理解しようとして……やめた。

 ソレは理解できない。理解どころではない、知覚することで限界だ。

 体が、僕の好奇心には理性に、本能に訴えかけてくる。


『ええ、その認識で間違いありません。その程度の魂で、私を捉えようなど不敬に当たります』

「ぁ…………っ」


 この存在は違う。

 僕が知る、どんなものとも違う。

 この圧倒的、存在感――まさに神というべき御方だ。


『ようやく、そこに至りましたか。愚かな人の子よ。“発言を許可します”』

「……っ! なぜ、あなたのような御方が僕などをここに呼び出したのですか?」


 ここは―――僕にとって、幼い頃から記憶に刻み込まれた憧れ、理想とする場所だ。

 自我がまだ存在せず、自分が何者か理解していなかったあの頃とは違う。

 いかにここが場違いかを分かる。


『ええ、あなたはここに本来は2度も訪れることはありませんでした』

「ならばなぜ?」

『あなたは……世界が嫌いですか?』

「――!」


 その、質問は……



『偽りなど、神たる私の前で話せると思わないよう』

「…………………きらい、ですよ。こんな、どうしようもない世界なんて」

『でしょうね、あの世界は昔に比べ豊かになりましたが、緩やかに停滞しつつある。だからこそ見放されたのでしょう』

「え……?」


 あっさりと肯定されたこともそうだが……みはな、された?


「ええ、それはもう。悩むことなく、この世界はもうだめだと」


 そう、なのか……やっぱり、神様からみても僕たちは愚かでしたか。


「はい、私も見ましたが酷いものです。争いは絶えず繰り返され、何より人が生きようとする意思を感じない。技術は発展しようと、不自由で星を渡る術を得ようと奪うことしか知らない」

「そのとおりです。人は醜く、おぞましい」

「ですので……」

「……?」

「あなたを私の世界に招待しましょう」


 その言葉を理解するのに、そう時間を要することはなかった。

 ……もしや、僕にやり直せと。


「いいえ、違います。私はあなたに疑問を抱きました」

「なんでしょう」

「なぜ……そこまで諦めがたく抗うのですか。すでに退廃し、衰退するのは星の意思です。そこに抗って得るものなど……ありませんのに」


 なんだ、そんなことですか。

 簡単なことです。


「――人間は、まだ終わっていないと、自らを持って証明するため」

「…………」

「人は、愚かでした。それは否定できぬ事実です。けれどそれで全てではない。今の人類は……すでに終わっています。けれど、だからこそ終わってしまうから次の可能性を残したかった」


 別に大層なことではないです。

 これを見た、誰かの戒めになれば。

 有言実行、自らが示しにならなければ意味はない。


「ただ、それだけのことです」

「そう、ですか……ならばあなたの祈りは届きましたよ」

「え?」

「今、私の世界は汚されかかっています」

「……っ!?」


 どうして……それを、僕に……


「救いたいと、思いませんか。他ならぬあなたの手で」


 そうして、神様は手を差し伸べる。

 僕の救いと願いを叶えるために。


「喜んで、その神命頂戴いたします」


 僕はその手を取った。

 地球では叶わなかった、キレイな世界のために。


主人公はタイトルの通り、狂信者です。

ただ信仰するべき神がいなかっただけで、日本では普通に暮らしていましたよ。

ただ、ちょっと頭おかしいですけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ