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2人の美少女 四方朱莉と八条沙奈江

「侑汰君おはよう、今日もいい天気だね」

朱莉が何時ものように声をかけてくる。

「おはよう朱莉。今日も可愛いね」


いつものように俺がそう言うと朱莉はニマァ~と笑顔になる。取り敢えずこれで朱莉様は満足していただける。

こいつは俺の左隣の席の『四方(よつかた) 朱莉(あかり)』。


暫くすると右の方からも声がかかる。

「おはよう、侑汰」

「おはよう沙奈江。いつも通り綺麗だね」


俺の言葉に“えへん”と胸を張り自信ありげに満足している。紗奈江様にはこう言っておかないと後が怖い。

こいつは俺の右隣の席の『八条(はちじょう) 沙奈江(さなえ)』。


入学してから2ヶ月目の時に行った席替えで俺『山水(やまみず) 侑汰(ゆうた)』はこの2人に挟まれる座席となった。四方は窓側の一番後、その右隣りが俺、その右隣りが八条となる。


俺の両サイドは女子なのだが、ただの女子ではない。このクラス、いやこの学年でもトップを争う美女なのである。なのでこの席は「VIP席」と呼ばれている。両サイドに美女を侍らせている贅沢な席というのが所以だ。


こんな席に当たったら男であれば嬉しくないはずはない。俺にとって当然この2人は高嶺の花だが、両側に美女がいるだけで気分がいい毎日を過ごせる。この席に移ってきた時は美女2人に挟まれて嬉しくて「ど~しようかな~」なんて思ってにやついていた。しかし、3週間たった今では「どうしたらいいんだろう…」に変った。


この席になって最初に気付いたのは、四方と八条は互いに口をきかないことだった。最初の頃、朝この席に着くと四方と八条に俺はそれぞれ挨拶をする。二人とも可愛い笑顔で挨拶を返してくれる。可愛い子二人に笑顔で「おはよう」と言われればそれだけで気分は上々となり、テンションも上がってくる。だけど四方と八条はお互いの方を見ようともしない。二人が揃うと急に空気がおかしくなってくる。彼女達はあまり仲が良くないようだった。


四方朱莉は可愛い子系の代表選手。女の子らしい柔らかそうな体のライン、思わずほっぺを触りたくなるような愛らしい顔をしている。くりっとした大きな目、小さく柔らかそうな唇、鼻筋も通っていて完全にまとまってる。おまけに胸もでかい。


彼女は自分を可愛く見える仕草など、自分の武器を最大限に活用する方法を知っている。喋るときも「ねえねえ山水君、これってさぁ~…」なんて感じで近付いて少し下から上目遣いのあどけない表情で喋ってくる。何とも言えない彼女のいい香りと可愛い表情、男なら誰でもつい顔が緩んでしまう。



八条沙奈江は綺麗系の代表選手。身長も高くスタイル抜群(ただし胸だけ朱莉に惨敗)、切れ長の目や細長い睫、高い鼻、細く形よい顎のライン、まさに美人である。彼女だったら今すぐにでもモデルになれるだろう。彼女の特徴は明るく元気なところだ。彼女は元気にはっきりとものを言うタイプで喋っていても歯切れよく気持ちよい感じがする。清潔感があって綺麗で、近くに居て清々しい。


席替えした当初はこの二人と少し喋る程度だった。それでも俺はドキドキした。近くで見ると余計に可愛く感じる。やっぱり二人ともその容姿は他の女の子と格が違う。


こんな感じで最初の1週間は過ぎていった。そんなある日の昼休みに俺はクラスの王子様こと『綺羅(きら) 怜治(れいじ)』から話しかけられた。

美形のイケメンで誰にでも優しくいつも笑顔を絶やさない、尚且つみんなに自分から話しかける本当にいい奴だ。


「侑汰は凄い席になったな」

「そうなんだよ、本当の意味で両手に花なんだ。どう、羨ましい?」

俺は冗談で怜治に言ってみた。


「羨ましい… か。どうだろうね? とにかく何かあったら俺が相談に乗るよ。取り敢えず頑張って」

こんなことを言って怜治は去っていった。


俺は「???」って感じになって、怜治が何を言いたかったのか全く分からなかった。

怜治にそんなことを言われた次の日の朝、いつものように四方と八条に「おはよう」と言って席に着こうとしていた。何やら空気がおかしいなと思っていたら、四方が何やらぶつぶつと言い始めた。


「なんか最近この教室、臭うわね…」


すると八条も明後日の方を向いて何やら言い出す。


「ほんと、席替えしてから毎日臭くてやだなー」


それからは交互に彼女たちのつぶやきが始まった。


「臭いの張本人がなんか言ってる、クスッ…」


「臭ってる人って自分では分からないものなんだね…」


「やだ~ 臭いの元が喋ったぁ~」


「はあぁ~? 悪臭の原因が何言ってんのよ!」


急に彼女たちはお互いの方を向いて罵り合いを始めた。


「最近のゴミって喋るんだ? びっくり~」


「根性腐ってると顔も言葉も下品になるのね…」


「あんた、自分のことだって分かってる?」


「それはこっちが言いたいことだね」


喋ってる彼女たちの表情は、鬼の形相だった。普段からは考えられない顔つきで、俺は恐怖を覚えた。

ちょっとちびった…。


しかも喋ってる内容がえげつない。どっちも負けないぐらい性格の悪い言葉の応酬だ。いつもの彼女たちの笑顔からは想像もつかない顔つきで、今から殴り合いでも始まるのかというような雰囲気だった。今まで仲良くなさそうなのは知ってたが、こんなに険悪だとは思わなかった。


この日から、彼女たちの行動が少しずつ変化していった。


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