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 先生と私の無言の時間が続く。


 無言の笑顔が怖いです。


 ――ガラガラ


 どうしようか悩んでいると扉が開いた。後ろを振り返ってみると、そこに居たのはカイル・オルコット様。


 カイル・オルコット様は侯爵家のご子息様。私と同い年。紺色の髪に琥珀のような綺麗な橙色の瞳をもっている。顔も良く性格はちょっと怖い。そして、魔力量も多い。次男だが、たくさんのご令嬢方が彼の婚約者の座を狙っているという噂だ。


「先生、本当にたまたまです。それでは、失礼いたします」


 呼び止められる前に部屋を出た。オルコット様にはお礼を言わないと。

 部屋の前で待っているとしばらくしてオルコット様が出てきた。


「先ほどはありがとうございました」

「いえ、偶然ですよ。僕が先生に用があったのは本当ですし。それにしても、何かしたんですか?」


 オルコット様にそう聞かれてしまった。

 今までの事を全部話すとオルコット様は面白そうに笑っていた。


「初めてです。反省文を書かされている令嬢を見るのは。大抵の方は家の権力でなかったことにするんです」

「初めて知りました」


 私がそういうとオルコット様はそうでしょうね、と言いまだ肩を震わせている。

 あの、さすがに傷つきますよ、私。


「すみません。良ければ、これから魔法について教えましょうか? 僕の属性も水なので」

「でも、お忙しのでは?」

「大丈夫です。ちょうど暇な時間ですから」


 それなら、と頭を下げる。


「よろしくお願い致します、オルコット様」

「カイルでいいですよ、メイラー嬢」

「分かりましたカイル様。それなら私もクリスタで。あと、敬語じゃなくて大丈夫です」

「様はつけなくていい。クリスタも敬語やめてくれ」


 笑いながら答えるカイルと噂で聞いたカイルは全く違った。

 噂では冷酷無比だとか近づいてきた令嬢を氷漬けにしたとか。怖い噂ばかり聞いてたけど実際に話してみると優しい人だと分かる。


「どこに行くの?」

「修練室。この時間なら空いてるし実戦できるから」


 頷いて歩き出す。隣を歩くカイルは興味深そうに私を見ていて首を傾げる。

 私、何か変な事したかな? そんな事した覚えはないけど。


「カイル?」

「いや、聖女だと言われているのに聖女らしくないなと思って。それに、僕を見て態度を変えない令嬢はクリスタが初めてだ」

「うーん、聖女って呼ばれてるけど聖女になりたかったわけでもないし。カイルは私を助けてくれたでしょう? 」


 そういうとカイルは目を見開きその後、見惚れてしまうような笑顔でニッコリと笑った。


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