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『あなたはレイラよりも強い力を持っているわ。ただその使い方を知らないだけなの』
「使い方、ですか……」
『ええ。それさえ分かっていれば大丈夫。けれど、もうあなたはそれを知っているはずよ』
女神様の言葉に首をひねった。
私は知らない。そのはずだけど。必死に記憶を探って、探って。
……あ。
「願えばどんな事でもできるようになる」
確かめるように呟けば女神様は正解と言うようにうなずいた。
大切なことだとは思っていたけどその言葉はおまじないみたいなものだと思ってた。
『魔法の源は願いなの。そもそもの始まりは平和を幸せを願うものだったのよ。今もその本質は変わらない。ただ願うものが増えただけ。それは、悲しいことでもあるけど同時に幸せなことなのよ』
「どういう意味ですか?」
悲しいけど幸せなこと? 意味が分からず首をかしげるとふふと女神様は笑った。
『世界が平和になった、ということよ。願うものが増えたということはそのぶん心の余裕ができたということ。ただ、少し強欲になることもあるけれどね』
なんとなく分かった気がする。
前世と比べると魔法の便利さがよくわかる。魔法が無くなれば生きていくのは難しくなるかもしれない。
『あら? そろそろ時間ね。あなたを呼んでる声が聞こえるわ』
ふいに女神様が声をあげた。
声なんて全然聞こえない、と思ったら小さく私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
話したりない。だけどなぜか早く戻らなきゃと思った。
『最後に。魔王は本当に強いから気をつけて。彼の心の闇に捕らわれないように。あなたのことをずっと見守ってるわ』
「はい、ありがとうございました!」
私がそういうと同時に目の前が真っ白い光でぬりつぶされた。
霞む視界の中で女神様が小さく手を振っているのが見えた。
そして……。
「クリスタ!」
目が覚めた。
さっきの光とは別の温かい橙色の光が目をかすめる。
ボッーとしたまま横を向けばカイルがいた。
「あれ、カイルどうしたの?」
やけに心配そうに見ているから何かしでかしたのかと不安になる。
私の寝起きでぬけた声にフゥーとカイルが息を吐いた。
「この部屋からとても大きい魔力を感じたから慌ててきたんだ。それなのにクリスタは寝てるし起こそうとしてもなぜか起きないし」
あ、それはすみません。
女神様と会って話をしてたなんて言っても信じてもらえるかわからないけどちゃんと話しますから。
「それと、その髪はどうしたんだ?」
「ん? 髪?」
カイルに言われて見てみれば腰まである水色の髪の色が変わっていた。




