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 声が出ない。


「フイリップさん、その足は……」


 彼は自分の足を見て笑った。


「なんでもありませんよ。少しヘマをしただけですから。それより、穢れでしたかな。その話をしましょう」


 本当に何でもないように笑ってフイリップはサーナを呼んで車椅子を押すように頼んだ。そして、こちらへと言うと奥にあった扉へと進んでいった。


 私たちはその後をついて家の中を歩く。

 彼らの後に続いて入った部屋はたくさんの本に囲まれた書斎だった。本だけではない。たくさんの絵も飾ってある。そのほとんどは美しい湖を描いた作品だ。


「あの、この絵は?」

「これはワシの祖父が描いた作品です。美しいでしょう? ホレン村の湖を描いたものです」


 得意げなフイリップさんに私は頷く。

 空の色を写したかのような湖。豊かな緑色の草々。真っ青な空。

 そのどれもが綺麗で美しい。

 思わず見とれてしまった。 


「フイリップ、とりあえずその湖について話してくれるかしら?」

「はい、もちろんです」


 リア様の言葉にフイリップさんは頷くと棚から一冊の本を取り出した。


「まずはこれを見てください」


 差し出されたのは若草色の表紙で綴じられた本。少し古びた感じがする。


「初代ホレン村の村長の手記です」


 そう言われてペラペラとページをめくる。そこには、細かな字がびっしり隙間なく埋め尽くされていた。

 内心、うわぁーなんて思ったのは内緒。

 いや、だって読むの大変じゃない? それに私そこまで読むの早くないんだよ?


「すごい、ですね……」


 すごい、すごいんだけど……。


「この量ですからワシも全部読めたわけではありません」


 まあ、それはそうだろうね。これ、ちょっと分厚い本ぐらいの厚さがあるから。

 読み終わるかなぁ?


「クリスタ、それ貸して」


 ずっと黙ってたカイルがずいっと手を差し出してきた。


「一日頂戴。そしたら、全部読みおえると思うから」


 マジですか?!

 さすが、学園一の秀才!


「じゃ、よろしくね」


 おおーっ! と私たちが感心してる間もリア様は冷静。


「カイル、頑張ってね!」

「もちろん」


 グッと親指をたてればカイルはクスリと笑って頷いた。


 さて、カイルは手記を読むのに集中してるからその間に私たちがすることといったら……。


「フイリップさん、私たちを穢れのある場所に案内してくれませんか?」

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