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皆さん、台風にお気をつけて!
私たちはやっとホレン村に到着した。
途中何回か休憩は挟んだけどだいたい予定通りの到着だ。
ずっと馬車に乗っていたから体が固まって腰がグキっていいそう。
「やっと着いた」
「そうだね。でも、頑張らないといけないのはここからだよ」
ちなみにだけど、私たちの服装は軍服に似たような服だ。リア様と私は膝下のスカートにシャツ、赤いネクタイ。丈の長いジャケットにベルトを付けている。色は紺色。始めは聖女にちなんで白色とか案があったらしいけど。
カイルたちも似たような感じだ。エドガー様ともう一人の宮廷魔道士のソニア様はローブを羽織っている。
動きやすいようにって考えて作られていて私たち専用の洋服だ。
ソニア様は女の人。薄紫の髪の美人さん。本人は顔を見られたくないっていつもローブで隠してるけどね。顔合わせの時だけしかローブを外してくれなかった。
「ソニアさんは大丈夫ですか?」
「……はい。大丈夫、です。聖女様はいかがですか?」
「私は大丈夫です」
ソニア様は何回言っても私のことを聖女様から呼び方を変えてくれない。正直言って、聖女様って言われるのはちょっと恥ずかしいから変えて欲しいんだけどね。
それにしても
「ホレン村ってこんなに寂れた感じなんですか?」
「いいえ、違うわよ」
私の問いかけにリア様が苦しそうな表情で答えた。
普段ならたくさんの観光客で賑わってるだろう町は一人も通行人の姿はない。どこのお店も閉められていてとても寂しげな感じがする。
「皆さま、お待ちしておりました」
声の聞こえた方を向くとそこには若い女性が立っていた。
「私は村長の娘のサーナと申します。案内しますので私についてきてください」
そういうなりさっさと歩き出してしまった。
こっちが何か言うひまなんて全くなかった。まあ、それだけ慌ててたってことなのかな。
それにしても、村長さんが出てこないのはどうしてだろう?
そして、サーナさんの案内で歩き始めて数分。
他の家よりも少しだけ大きくて豪華な家で立ち止まった。
「どうぞ」
そう言ってドアを開けた。
中には一人おじいさんが座っていた。
「ようこそおいで下さいました、聖女様方。私はこのホレン村の村長をしておりますフィリップと申します」
そう言って深々と頭を下げた彼は椅子に車椅子に座っていた。
「フイリップ様、その足は……」
「どうかフィリップと呼んでください。丁寧に呼ばれるとどうもこそばゆくなるので」
カラカラと笑いながらそう告げるフイリップさんの足は片方だけなかった。




