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アステリア様の笑いの発作が治まるまで約数分。
「ふふ、ごめんなさい」
「いえ、大丈夫です」
冷めてしまった紅茶を飲み、気持ちを落ち着ける。
やっぱり、アステリア様はキレイだなぁ。光が反射してキラキラな金髪とか宝石よりも輝く瞳とか。まじかで見られるなんて本当に幸せ。私の憧れる貴族令嬢です。
「どうかしたかしら?」
わっ。チラッと見たつもりがジロジロ見てしまってたらしい。
う~、恥ずかしい。
内心一人で悶えているとカチャッとティーカップを置く音がした。顔を上げるとさっきまでの雰囲気がキレイに消え、アステリア様からは真剣な雰囲気が漂ってくる。
「クリスタ様。あなたは魔王討伐に行きますか?」
聞かれて固まってしまった。
なんで……。そのことはアステリア様は知らないはず。
魔王については国王陛下と教皇様、宰相様。そして、私。この四人しか知らないはず。
「なんでそのことを……」
「陛下から打診を受けました。聖女とともに魔王討伐に行って欲しいと」
「え?」
一緒に? いつ言われたの?
私が魔王について聞いたのは昨日のこと。いくらなんでもはや過ぎない?
ううん、はや過ぎではないか。いつ魔王が復活するか分からないんだもんね。
アステリア様は火属性の魔法を使うことができる。それも、上級魔法を。
ほとんどの上位貴族は子供の頃に属性検査を受けることができる。そして、その属性にあった家庭教師を雇う。魔法が強いということはステータスになって縁談とかにも有利になる。だから、アステリア様やカイルは学園に入る前から有名だ。
私みたいな平凡伯爵家は検査を受けるお金はないから学園に入るまで自分の属性は知らなかったけどね。
「私の他に騎士の方が数名。あと、魔道士も同行する予定です」
「そうなんですね」
思ってたよりも少ないかも。でも、そっちの方が動きやすいかな? それに、私の答えはもう決まっている。レイラ様と約束した。魔王を助けるって。
だから……。
「私は行きます。まだ、力はないけど私は私のやるべきことをやりたいです」
アステリア様の目を見て、私はそう答えた。アステリア様は微笑んだ頷いた。
「わかったわ。では、私もともに行きましょう」
やっぱり、一緒に行くんですね。
「アステリア様、これからよろしくお願いします」
「えぇ、もちろん。私からもよろしく」
そうして、長いお話が終わった。
あ、あと仲間になるのだからリアでいいわ、と愛称呼びを許可された。さすがに呼び捨てはできないからリア様って呼ぶけどね。




