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「魔王、という言葉を聞いたことあるか?」
突然、国王陛下に聞かれ固まった。
さて、皆さん。
私、クリスタは自分の属性について聞くために王城に呼ばれました。そして、現在国王陛下、宰相様、教会のトップである教皇様と謁見中です。
どうして、こうなった?!
国王陛下はまだ予想できた。けど、教皇様。あなたは普段教会から出てこないだろ! なぜ、居るんだ!
という感じに私の心は荒れています。
そして、国王陛下に聞かれたのは魔王を知っているかということ。
……魔王? あの、物語とかに出てくる一番強い敵みたいなやつ? よくラスボスとして出てくるあれだよね?
「魔王、ですか」
「ああ、魔王だ。知っているか?」
あらためて聞かれなんて答えれば良いか迷う。
魔王なんてこの世界で生きてきて聞いたことはないから知らないと答えるのが正解かな。
「いえ、初めて聞きました」
私の返事に返事に陛下はそうかと答え、教皇様と目を合わせる。
何? もしかして、間違えた……?
「聖女様が知らないのも無理のないこと。魔王の存在は教会全ての力をもって秘匿した最重要機密」
……ん?
教皇様、なにサラッと重要なこと言ってんですか。最重要機密って、ただの一貴族の前で話していいことなんですかね。
しかも、聖女様って言ってるし。聖女なんて言わないでよ~!
「聖女様これを」
そういって教皇様が差し出したのは二冊の古そうな本。
『聖女の記録』と表紙に書かれた本と『後世の聖女へ』と書かれた本。
「その二冊は千年前に書かれたものです。一つは聖女について記したもの。もう一つは先代聖女のレイラ様の日記です」
日記と言われ目を見開く。
先代の聖女と言われても実感はわかない。けど、持っている二冊の本の重みはずっしりとしていて、それが現実なんだと証明しているようで。
「この日のために過去の教皇はその二冊を教会にて保管しておりました」
「そう、なんですか。ありがとうございます」
でも、この二冊の本が私とどう関係しているのか分からない。
私は聖女なんて言われているかもしれないけど、聖女として動いたことなんて一度もない。属性が関わっているとしてもそれを使いこなせてはいない。だから、聖女なんて呼ばれたくない。
「クリスタ嬢。魔王を知っているかと先程たずねたな。そなたの持つ属性はその魔王に関係しているのだ」
「聖女様。眠りから醒める魔王を倒してほしい」
ここで、倒れなかった私を褒めて欲しい。
今まで、ただの貴族令嬢として過ごしてきた私にこの話は重すぎます!!




