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初めての連載です。
クリスタ・メイラー。それが今の私の名前。
私は、『転生者』というものでその事実を思い出したのはつい先程。けど、それが今の私の生活に影響を与えるかと言うとそうでもなかったりする。
私の家は貴族の中では中間ぐらいに位置する伯爵家。特に目立った功績もなく可もなく不可もなくといったところ。この生活に不満はないし前世の知識を使って成り上がろう!なんていう野心も全くなく。近いうちに婿を取り私が伯爵家を次ぐ予定だからそんな無駄なことに割く時間があればもっと別のことをしたい。まぁ、簡単に言えばめんどくさいの一言に尽きる。
「あら、あれはアステリア様では?」
「まぁ、本当。いつ見てもあの方は美しいわ……」
視線の先にいるのはアステリア・ウェスト公爵令嬢。
金髪に紫の瞳。とても美しい方で私たち貴族令嬢たちの憧れの的だ。しかも、アステリア様は王太子殿下の婚約者、未来の王妃。成績優秀、魔法も宮廷魔導士からお墨付きをもらえるほどの腕前。これで、憧れないと言ったらおかしい。
けど、前世の記憶を思い出してからアステリア様を前世で見たような気がして、とても気になる。思い出そうとしても思い出せないし前世にアステリア様がいるわけないから気のせいなんだろうけど。
「クリス、そろそろ授業が始るわ」
声をかけてきたのは友人のべリンダ。彼女は私と同じ伯爵家の令嬢で昔から仲の良い親友。
「ありがとうベル。少し考え事をしていたの」
「そうみたいね、あなたはすぐに自分の世界に入ってしまうもの」
言い返したくても何も言えない。全部本当の事だからスッと目をそらす。
コロコロと笑うベルには逆らえない。何か反抗したら倍返しされそうで怖い。ベルは情報通でいつも誰かの情報を持っている。一度でも敵に回したら世に出すのが恥ずかしい情報も全てさらされてしまう。
「何か、失礼なこと考えてない?」
「イイエ、ナニモ」
ジトッとした視線から逃れるように顔を逸らすと王太子殿下と目が合った。最近、よく王太子殿下と目が合う気がする。そんなことベルに相談でもしたら自意識過剰って笑われてしまう。
それに、王太子殿下のような雲の上の人が私のような人間を気にするはずがないしね。
それよりも、今日は楽しみにしてた魔法の属性検査。学園に入学して一年間みっちりと魔法の基礎を学んで、二年に進級したと同時にうける検査。この検査で自分の属性が分かって、やっと魔法を使うことができる。
ベルの属性は風だった。これでもっと色々な情報を集められるって喜んでた。……程々にね。
そして、やっと私の番。
水晶玉に手をかざし、魔力をながす。すると、水晶玉は水色に。と思ったら綺麗な金色に輝き始めた。
あれ普通、属性って一つだよね?
そしたら、何で二色も出てきたのかな?!
次の更新は二日後!