変態の正体
ゴールデンウィークで遅れを取り戻すとか豪語しておいて旅行に行ったためにそれができないとは……
最近間が空きまくっています。本当にごめんなさい!!
「やっぱり。物理は効くんだね、魔族でも・・・・」
私の言葉に変態が目を見開く。
キッと開かれたその目に浮かんでいるのは憤怒か驚愕か。
どちらともとれるかもしれない。
「なんの……なんのことだ?」
「とぼけても無駄。あなたのその嘘に塗れた戦い方も、あなたの正体もだいたい見当はついてるし、あなたのその反応を見れば間違いじゃないことはわかる。」
私は一瞬たりとも目をそらさずに告げる。
相手の目は憤怒が穏やかになり、驚愕がどんどん現れていく。
ここで具体的に変態の使った戦術を告げると相手を誘うことが難しくなるし、やんわりと告げることで余裕を見せるような態度をとっていた方がいい。
「いつから……気づいたのはいつだ?」
とうとう隠す気が無くなったのか変態が口を開く。
相手は驚きを無理やり抑えたようないつになく(と言っても顔を合わせてから1時間も経過してないが)低い声で平坦な口調。一周回って驚きが表面に浮き彫りになっているその状態を見た私は心の中で呟く。
ーーそう、それでいい。
「最初は焦ったよ。でも、それも最初だけだった。」
戦い始めてかれこれ30分は経過しただろうか。
戦いで疲労し、ズタボロになった体。
相手が驚きで時間の感覚を麻痺させている間を長くするためにこの会話を長く続ける。
その間に私の体はナノマシンが修復・調整してくれる。回復の手段がない変態に対しての唯一有利な点だろう。
いや、少し違う。相手にある回復手段を封じて自分だけ回復できる唯一の手段だろう。
私は再度こちらを見つめる変態の顔を見て言う。
「違和感を覚えたのはあなたが魔法の攻撃を始めた時。」
私はゆっくりと言葉を紡ぐ。まるで信じ込ませるように。
「私の体には魔力量を測るメーターがある。私があなたの放った魔法に目を向けた時、あなたの魔法は誤差ではすまないほどの魔力が載っていた。それはもう”魔人でなければ”暴走を始めるほどにね。」
「それだけだとわからないよな?」
「問題は次の行動。あなたの体内の魔力量を計測させてもらった時、私が目を向けた時は体全体を覆うように”なんらかの魔法”が使われていた。そして、私が魔法をぶつけたら魔力量が増えた。」
この発言には嘘がある。”魔力量を計測する”なんて機能は私には備わっていない。
本当はついさっき気づいた。
きっかけは私の苦し紛れの時間稼ぎ。
私が吹き飛ばした瞬間にどんな強力な魔法でも傷一つつかなかった体が傷を負った。
今考えてみれば最初の攻撃に吐血していたのだからもっと早くに気づいてもよかった。
こいつの体の頑丈さは尋常じゃない。それも”人間なのかを疑う”ぐらいには。
でも、魔法に対してはもっとすごかった。あれだけ当たったのに全く傷がつかない。
その二つが私を解決に導いた。そう、変態の正体はーーー
「と言うこと。わかった?<ドレイン>を使っていた魔人さん。」
<ドレイン>とは魔族だけが使える闇属性魔法。大気の5倍よりも濃い魔力なら自らのものにできる。
この魔法は体内にコアを持たない人間は自らの魔力が拒絶反応を起こすため使用することができない。
コアとは貯蔵庫のような役割をしているので、自分の体が使用できる魔力以外でも貯めることができ、さらにそこに魔力を入れることでその魔力を自分の魔力と同じ波長に変換することが可能である。
要するに、この魔法が使えるのは体内にコアを持つものだけで”人間は使えない”わけだ。
そのことと結び付ければこの変態の使っていた技なんて簡単に想像できる。
「なるほど。俺はそんなミスをしたってわけか……これはお前の洞察力に舌を巻くしかなさそうだな。」
「せめて鎧でもつけておけば気づかれなかったかもしれませんね。」
「まあいい。これでやっと本気が出せるわけだ。」
変態の目から驚愕の色が失われる。
こちらのは7割ほどしか回復を終えていない。
変態の顔が一瞬にして目の前に現れる。
私は重心を後ろにずらししたから繰り出されるアッパー攻撃を回避する。
変態が第二撃を繰り出す前に『光』属性魔法で変態の周辺に簡易的な目くらましを設ける。
「集まって……全端末装備!」
私は変態から距離を置くと信号を送り出す器官から集合の信号を送りつつそう叫ぶ。
刹那、大量のモーターの駆動音が森を覆い尽くす。
プロペラの回るようなそんな音が周りを覆うと、あっという間に黒い物体がルピナスの周囲を囲み、どんどん形を成していく。
「装備完了……完全戦闘モード。」
ブックマークや感想、評価をぜひお願いします。




