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ルピナスVS変態

どうしよう。

敵を倒すには意識を飛ばす必要がある。

一番楽なのは物理的に吹き飛ばして(意識を)飛ばす方法。

今回はこれが全く効かない相手。物理攻撃は効かないし接近する必要があるため、魔法による遠距離攻撃に切り替えたはいいが、相手は余裕だと知らせるためか全く近づかずに同じ遠距離攻撃をしてきて、私は忙しく左右に動いて避けなければならない。そのくせ相手は私の攻撃を食らっても全く傷を負わずに、むしろ魔法の威力が上がってきている。


「いいですね〜もっと攻撃してくださいよ、ほら。」


「この変態……」


相手に聞こえない程度にボソリと呟いてみる。


「ま〜だで〜すか〜?じゃあこっちから行っきま〜すね〜」


先ほどの登場シーンとは全く違い、知性のかけらもない間延びした声をあげて数多の攻撃を放っていく。

こいつは今まで数えた中で少なくとも4つは属性を持っている。

確認できたのは『火』『土』『風』そして『闇』。

いずれも攻撃力が異常に高く、また私が攻撃を加えるたびに強くなっていく。

さらに『闇』属性が『暗黒』属性に覚醒しているのでより一層注意をしなくてはならない。


少し説明を入れるが、スキルの中で覚醒後に名前が変わるのはたまにあり、有名なのが魔術適性系のものだ。

『火属性適性』は『火炎属性適性』に。同じように『水属性適性』は『氷・水属性適性』『風属性適性』は『気体操作適性』『土属性適性』は『地殻属性適性』になり、『木属性適性』と『光属性適性』はともに『聖術適性』に進化する。(『聖術属性適性』には『治癒術適性』も含まれる。人間相手に攻撃力がなくなるが、アンデッドなどはこいつじゃなければ浄化できないため、適性を持つものを探すのに時間がかかるとしてスキルを持っていないアンデッドも特別に上級魔獣として扱われる。)


話を戻そう。

目の前にいる変態は攻撃が全く効かず、一切傷を負わせることもできないし、攻撃をすればどんどん魔力が回復していく。さらには攻撃の一発一発が強力で慎重に処理していけばなんとかなるが、連発されているせいで何回か当たってしまう。それもナノマシンが行う再生が間に合わないぐらいのペースで。


「つまんな〜い。ねえもっと攻撃してよ〜。」


「じゃあ攻撃させろよ変態……」


思わず呟いてしまった。

すると目の前の変態の様子が変わる。


「おい、お前今なんつった?」


メガネの奥の目が怪しく光る。

急に声が低くなり、間延びした声も引き締まる。

眉間にしわを寄せ、憤りを全身から表す。


「お前俺に生かされてるからって調子に乗んなよ?この人形風情が。」


「だいたい公爵様の命令がまずおかしいんだよ。”生け捕りにしろ”?笑わせんな、元から”生きてる”とは言えないようなやつじゃねぇか。」


私は奥歯をギリギリと鳴らす。

わかってはいた。私が”生きてる”とは呼べない存在だということも、こいつがわざと致死性の攻撃を加えないことも。

だから余計に悔しかった。このことを端的に告げられて自分の弱い部分を知った時。自分自身に腹が立った。


「お前は俺の怒りを買った。調子に乗りすぎたんだよ。」


「変態を変態と言って何が悪い。」


せめて口でも反撃をする。小学生の口喧嘩のようなものになってしまったが、これぐらいしかできないのはわかってた。


「やっぱお前は殺さなきゃな!!」


変態が突撃してくる。

私の強化された目と反射神経でも対応がギリギリになってしまう速さ。とても人間の出せるスピードではない。

とっさに目の前で手とアームをクロスさせるが、変態はその手首を掴むと思いっきり私を空中に投げ飛ばす。

『軽量』をフルに使って体重を軽くすることで着地時の体にかかる負担を軽くしようと試みるが、森全体が見渡せるほどの高さに来た時に地上からジャンプしてきた変態に追いつかれ、かかとを振り下ろされることでそれまでの配慮が全て意味を成さなくなる。

地面に叩きつけられ、私の背後にあったアームが大破する。

上から拳を振り上げ、追撃しようとしてくる変態を魔法で撃ち落そうとするが、それはあいつの魔力の糧になってしまうのでできない。

私は先ほど使った空気砲を応用したジェット噴射でとっさに攻撃を避け、目の前に落ちてきた変態を遠ざけるために反対側の手を使って殴り飛ばす。これが反撃にならないのはわかっている。そのため、急いで体内のナノマシンを頭脳部分と四肢に集中させ、修理のペースを上げる。

その間にも私は変態の一挙一動を見逃さないようにじっと睨みつけて次の動作を予測する。

変態は森の中からのそりと起き上がり、一番最初のように口周りの血を拭くと、ふらふらと少し動く。

が、やがて体制を立て直すとこちらを睨みつける。


「俺に攻撃は効かねえって言ってるだろうが!!」


また突っ込んでくる。だが、私はこいつの一連の動きに違和感を禁じ得なかった。

そして、ふと気づいてしまう。

私は目の前の変態が突っ込んでくるのをひらりとかわすと、これまで無駄だと思っていた(・・・・・)物理的な攻撃を思いっきり変態の腹部に食らわせる。


「ゴフッ!!」


すると変態は血を吐きながら吹き飛んでいく。


「やっぱり。物理は効くんだね、魔族でも(・・・・)

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