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勇者サイド 洞窟に行こう

本日も勇者サイドです!

俺たちは依頼の紙を受付に渡すとギルドを後にする。勇者である俺たちには達成できない依頼の方が少ないので、今回も難なくクリアできるだろう。ギルド内ではなぜか情緒不安定な文香と謙介をなだめるのが大変だったので、もうだいぶ疲れた。ひょっとしたら天災級よりも手ごわいかもしれない。

俺たちはギルドを出ると美嘉と文香がアイテムバッグの中から取り出した箒にまたがる。この移動手段は100年前に転移してきた『錬成師S』が作った魔道具がきっかけで広まったとされている。一般的には有名の部類に入る『錬成師S』だが、俺たち勇者は王城から出て魔道具店に行った時に初めて知った名前で、王城の図書館にもSに関する書籍が全くなかったことに対する疑問は今でも俺の頭の中に突っかかっている。


「孝介、もう出発していいよ。」

「こっちの箒も準備できましたよぉ」

「美嘉の方が魔力が安定してるから、美嘉の箒に謙介と邦和の二人が乗って、俺が文香の箒に乗るでいいか?」

「是非是非!歓迎しますよぉ!」

「別に文句はないぞ〜」

「俺も別に大丈夫だ。」

「私も二人を運ぶぐらいなら大して魔力は使わないから別に大丈夫。」

「じゃあ決まりだな。南東だからあっちの方か、結構距離あるから全速力がいいと思うぞ。」


俺がそう言うと、美嘉と文香は箒に魔力を込める。相変わらずとんでもない量(孝介基準だから楓の最大の魔力量とは比べものにならないくらい少ない)だ。さすが勇者と言ったところか。


「じゃあいくよ!」

「私もです!」


二人がそう言った途端に箒が宙に浮く。そして、一気に加速した。

ゴォッと言う音が聞こえる。だいたい新幹線ぐらいのスピードだろうか。距離で言うと東京から青森までぐらいだから4時間ぐらいか。今日中に洞窟内の魔獣を駆逐するのは無理そうだ。まあ天災級がどの程度か知らないが。


ここで一つ説明をさせてもらうと、箒のスピードは扱える魔力量と乗っている人や荷物の量で決まる。孝介たちは普通の人ではまず扱えないほどの魔力を箒に込めており、新幹線ほどのスピードが出せているが、それでも『ムラクモ』の最高スピードには遠く及ばない。なんせ時速1600キロメートルは普通に出せる乗り物だ。


それからしばらく特に驚くことはなく普通に洞窟まで進んでいた。途中で昼食用の肉を狩りで確保したぐらいで、昼食は料理のできる女性陣に任せた。

何回か休憩を挟みつつ俺たちは順調に進んでいく。俺の見立ての通り4時間ほどで目的地に到着した。途中で道に迷いかけたが邦和の『直感』でなんとか到着できた。本当に『直感』はすごいと思う。


勇者である俺たちに驚くようなことはそうそうないわけだが、俺はよくある勘違い勇者になるつもりはないので常に警戒は怠らなかった。油断大敵なんてあっちの世界ではありふれた言葉だったんだから。


「孝介〜今回も陣形は組まなくていいよな?」

「俺たちに倒せない敵はもういないだろ。孝介、先行ってるぞ。」

「そうだよねぇ私たち強いもんねぇ」

「ちょっと待ちなさいよ!」


と、俺が警戒していてもこいつらは勝手に行動する。自分が一番強いと信じて疑わない。こいつらは今まさに特急勘違い勇者行きの列車に乗車している。治という絶対に乗り越えることのできない壁を幼い頃に見たことのある美嘉はこいつらのように自惚れることはないのが唯一の救いと言ったところか。


「美嘉、あいつらはここらで一回痛い目を見るのが一番いいかもしれない。」

「私もそう思う。ここは上級魔獣ばかりでる洞窟見たいだから陣形の大切さもわかるでしょう。」


俺と美嘉は命の危険があるまで手を出さないことにした。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

洞窟は結構深かった。最初の方は難なく倒せる下級魔獣ばかりだったが、今は中級魔獣のうじゃうじゃいる地帯に来ており謙介たちも少し焦り始めた。毎日深夜に訓練を怠っていない俺と美嘉にとってはまだどうってことはないが、他の3人は敵の攻撃に対応するのが間に合わなくなっている。

文香は詠唱の長い広範囲に影響を及ぼす魔法を使うことで下級魔獣は簡単に倒していたが、魔獣たちのスピードが上がったことで文香の魔法がたまに避けられてしまい敵の攻撃が当たるギリギリになってしまうことが増えた。これは訓練が必要だな。

邦和はスピードのある敵は簡単に倒せるが、一撃で仕留められないことがたまに出てくるようになった。そのせいで少しずつペースが乱れ、こちらも敵の攻撃をギリギリ回避するというシーンが見られるようになる。これは訓練が(以下略)

謙介は闘気術を使い次々に敵を吹っ飛ばしていく。スピードと威力がともに悪いところのない謙介の最大の欠点はスタミナである。もしかするとこいつが一番危険かもしれない。スタミナの減少とともにスピード、威力ともに減少の傾向にあるこいつは長期戦になったら絶対に勝ち目はない。これはランニングなどの体力づけなども必要かもしれない。もちろんこいつもk(以下略)


やがて俺の思った通り謙介たちの体に傷がつき始めた。俺は軽く周りにいた魔獣を美嘉と連携して潰していく。魔術師の美嘉が詠唱している最中は近接戦闘系のスキルを持つ孝介が敵を薙ぎ払い、詠唱が終わった途端にアイコンタクトで魔術が的に当たるように道を開ける。美嘉の強力な火属性の魔法により敵の大半は焼き尽くされ、謙介と邦和と文香はギリギリで助かった。

俺は残ったやつを軽く屠りつつ謙介たちの場所に行く。だが、当然のように助けに行けるわけではなく。


グオォォォォォォォォォォォォ!!!


「上級魔獣か!」


ケルベロスが出てくるのだった。

孝介くんが保護者してましたね。

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