勇者サイド 受付嬢リアナ
勇者サイドを求めてくださった方がいらっしゃったので、ルピナス編で新たな疑問が提示された今、少し意地悪かもしれませんが勇者サイドを入れました。本当はもう少し先で書こうと思ったんですが、ちょうどいいと思ったので。
楓たちがルピナスの記憶をのぞいて一悶着あった日から三日ほどたった日の朝食後、孝介はギルドにて依頼を眺めていた。
基本的に王都内では自由行動が認められている勇者たちは、魔人たちとの戦いに備えて訓練をしたりギルドで依頼をこなしてお小遣いを稼いだり色々していた。
孝介は幼稚園の頃に治に教えてもらったとうりにストレッチをこなして依頼を手に取るとパーティーメンバーのところに戻る。そこでは同じストレッチをしていた美嘉とお気に入りの受付嬢を探す謙介、ジッと自分の刀剣を見つめる田村邦和とずっとふんわりとした髪型や魔法使いのローブのような服装を気にしている柳原文香がいる。俺たちはこの5人でパーティーを組んでいて、職業は俺から順に、勇者→魔術師→格闘家→剣闘士→魔術師となる。
この5人は自分で言うのもアレだが、勇者の中でも上位五人を集めたようなものだ。神降やその側近のような例外を除き、全員の勇者が王国軍と訓練をしており、その最後のテストでこの5人は好成績を残している。
「今日はこの依頼にしようと思うのだが。」
俺は忙しく歩き回る謙介を椅子に座らせて話を始める。
俺が選んだ依頼は王都から南東に進んだところにある洞窟の調査。エンペラービーやケルベロスなど大量の上級魔獣がいると言われている。上級魔獣は国王軍の精鋭が五人いてやっと倒せる魔獣だが、俺たちはそれよりもずっと強く、過去にパーティーメンバー二人だけで1匹の上級魔獣を倒したことがあると言う経歴を持つ。
「俺たちならこの洞窟は12時間ぐらいで終わるだろう。今すぐ受付に行って美嘉と文香の箒で洞窟に向かえば今日中に終わると思う。」
「異議なし」
「私もないわ」
「俺も〜」
「いいんじゃない?」
「じゃあ、受付に行くぞ。」
「孝介、向かって右から二列目の列に並んでくれ。」
「はいはい」
毎度のことだが、謙介はお気に入りの受付嬢のところに俺たちを並ばせる。
しばらくして俺たちが前から二番目になった時だった。前に並んでいた酒臭い大柄の男が声を荒げた。
「仕事だぁ〜?そんなんかんけぇねぇだろ!俺と一緒に近くの酒場に行こうって言ってんだよ!」
男は腕を振り上げる。まあここで黙ってたら勇者じゃないな。
俺はそいつの腕を掴むと一言いった。
「そう言うのは良くないと思いますよ?」
◇視点受付嬢リアナ
「そう言うのは良くないと思いますよ?」
振り上げられた腕が怖くてビクビクしていたところに一つの声がかかる。ここ最近毎日のように相手をしているパーティーのリーダーさんの声だ。
「なんだぁ?ガキのくせに指図してんじゃねえよ!ここはお前らみたいなガキが来るところじゃねえ!俺は今リアナちゃんを誘ってるんだよ!」
「リアナちゃんはお前のものじゃねえ!」
「なんだと?俺はAランク冒険者『豪傑』のーー」
「そう言うのは自分を雑魚っぽく見せますよ。」
そう呟く声が聞こえると私にしつこく言い寄ってきた男は胸ぐらを掴まれ入り口まで吹き飛ばされた。
「謙介、あまり刺激するな。こうやって目立っちまうだろ?」
「いや、いくら孝介の頼みでもリアナちゃんに手を出そうとしたあいつだけは許さねえ、意識が戻ったら俺がボコボコにしてやる。」
「『ボコボコにしてやる』なんて実際に言う人がいるんですねぇ。」
「うるせえ文香、俺はこれでも言い表せないほど怒っている。」
「文香、謙介なんてこんなもんだ。いちいち感情的すぎる。」
「そう言うお前は感情なんてあるのかよ?ロボットなんじゃないのか?」
「邦和、謙介、何やってるのよ。早く依頼を渡しに行くわよ。」
楽しそうだなぁ。私も仕事から解放されたい。ここは本当にブラックだからなぁ。
「すみません人を吹き飛ばしたりして、後始末はしとくんで。」
爽やかな顔のリーダーさんが声をかけてくる。私と同い年ぐらいだろうか?ここの仕事を辞めて冒険者になったら楽しいのかな?
そんなことを考えていると対応が遅れてしまった。急がなきゃ!
「べ、別にいいです!こちらでやっときますから!依頼はなんでしゅか?!(あぁ急ぎすぎて少し噛んじゃった。恥ずかしい)」
みるみる顔が熱くなっていく。すると、文香と呼ばれていた方からジトッと言う擬音が聞こえてきそうな目で見られた。謙介と呼ばれていた人はリーダーさんに掴みかからん勢いでリーダーさんの方を振り向く。
「……最初の間といい、セリフを噛むところといい、赤い顔といい。孝介くんまた一人女の子を落とした?どうしようこの子結構かわいいし、ライバルがまた増えちゃった?」
「孝介ぇぇ!お前は親友だと思ってたのによぉ!」
あれ?みなさん勘違いされてます?別にそう言うんじゃないですよ?
私はどちらかと言うと眼鏡をかけた知的なイケメンの方が好みですからね?
「謙介は何を怒ってるんだ?早く依頼を受けるぞ。」
そう言って依頼の紙をリーダーさんは提出する。その途端に私は急いで考え直すように迫る。
「この依頼ってSSSランクじゃないですか!それを五人でって死にたいんですか?!しかもこの洞窟、天災級のストーンタイガーがいるとか言われてるやつじゃないですか!」
「大丈夫、俺たちは二人で上級魔獣一体を倒したこともあるし、ランクもこの前S+になった。天災級がいるなんて知らなかったけど、まだ俺たちでは危ないことはわかってるから近づかないし。」
そういって全員がプレートを差し出す。100年前の勇者様しか到達できなかったと言うS+ランクが目の前に五人いる。しかも上級魔獣を二人で倒したと言っていた。
やばくね?
おっといけない口調が乱れてしまいました。ちゃんと冷静さを装って対応対応、マニュアルどうりに。営業スマイルよし!
「そうでしたか。ではリーダーさんの年齢とお名前を教えてください。」
あれ?文香さんと謙介さんから何か不穏なオーラが……
「孝介ぇぇ!お前は親友だと思ってたのによぉ!お前って奴はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「名前と年齢を聞いてきた?これってもうそう言うことなのね、隠す気もないのね!」
そうじゃないってェェェェェェェェェ!!
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※間違いを修正しました。
時系列も変更。ごめんなさい、つじつまが合わなくなってしまいそうだったので。




