試験開始5分前
ごめんなさい!昨日投稿するつもりだったものを投稿していませんでした。本当に申し訳ないです。
俺は今MAXスピードで森の中を疾走している。『乗馬』と『乗龍』、『乗魔』の二つが『統合進化』した『乗りこなし』のスキルを持っているが、いちいち避けるのがめんどくさいので『このバイクとこれに乗っている人は障害物を透過する』と書いてしまったので、障害物を気にせずに突っ走るということが可能となった。まあ、治自身もこれが常識的に考えてありえないことはわかっているので人目の多いところでは解除できるように解除スイッチはつけたが。
「治くん、あとどれくらい?」
障害物透過に声を出せなくなってしまう状況が五分ほど続いたが、もう割り切ったのか普通に喋れるようになった楓が聞いてくる。
「このカーナビによるとあと80キロだから3分ぐらいだな。」
このバイクには『この世界の地図と目的地への道順、距離の表示』と『執筆』したモニターが取り付けられており、あちらの世界でのカーナビの役割をしている。
「銀狼さんはもう到着されたでしょうか?」
「多分な、邪魔にしかならない中級以下の魔獣でも殺してるんじゃないか?」
銀狼は準備をすると言って先に走っていった、多分あれには毎日走っても100年ぐらいは追いつけない。
だが、戦闘能力ではかつ見込みがある。今日の戦いで試す武器もきっとすごいだろうし。
「そうだ、楓と琴美は何か武器欲しいか?」
「そうだね、この試験は魔術だけしか使えないけど、その後はお世話になるだろうし何しろ治くんの作る武器だからすごく強いのがもらえそうだしね。」
「私も同感です。治くんの作る武器はきっと国宝級も軽く超えていくでしょうし。」
「じゃあ試験に合格したらそのサイドカーを改良して武器にしてやるよ。」
「あ、私は私専用のバイクが欲しい。」
「じゃあ、私は車で。」
「仕方ないな、でも性能は俺のよりは落とすからな。これ作るのめっちゃ大変だったんだから。」
そう、このバイクには治の愛が詰まっている。形だけなら30分もかからないが『執筆』が大変だった。何をさせるか考えてそれを一番短い文字数で書くための工夫を凝らしやっとできたものである。
そうこうしていると洞窟が見えてくる。その洞窟はTHE洞窟!というような見た目ですぐにわかった。周りの木々がザワザワと騒ぎ立てるように音を立てているが、洞窟からはキエェェェェという魔獣の断末魔が聞こえる。銀狼が派手にやっているんだろう。
「楓、頑張れよ。」
順番は楓、琴美、俺の順。理由は簡単で、神気を使ったところでは魔力が神気によってほとんど消滅しているからだ。俺と琴美は神気を使うので同時に戦闘ができないという改善すべき点がこれによってわかると思う。
「目標は20分だよ!いってくるね。」
上級魔獣12匹を20分で倒すと言って出ていく楓に突っ込むものは誰もいない。それほど一ヶ月の訓練が濃いものだったということである。
「気をつけろよ!」
楓はニコニコとこれから魔獣(しかも上級)の討伐に行くとは思えないほどの笑顔で手を振っていた。
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◇視点孝介
俺たち勇者一行は今冒険者ギルドにいた。そこはよくあるギルドで冒険者たちは酒を手にガヤガヤと騒いでいた。
俺たちは王国軍騎士団団長であるライムさんと一緒に来ているためか、話しかけてくる冒険者は一人もおらず、特に何も問題は起こっていない。
今回は騎士団との訓練を一通り終え、次からは実践ということで冒険者登録をすることになった。
(治が生きているなら冒険者になっているかもしれないが……仮名を使っているとなると名前はわからないな。受付の人から治の情報を聞き出すにはどういった方法があるだろうか……)
俺はまだ信じている。治はきっと死んではいない、どこかで稼いでまだ生き延びているんだろう。だが稼ぐ方法が冒険者ギルドではないかもしれない。俺はそのことを考慮し、自然な聞き方で治と思われる情報を引き出しすためにはどうすればいいかを考えている。
「いらっしゃいませ、勇者一行のみなさまですね。」
出迎えてくれたのは可愛い受付嬢ではなく王都のギルマス、この国のギルドで一番偉い人だった。謙介が何やら盛大に落ち込んでいるが、きっと可愛い受付嬢でも期待していたんだろう。
「はい、このグループの一応リーダーをさせてもらっている高見堂孝介です。どうかよろしくお願いします。」
「勇者様、顔をお上げください。ギルドはあなた様達を全力でサポートしますので、今後も活躍されてください。」
「ありがとうございます。」
治がいなくなってから俺はグループのリーダーになった。治達の失踪には謎が多いが、一つ言えることは重要な知識係を失ったということだ。治は『読書内容絶対記憶』を持っているらしいし、治のことだからたくさんの知識を身につけていたに違いない。そう考えると治の失踪は俺たちには少なくないダメージを与えたことになる。俺はできる限りの量の本は読んだが、絶対にそれでは足りない。そのために治を見つけ出してまた呼び込むしかないのだ。
「では、お一人ずつ順番にこの魔道具にクリスタルをはめてください。このくぼみの部分にぴったりハマると思いますから。」
俺たちは一列に並ぶ。俺が一番前で、ギルマスに言われた通りにする。魔道具はシンプルに直方体で、上から見たときのちょうど中心にくぼみがあり、その上に長方形の金属の板が設置されている。そこにクリスタルをはめる。するとクリスタルを中心に魔道具にいくつかの光の線が現れた。光の線はやがて魔道具全体を包み込むとフッと消える。すると長方形のプレートが輝き出し、やがてそれも消える。
「これで終わりです。そのプレートが冒険者の証になりますので、紛失しないように管理しておいてください。」
「わかりました。ところで、少し聞きたいことがあるんですけどいいですか?」
「どうぞどうぞ。」
「最近耳にする奇妙な話って何かありますか?」
「王都ですと特に変わった事件は起きていませんね。ただ、帝国のギルドによりますと、5年ほど前から目撃されていた『魔獣喰らい』という魔獣を喰らう魔獣の被害範囲が移動したとか。」
「ありがとうございます。」
治には関係なさそうだった。俺はいったん治のことは置いといて依頼の張り出されている場所を探すことにした。
ブックマークが増えていました。本当にありがとうございます。




