少し昔の話
シリアスは一旦終わりです。これからチート街道まっしぐらですね。
それから3日が過ぎた、
その間あったことといえば琴美の希望により呼び方を名前で統一したことと、例の『赤鈴蘭』を見つけたので少しとっておいたぐらいだ。
森を歩く際にコンパスがないのは困りもので、太陽が隠れてしまうことが続くと進行方向から少し斜めにずれていたと言うことがしばしばあった。
そのせいで予想していた時間よりも大幅に遅れており、さらに今は大変な状況にある。
「ここ、どこだ?」
ザーザーと雨の降る中ポツンと佇む少年少女(?)3人。
そう、『迷子』である。
一度は経験したことがあるだろう(作者基準)。だが、高校2年生にもなって迷子とは少しプライドが許さない。
進路がずれたせいで『迷いの森』と呼ばれる場所に入ったことに気づいていないのでただ自分が間抜けなだけだと思っている。
『迷いの森』の幻術は強力で、迷いの森に入ったと気付かせない幻術もかかっているため、気づくのに少々時間がかかる。
(あれ?)
そこで治はあることに気づく、
(誰かいるのか?)
そこにはうっすらと光が見えた。まるで誰かがスキルを使っているような。
「あの……あそこに誰かいるかもしれません。」
琴美はそう言って光の方を指差す。
楓には見えなかったと言う光の方を。
「琴美、あの光が見えるのか?」
「光?」
見えてないんかい。
「光は見えませんが、誰かがスキルを使った時のようなオーラを感じるんですよ。でも、普通のとは違いますね。
なんかこう、洗練されているような、混じり気のないような。」
言われてみれば、光が濁っていないような、濁った光というのも変だが。
そして琴美は『オーラを感じる』と言っていた、光の方に行くしかなさそうだ。
目指す先が確認できるのはいい、光に向かって歩けばいいだけだ。
雨が降りしきる中ぬかるんだ地面を歩くのは少し疲れるが。
「ねぇ治くん、こっちでいいの?」
楓には感じることも見ることもできないらしい。
「俺にはこっちに光が見えるんだが…琴美は感じるか?」
「はい、前の方に感じます。だんだん強くなってますが。」
光は近づけば近づくほど強くなっていく。
その時だった、
ガウゥゥゥゥゥ
「なんだ!」
ここに肉食獣はいないはず、だがはっきりと聞こえた。
『バキッ』というき木の枝が折れる音がだんだん近づいてくる。
そして現れたのは銀色の毛並みをした、狼だった。
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そのころの王城では……
◇視点美嘉
アイツがいなくなってから3日が経った。
何者かの襲撃によってアイツと楓ちゃん、一高の周防さんがいなくなった。
みんな特に謙介はその事実を知った日はすごく悲しんだ。
楓ちゃんがいなくなったことに……
誰もアイツと周防さんのことは悲しまない。みんなが悲しむのは楓ちゃんという人気者がいなくなったことに対して。
(どこにいるの……)
私は全く信じていない。きっと孝介もだろう。
(アイツはきっと生きている。)
みんなは死んだと思っている。アイツと周防さんと楓が…
だが、孝介と私は信じていない。アイツが死ぬなんてありえない。
10年前のアレがあったから。
10年前、
アイツと私と孝介はよく遊んでいた。
アイツはすごかった。幼稚園の中では隠していたが、まだ五歳なのに今の私でも読めるかどうか怪しいような200ページ(見開き100ページ)の英語の本や韓国語の本を5秒で読み、そこに書いてあったことならなんでもこなせるようになった。
勉強の苦手だった私や走るのが遅かった孝介はアイツに色々教えてもらっていた。
孝介はあんなに走るのが遅かったのにアイツにコーチを任せて以来、見違えるほど早くなった。
そして私もテストの点数がうなぎのぼりだった。五点の答案を親に見せなくて良くなったのである。
私はアイツを尊敬していた、もしかしたら好きだったのかもしれない。
そしてあの日、『あの事件』がおきた。
あの日はアイツと私たちは裏山で来週にある運動会の特訓をしていた。
一時間ほど特訓し、少しの休憩をしていた時だった。
『なんだあれ?』
孝介が見つけた、空に浮かぶ『穴』を。
それはどこに繋がっていたのか分からない。でも、これだけはわかる、『この世界ではないどこか』ということは。
それをみた瞬間、アイツが叫んだ。
『逃げろ!』
すごい形相だった。私たちはとりあえず逃げた。後ろを振り返ったとき、得体の知れない何かとアイツが向き合っていた。
しばらくして、爆音が響いた。高校3つが爆破されたらしい。
急いでアイツのところに戻った。
アイツは何もできなくなっていた、出来ていたという記憶もなかった。
私と孝介はアイツの教えのおかげか、テストの結果はどれも良く、三高に入学した。
アイツ自身は一高だったが、
「孝介くん、アイツは……治は無事だよね?」
「アイツはすごい、俺たちはそのことを理解しているだろ。」
「そうだよね、」
アイツは無事だろう。
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◇視点治
目の前に狼が現れた、人間は焦ると思考が回らない。
「逃げろ楓、琴美!」
「治くんは?!」
「絶対追いつく。自己犠牲なんて大っ嫌いだ!」
「絶対戻ってよ!私たちは先に行ってるからね!」
俺は狼に向き合った。
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