In Memoriam ハイファンタジー
※この詩モドキには皮肉が含まれています。皮肉が苦手な人はネット断ちしてください。
おやすみ、ハイファンタジー。
おやすみ、私の親友。
今までありがとう。
元気だったあなたとの日々を振り返る。
物心ついたら病室で寝ていた。
幼児にとって、狭すぎる世界だった。
もちろん私は外に憧れていた。
でも危険だから、出してもらえなかった。
あなたがそんな私に自由を与えた。
空を飛べなかった私に羽を与えた。
一人ぼっちだった私に仲間を与えた。
思い返せば、与えられっぱなしだった。
あなたに紹介された英雄達と、
共に戦い、共に成長した。
苦しい時も立ち上がる勇気を、
あなたと彼らが教えてくれた。
あなたに先立たれるとは思っていなかった。
ずっと傍にいてくれると信じたかった。
でも、時間は公正のようで残酷だった。
あなたもその濁流に呑み込まれてしまった。
世界のはての泉は干上がり、
魔法のたんすはもう開かない。
唯一無二だったはずの聖剣は、
テンプレ工場で量産されている。
尊敬していた英雄はどこに行った?
共に冒険した戦友も見当たらない。
次代を担う、勇敢な若者は?
運がいいだけの俗物は要らない。
俗物が侍らすヒロイン達も、
薄っぺらくて、まるで娼婦のよう。
気品溢れていた女傑達は、
雪が溶けるように消えて行った。
世界を脅かした古の巨悪、
敵ながらあっぱれの言葉が似合う。
かませ犬に成り果てた彼らを見ていると、
「あっぱれ」が「憐れ」に変わってしまう。
畏れ多くも神々ですら、
今やただの無能な運営。
死んだクレクレ厨に配布される、
ハーレムとチートと詫び転生。
あなたがいたあの日々は、
もう戻らないと分かっていながら、
あなたと見せたあの世界を、
もう一度歩きたいと願っている。
おやすみ、ハイファンタジー。
おやすみ、私の親友。
いつかまた会おう。
眠りついたあなたの安らぎを祈る。
※ハイファンタジーは死んでいません。(念の為)