☆最終話☆ 多謝
亡くなった生徒達は数日間かけてユカの黄泉へのキッスで生き返らせた。
「ありがとう、ユカ! 君こそ、3年B組のヒロインだ!」
生き返ったばかりのオトナリが冗談を言う。どんな時もオトナリはお調子者だ。
「やめてよ、オトナリ君」
ユカが頬を赤らめる。
そして、リンゴも黄泉へのキッスで生き返った。
「サトル君、私達の命で地球が救えるのなら、喜んで命を差し出すよ」
ユウト達から状況を聞いたリンゴは、しっかりとサトルの方を見据えながら言った。
「えっ!?」
そう言われる予想を全くしてなかったサトルは驚いた。
「私達はサトル君の想像が産み出した存在。元からこの世界には存在しなかった存在なのだから」
「リンゴ…。でも、僕は君達がいる世界でないと生きていけないよ」
「サトル君はもっと強いはずよ。それを思い出して」
サトルはリンゴを思い切り抱きしめた。甘い香水の香りがした。
儚く笑顔を浮かべるリンゴ。サトルは胸を締めつけられるような気持ちになった。
「分かった。実は僕も地球をこんな状態にしたことに罪の意識を感じていたんだ。地球を元に戻そう」
うつむきながらサトルが言う。
「待って。ここにいないリナさんやレーンさんの意見は聞いたの?」
シロマが止めようとする。
「いいんだ。もう決めたことだから。このまま罪の意識を抱えながら生きるよりも、早く楽になりたいっ」
サトルは吐き捨てるように言った。
リンゴはサトルをぎゅっと抱きしめた。
「ありがとう、サトル君」
その日、地球からブークモールが分離し、地球は元の姿に戻った。そして、ブークモールは消滅した。リンゴもリナもレーンも消滅し、サトルは40歳引きこもりニートだった元の姿に戻った。
(僕は忘れない--! リナやレーンやリンゴと過ごした日々を。その記憶があれば、なんとかこれからもやって行ける。)
地球が元の姿に戻ると、地球人の魔力を当てにしていた魔法軍は戦況が悪くなった。魔法軍と科学軍は平和条約を結び、ここに魔科大戦は終わりを告げた。
地球は魔科大戦前の活動状況を取り戻しつつあった。ユウト達の学校も卒業式を迎えた--。
「ユウト君! 別々の大学になったけど、これからも二人で会おうね」
「うん! これからもずっと一緒だよ」
寄り添うユウトとユカ。この二人はのちに結婚し、子供を産み育てて、平和に暮らした。過去に強力な魔法を使えたことは、3年B組の生徒達の間だけの秘密だった。地球を平和に導いたことをユウトは誇りに思っていた。しかし、決して自慢はしなかった。その事実だけでユウトは幸せな気持ちになれたから。
僕達3年B組の長い長い物語。この物語を知ってくれてありがとう。読者の皆さんに感謝します。
〜完〜




