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目覚めたら最強の魔法戦士だった ~学校のクラスで異世界転移〜 (略称:めざまほ)  作者: 今野よーよー
めざまほ第三部 黒騎士ユウトを追え! ~サトル転生篇~
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第四話 黒騎士の謎とそれぞれの決意

 イミンドゥン戦の翌日にリンゴの葬儀があった。

 戦いには勝利した形になったものの、征伐隊にもリンゴを含めて3名の死者がいた。

 200名を超える征伐隊メンバーのうち、3名の死者ですんだのは、サトルの功績によるところが大きい。

 葬儀では、サトルは声を枯らして泣いた。

 愛していたリンゴの命が失われたことは取り返しのつかない悲しみになった。


「私が作ったカレーを美味しく食べてくれて嬉しいな。

 サトル君のこと、大好きだよ」


 いつかの夜のリンゴの言葉が脳裏をよぎる。

 僕もリンゴのことがたまらなく好きだった。


(僕はあいつを許さない!

 絶対に殺してやる!)

 心の中で誓いを新たにするサトルだった。



 そして、イミンドゥンで働かされていた奴隷には、驚くべきことに、サトルやダイゴ達と同じく、地球から転移させられた者たちが30人ほどいた。

 欧米人にアジア人、アフリカ人など、人種、国籍も様々だった。


 魔王軍もゲートを用いて有能な人物を転移させていたのか?


 しかし、調査したところ、奴隷にされていた地球人たちには何のスキルもなかった。 

 謎は深まるばかりだ。


 また、イミンドゥンには地球の物と思わしき建物や小物、服飾品の数々まで転移していた。

 人だけではなく物も。

 ふくらんでいく疑問の数々。



「黒騎士について、謎なことが三つある。

 一つは黒騎士がユウトであるのか」

 イミンドゥンにある談話室の中、ダイゴがチャゲとシマダに話す。


「ユウトで間違いないよ。

 あの声はユウトだし、黒騎士が使った魔法もユウトのものだ。

 普通、特殊魔法はその魔法を生み出した一人しか使えない」

 チャゲが答える。

 チャゲは秀才で頭が切れる男だった。


「そうだな。

 そして、なぜユウトはブークモールで空間跳躍を使えたのか」

 ダイゴが続ける。


「あの瞬間移動だね。

 僕もそれは分からない。

 空間跳躍の魔法はユウトは使えないはずだ。

 新しく身につけようにも、ユウトには空間系の魔法の素養はなかったはず。

 惑星ババロアの時みたいな科学機器でもないと…」

 チャゲが顎に手をつけながら考え込む。


「もしかしてーのもしかして、他の異世界の人間から協力を得ているとか?」

 シマダが冗談めかして言う。


「それはあり得るな。

 そして、三つ目の謎は、ユウトは洗脳されているのかだ」

 ダイゴの目は真剣だ。


「洗脳されてるはずだよ!

 だって、ユウトがあんな残酷なことをするとは考えられない!

 あんなに優しいマンのユウトが!」

 シマダが興奮気味に言う。


「うーん、それは考えても結論の出ない疑問だよ」とチャゲが顎から手を放して言った。


 沈黙の後――


「それで、今後の俺たちの動きについてだけどさ。

 実はイミンドゥンで捕えた魔王軍の捕虜が……」

 少し重くなった空気の中、ダイゴがしゃべり出した。



 城塞都市イミンドゥンで自分に充てられた自室において、僕は悲しみの中、不思議に思うことがあった。


 黒騎士のあの言葉。

 ブークモールは“本の言語”という意味で、イミンドゥンは“想像”という意味……。

 これらのアイスランド語を僕は知っていた。

 会社を辞めた後、北欧かぶれになって、アイスランド語を勉強していた時期があった。

 なぜ、今まで忘れていたのだろう。


 葬儀の翌日の夜、レーンが僕の部屋にやってきた。

 レーンは征伐隊でチームを組んだ時に、僕と同じチームになった金髪で青い目をした女の子だ。


「リンゴが亡くなって傷ついているのね。

 私でよかったら、慰めるよ」

 レーンは静かに言った。

 この子、なかなかの美人だ。

 小ぶりな胸も愛らしくてそそられる。


「私ね、最初見た時からサトルのことが気になってたの。

 強くて、どこか達観している人。

 今夜、私とそばにいない?」


「ああ、でもなかなかそんな気にはなれないよ」と僕は返した。


「私の目を見て…。

 私もサトルのことが好きなの」

 レーンはそう言うとベッドに座っている僕を抱きしめた。

 この世界の女の子はみんな積極的なんだな。

 レーンが優しく微笑みながら僕の腰に手を回してくる。


 その日、僕はレーンを抱いた。



 翌日、毎日ある定例の方針会議の場で――


「えー、今日の作戦会議のテーマは……」

 回復魔法で何とか立てるようになったスミスが言う。


「僕から話があるのですが…」

 チャゲがスミスの話をさえぎって言った。

 話の途中で居眠りをするダイゴや、冗談を言ったりするシマダと違って、チャゲは人の話を真面目に最後まで聞くタイプだ。

 話をさえぎったのは、何か大きな理由があるのだろう。


「なんだ?」とスミス。


「イミンドゥンの捕虜の話によると、黒騎士……ユウトがいつもはスルドサガ城で魔王の子供であるザラキを守っているという話を聞きました。

 ユウトを追っている僕たちもスルドサガ城に潜入します」


「そうか。チャゲ達がいなければ戦力ダウンだが、仕方ない。

 俺たちはイミンドゥンを守っているよ」

 スミスは至極残念そうに言った。


「僕もスルドサガ城へ行きます!

 黒騎士は許せないし、リナを取り戻したい」

 胸の中にある抑えきれない気持ちがあふれ出すように、僕は発言した。


「リナを取り戻したいのは、こっちも同じだぜ。

 俺たちもリナに恩義がある。

 ユウトが消えた後、俺たち3人がインターネット上からブークモールに来れたのは、リナの転送ゲートのおかげなんだ。

 サトル、一緒に行こう」

 ダイゴの言葉は力強い。


「ちょっと待て。

 サトルまでいなくなるのは、戦略上問題がある」

 スミスが慌てて言う。


「僕はどうしても行く!

 黒騎士を殺したい!!」

 僕は感情的に声を張り上げた。


 少しの静寂の後――


「そうか……。

 サトルがいなくなってイミンドゥンを守り切れるかは不安だが、止めても行くんだろう?」

 スミスにとっては悩ましいが、サトルがこう言っている以上、仕方がなかった。


「はい。

 誰が止めても行きます」

 僕の決意は固かった。


「しかしさー、俺らはユウトを助けたいのに、サトルはユウトを殺したい。

 ユウトを前にした時、どうすりゃいいんだ。

 アイドントノウ」

 首をかしげ、両手を軽く上げて、分からないというジェスチャーをつけてシマダが話した。


「それでいいよ。殺す気くらいじゃないと、ユウトの洗脳は解けないかもしれないし」とチャゲ。


「本当に洗脳されているかは分からないけどな。

 もしかしたら、ユウトには何か目的があるのかもしれない」

 シリアスにダイゴがそう言った。


「私も行きます」

 そう言ったのはレーンだ。


私はジェット(高速飛行)を使えたリンゴがいない今、ボディサポート(身体強化)を使える私は、彼らの移動手段になれます」

 会議場をレーンの青い目が見渡す。

 レーンも決意は固そうだ。


「あ、レーンが来るなら、僕の歩数×回復(ステップバイステップ)が役立つし、丁度いいです」

 レーンの決意に対し、チャゲが笑顔を見せながら発言する。


「分かった。

 ユウト達がスルドサガ城を攻略できるように俺も願っているよ」

 観念したようにスミスが話した。

 スミスの胸の内には、これほどの戦力ダウンがあって、戦略上重要な拠点であるイミンドゥンを守り切れるか不安がよぎっていた。

 だが、守って見せると胸に誓った。


 打倒黒騎士!

 僕の心は紅蓮に燃えていた。

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