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第五話「冒険者としての覚悟」

 「セイヤくん、冒険者カードが完成したわ。でもまずは渡す前にいくつか説明をするわね。」


 すぐに渡されるものだと思っていた俺は少し安堵するとともに、もどかしい気持ちにもなる。

 いや、先に渡されていたら落ち着いて話を聞くことなど出来なかっただろうから、この場合はこれで良かったと言うべきか。


 クレアさんは今までで一番真剣な表情をして俺に話し始めた。


 「最初に冒険者登録ありがとう。冒険者カードを作ったことで冒険者登録は完了し、これからはクエストを受けたり、ギルドから報酬を受け取ったりすることが出来るようになったわ。」


 「ちなみに登録料と冒険者カードの発行手数料は初回に限りタダだけど、失くしたときに再発行したい場合はいくらか料金を頂くことになるわ。」


 なるほど。今回は一切料金がかからないのか。

 とは言っても、俺は無一文な状態だから払えといわれても今は払うことは出来ないのだが。


 これは本当に助かる。さすがここは冒険者の国なだけあるな。


 俺が相槌を打ったのを見て、クレアさんは話を進める。


 「そしてこれが重要なこと。冒険者カードは名前、ギルドにおけるランク、本拠点としている街、犯罪歴の有無、クエストクリア歴、そして自分の保有する能力が書かれているわ。」


 「このカードは決して偽造が出来ない仕組みになっているのだけど、たった一つ自分の保有する能力についてだけは隠す、つまり他の人から見えないようにすることが出来るの。」

 「それは・・・なぜでしょうか?」

 「以前、まだ隠すことが出来なかった頃のことなんだけど、優秀な能力を持った新人を嫉妬した先輩冒険者が襲うという事件が発生したことがあるからよ。」


 「つまり能力については本当に信頼できる人にしか明かしてはいけないということ。ある程度能力に見合った力がついてくれば自分を守ることも出来るようになるでしょうけれど、冒険者に成り立ての頃はそうは行かない。」


 「その事件の被害者と先輩は周りから見ると兄弟のような存在だったというし何があるか分からないからね。自分の身は自分で守れるという自信がついたときに信頼できる人に明かすのがいいと思うわ。」

 「分かりました。ありがとうございます。」


 クレアさんの話は言われてみればもっともなことだった。

 日本においても学校や会社での成績によっていじめや嫌がらせを受けることがあると聞く。


 特に努力の部分より運要素の方が大きい能力であれば、なおさら嫉妬心が高まるに違いない。

 俺は今の時点で無力に等しいわけだから特に気を付けなければいけない訳か。


 とは言っても皆が皆嫉妬心を持つわけではないだろうし、ライバルや自分よりも強い人であれば、お互いを高め合えったり、もっと上手く能力を使いこなせるようにアドバイスをもらったりできるだろうから、能力を明らかにすることが一概に悪いとは言えないだろう。


 「最後にもう一つだけ。冒険者に登録したら、皆まずはEランクからのスタートよ。クエストをクリアすることによってランクは上げることができるけど、冒険者カードに討伐数や討伐補佐数、採取がきちんと記録されるようになっているから、楽をしようとしても冒険者カードに嘘は付けないわ。」


 つまり他の人から素材を買ってクエストクリアとはならないというわけか。

 自分の力がランクに見合ってなくて苦労するのは自分自身だもんな。


 「説明はこんなところかしら。長く待たせてしまってごめんなさい。これがセイヤくんの冒険者カードよ。」

 「ありがとうございます。」


 一度深呼吸をした俺はクレアさんが両手で差し出した冒険者カードを受け取る。

 大きさは一般的な名刺ほどであろうか。


 俺は早く見たい気持ちをこらえて、急いでポケットに仕舞う。

 

 「あら?今見ないのかしら?」

 「はい。部屋に戻ってゆっくり見ることにします。」


 そう。俺はクレアさんの話を聞いている間に部屋に戻ってから確認することを決めていたのだ。

 ここは周りの目もあるし、


 じゃあ何で緊張してたのかって?

 見ないと決めていても受け取るときは緊張するものでしょう。


 「分かったわ。確かにその方がいいかも。うん。気になるだろうし、登録も完了したから一旦部屋に戻っても構わないわよ。」

 「・・・本当にありがとうございます。」

 「全然気にしなくていいわよ。これも受付嬢の役目の一つだから。」


 さっきからありがとうございますとしか言っていない気がするが本当に感謝の言葉しか出てこない。

 クレアさんは仕事だと言ってくれたが、他の受付嬢皆がこうかと問われたらそうではないだろう。


 「あ!セイヤくんはお金を持っていないのよね?今日は冒険者登録祝いにおごってあげるから、後で宿泊室まで呼びに行くわ。ちょうど私はもう少し仕事が残っているから。」

 「いいんですか!?」

 「おごってあげるって言ってるんだから素直におごられなさい!そのかわり立派な冒険者になったら美味しいご飯期待してるわ!」


 本気で期待の目を向けてくるクレアさんを見て少し笑ってしまう。

 

 俺は再びクレアさんにお礼を言って、先ほどの宿泊室に戻ることにした。




---




 部屋に戻って一息ついた俺は早速冒険者カードを見ることにした。


 冒険者カードに記載されていたのは以下の通りだ。


 【名前】ナルミセイヤ

 【冒険者ランク】E

 【本拠地】ノースサイドシティ

 【能力】 「冒険王の素質」 「イージス」 「剣の才能」 「???」

 

 【犯罪歴】無  【クエストクリア歴】無

 

 能力までが表、そして犯罪歴とクエストクリア歴は裏に記載されていた。

 クレアさんが言っていた通り、能力のみは念じることで表示したり隠したりすることができた。


 そして能力のところには一つ一つに簡単な能力の説明が書かれている。


 「冒険王の素質」・・・冒険王としての素質及び戦闘のセンスがある。自分の身体能力を大幅に強化。味方の身体能力を少し強化する。また魔物に対しての攻撃力がアップする。


 「イージス」・・・防御力を大幅に強化する。特定状況下においては防御膜を張ることができる。


 「剣の才能」・・・剣の才能がある。


 「???」・・・??????????


 ゆっくりと一字一句を読んだ俺は戦うのに適していると思われる能力が得られたことにひとまず安堵する。

 ???は気になるが冒険王の素質、イージス、剣の才能、どれもが十分に強い能力だといえるだろう。


 しかしこれはクレアさんの言う通り隠しておくのが良いかもしれない。

 他の人の能力は分からないが、異世界補正なのか、十分に強いというよりも強すぎると言ったほうが正しいかもしれないと思える能力たちだ。


 冒険王というワードといい、???といい、あまりに都合の良すぎる能力といい、突っ込み始めればキリがなさそうなので幸運だったと受け止めることにする。


 いや、能力が強くても今の俺は全くの凡人だ。

 努力をしなければ少し強いだけの冒険者で終わってしまうことになるだろう。


 俺は、この世界における平凡を目指して駆け抜けるのだ。


 どこも平凡じゃないだろうって?


 ・・・いずれ平凡を手に入れるために今は頑張るしかないのだよ。




 久しぶりに書こうとしてみたのですが、世界観と勘が取り戻せないため、ゆっくり執筆させてください。(2018/7/11)


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