表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フィクション世界の訪問者  作者: 時計座
7/10

プサイという名の姉


 ◆ ◆ ◆


「ま、まいどありがとうござした……?」

 魚屋の若い店主は魚が二匹入った袋を差し出しながら、歯切れの悪い挨拶をした。

 ロメはその袋を受けとると、すぐさま隣のチノに差し出した。

「今度は俺かよ」

「はい。これでみんな一つずつ荷物持ってますね」

「あなた、本当に意味がわからないわ……」

 肉類を抱えたレッカがぼやく。その後ろで野菜果物類を抱えたラオがため息を吐き出した。

「こんなに買ってどうするんだ。ぼくたちだけじゃ食べきれないぞ」

「大丈夫です。あなたたち四人と、私と、あと二人増える予定ですから」

「あと二人?」

 具材をそれなりに揃えたら、ロメは彼らを引き連れて家へ戻るつもりだ。そして三人にも手伝ってもらいながら、買った具材で料理を作る。

「あ、あとパンが必要ですね」

「まだ回るのか……」

 チノがあからさまに嫌そうな声を出した。

「というか、お前も荷物持てよ。俺たちだけは不公平だ」

「さあ、パン屋さんに向かってレッツゴーですよ!」

「おい、聞いてんのか!」

 スタスタ歩き始めるロメの後ろを、三人の子供たちがカルガモのようについてくる。

 野菜・果物、肉、魚は露店で売られていたが、パンの露店はなかなか見つからない。

「うーん……パン屋さんどこにあるか知りません?」

「さあな」

 チノがそっぽを向く。続けてレッカにも視線を向けるが、こちらも無視された。

「無視はよくないですよ。ろくな大人になれません」

「上等だよ。そもそも大人なんてなりたくないね」

「ラオは返事できましたね。十点あげます」

「いらないよ。パン屋を探すんでしょ」

 そう言ってラオはロメの先にたって歩いた。

「こっちにベーカリーがある。小さな店だけど、ぼくのお気に入り」

「おいラオ、教えていいのかよ」

「じゃなきゃ終わらないでしょ、この買い物とかいうやつは」

「そうかもしれねぇけど……」

 荷物を抱え直したラオが脇道へそれる。ロメも彼を追いかけて道を曲がると、前方にレンガ造りの小さな店が見えた。コック帽をかぶった男が店頭販売を行っている。

「あそこですね!」

 ロメは駆け出した。後ろからラオも小走りでやってくる。

 買った食材を頭の中で並べながら、料理をイメージする。なるべくパンに合う料理を作ろうと意気揚々としながら、ロメは走る足を少し早めた。

「すみませーん! パンを──」

 と、店先の店員に声をかけようとしたところで、横からよろよろと歩いてきた男とロメの肩がぶつかった。

「きゃっ!」

 地面に尻餅をついたロメに、ラオとレッカが駆け寄る。

「大丈夫?」

「ええ、私はなんとか」

「おい!」

 チノが吠えた。ロメとぶつかった男はいまだフラフラしており、こちらを見ているのか見ていないのか定かではない。

 逆立った髪の毛とボロボロのシャツ。微妙に焦点のあわない両目は見ているこっちの方が酔いそうになる。

「お前、ぶつかっておいて謝りもなしか!」

 男は返事をしない。レッカが眉を寄せた。

「印象悪いわね。ロメいわく、ろくな大人にならないわよ」

「……うるせェなガキども」

 男がそう呟いた次の瞬間、彼の右足がチノの腹部にめり込んでいた。

「…………うぐっ」

 チノが蹴り飛ばされる。持っていた買い物袋は宙へ投げ出され、チノの小さな身体は壁際まで転がっていった。

「チノ!」

「……げはっ! ごふっ……!」

 チノは空吐きを繰り返す。唾を撒き散らしてうずくまり、男を睨み上げる。

「てめっ……なにしやがる……げほっ!」

「あなた、チノに何するんですか! ぶつかったのは私です! あの子は関係ないでしょう!」

 立ち上がったロメの頬を、男の右拳が貫く。再び地面に突っ伏してしまったロメの背中を、男は強く踏みつけた。

「うぐっ……」

「よえーなァ……雑魚がオレの前に現れるなァッ!」

「おい、何してる! やめろ!!」

 事態に気づいた周囲の街人たちが男を取り押さえにかかる。しかし男の馬力はすさまじく、街人たちの方が次々と投げ飛ばされていく。

「ロメ!」

 乱闘の隙をつき、ラオとレッカがロメを助け出す。男たちから少し離れた場所で腰を落ち着かせると、ロメは荒い呼吸のまま告げた。

「なんなんですか、あの男は……! いきなり暴れだして!」

「ぼくらだって知らないよあんなやつ! あんな危険人物がノレスにいたなんて……」

 そのとき、遠方からガシャガシャと金属が擦れる音と、いくつもの足音が聞こえてきた。

「何事だ!」

 振り返ると、数人の騎士団が駆けてきていた。銀の鎧が陽光を反射してギラギラ輝く。

「この男がいきなり暴れだしたんだ!」

 誰かの怒鳴り声が響く。暴れる男は既にあちこちに血を浴びており、その惨状を物語っている。

「あの男を捕えろ!!」

 騎士団の先頭にいた男が叫ぶ。腰から剣を抜き放つと、声を上げて乱闘へ突進していく。

 これで安心だ。そう思ったロメが間違っていた。

 なんと男は騎士団相手にも引けを取らなかった。剣を折り、銀の鎧をへこませ、さらに凶暴化したようにも見える。

「なんなんだこいつ……!」

 騎士団の一人がこぼした。次の瞬間、彼の懐に回し蹴りが炸裂する。

「うぐっ!」

 鎧があるとは言え、ダメージは相当のものらしい。地面に跪いた彼の顔面を、男の膝が捉えた。

「ロメ!!」

 自分を呼ぶ声に振り向くと同時、左手を掴まれた。そのまま引っ張られて細い路地に入り込む。

「ちょっと、いきなりなんですか! プサイ!」

「いいから、逃げる!」

 ロメの方を振り向きもせず、プサイはただ路地裏を駆けていった。

 ノレスにしては珍しく無風の路だ。右に曲がり、左に曲がり、少し開けた場所に出たところで、ロメは自らを引っ張るプサイの手を思い切り振りほどいた。

「っ、ロメ……」

「いきなり来て、どこに連れて行こうというのですか!」

 思わず叫んだ。肩で息をし、親友を睨む。

「……ロメ、屋敷に戻るんだ」

 まっすぐな瞳でプサイは告げた。

「……どうしてですか」

「そんなの決まってる。今のノレスは危険だ。一刻も早く街から離れた方がいい」

「…………嫌です」

 一瞬たりとも目をそらさず、ロメははっきり告げた。

「どうしてだ? ……ラットの子たちか」

 プサイはロメの後方を見ながら呟いた。

 振り向くと、ラオとレッカが、チノに肩を貸しながら歩いてきていた。腹部を蹴られたチノはまだむせ返っている。

「その子らが心配なら一緒に連れていく。だから──」

「この子たちだけじゃありません! 八百屋のピンクのおばさまや、魚屋のお兄さま、みんなが危険にさらされているんです……なのに私だけ安全な場所に逃げるなんて、そんなことできません!」

「立場をわかってくれ! ロメ、あんたはノレス街を統べるアリエス家の一人娘なんだ。あんたに何かあったら……」

「アリエスアリエスうるさいです!」

 握った拳を壁に打ち付ける。壁の向こうで少しだけ鈍い音が反響した。

「……アリエスの人間だからと言うなら、それこそ私は逃げません。民をおいて逃げるなんて、貴族失格ですから」

「っ、いいかげんに──!」

 プサイが怒鳴り声をあげる、その直前。ロメが殴った壁が崩れ落ちた。

 否、正確には崩れたのではない。向こう側から吹き飛ばされてきた銀鎧が、もろい壁をぶち破ってロメたちの前に現れたのだ。

「だ、大丈夫ですか!?」

「ううっ……」

 呻き声を上げる騎士団の男。その鎧はどこもかしこもべこべこに凹んでいる。

「前だ!」

 子供たちの誰かが叫んだ。とっさに顔を上げる。崩れた壁の向こうからゆったりと歩いてきたのは、予想通りあの凶暴男だった。

「またお前らか……まァいい……ぶちのめさせろッ!!」

 駆け出した男が拳を振りかぶる。

 一気に間合いを詰められ、ロメは咄嗟の反応ができなかった。

「ロメ!!」

 殴られる寸前、ロメと男の間に入った影があった。

 プサイだ。左腕を曲げて男の拳を受け止めている。

「なんだァお前……?」

「私の主に、手を出すな!」

 相手の腕を弾き返す。白く長い髪が美しく舞う。

 男は多少よろけたものの、間髪入れずに次の拳を打ち出してきた。それが勢いに乗る前に、プサイは両手でさばいていく。

「この、女ァ……!」

 男が苛立っていくのが目に見えてわかる。攻撃もだんだん激しく、単調なものになっていく。

 これならプサイが勝てるのでは。

「頑張ってください、プサイ!!」

 ロメが声をかけた。しかしその声に振り向いたのは、応援したプサイではなく、敵である男の方だった。

 ロメと男の目が合う。合ってしまう。

「まずは……てめェからだ!!」

 男はプサイからロメに標的を変えると、一直線に駆け出した。握り拳が距離を詰める。

 あの腕力で殴られればロメはひとたまりもないだろう。ロメは思わず両目を強くつぶった。

 しかし、いつまでたっても衝撃は襲ってこなかった。恐る恐るまぶたを開けると、目の前に自分をかばって立つ親友の姿があった。

「プサイ!!」

 プサイは男の拳を受け止めていた。ただし、左腕ではなく、その頬で。

 口元から血が流れている。瞳がこちらを向く。ロメに何かを告げようとしたときだ。

「邪魔だァァァ!!」

 男の蹴りがプサイの脇腹を捉えた。プサイの細い身体は軽々と吹き飛ばされ、壁に激突する。

 吐血。盛大にむせ返り血を吐き出しながらも、プサイは喉を絞った。

「逃げろ……ロメ……!」

 しかし、男の標的はまたしても変わり、その足がプサイへと向く。手負いのプサイでは次の一撃が致命傷になるかもしれない。

「やめて! やめてください!!」

 精一杯叫ぶ。しかし男は聞こえていないのか、気持ち悪い笑みを浮かべてプサイを見下している。

 男が足を振り上げる。狙いはプサイの顔。

 もう、止められない。



「あなた、思ったより雑魚なのね」



 ピタ、と男の動きが止まった。血走った目が声の方向を見る。

「なんだと……」

「だってそうでしょ? 怪我した人か、自分より弱い人しか狙わないなんて、自分は雑魚ですって言ってるようなものじゃない。かっこわる、ざっこ」

 勇敢か、はたまた無謀か……男を挑発したのはレッカだった。赤茶色の髪をいじくりながら、男に蔑んだ視線を向けている。

「このガキ、言わせておけば……!」

「悔しかったら私を捕まえてみなさいよ。まあ、ヘタレで雑魚のあなたには無理でしょうけど」

 そう言うレッカの足がわずかに震えていることにロメは気がついた。

「このクソガキがァァ!!」

 頭に血が上ったらしい男がレッカに飛びかかる。しかしレッカはひょいと簡単にかわすと、細道の奥へと駆け出した。

「三分後ね」

 それだけ言い残して消えたレッカを男が追っていく。やがてその場にはロメ、チノ、ラオ、プサイと負傷兵だけが残された。

 ロメは状況が飲み込めず、ラオに訊ねた。

「あの……これってどういう? 三分後って……」

「ああ。時間がない。急ごう」

 それだけ言うと、ラオとチノは来た道を引き返し始めた。

「え、あの……!」

「ロメも早く! ぼくたちだけじゃ力が足りない!」

 ラオに手を引かれ、ロメも走り出す。プサイのことが気がかりではあるが、時間がないと言われれば今は彼らについていく他ない。

 ロメが連れてこられたのは急激な坂道のふもとだった。子供たちの背中を追うようにして、全力で坂を駆け上がる。幸いにも若さのおかげか、余裕で乗り切ることができた。

 坂道のてっぺんまでやってきたロメは周囲を見回した。今上がってきた道と反対側の道も急激な下り坂になっており、その先には幅の広い川が流れている。

「あった!」

 ラオは道端に停めてあった荷馬車に駆け寄ると、かけてあった布をはぎ取った。荷台には牛乳の瓶がぎっしり詰まっている。

「ラオ、それをどうするつもりですか?」

「やつにぶつける!」

 荷馬車を懸命に押しながらラオが叫ぶ。

「四十秒後にレッカが坂の下にやつをおびきだす。そこにこれを転がしてぶつければ、いくらやつでもひとたまりもないはず! だから早く動かすの手伝って!」

「は、はい!!」

 ロメとチノも加わり、台車を押す。さすがの重量ではじめはびくともしなかったが、やがて軋んだ音を立てて少しずつ車輪が回り始める。

「あと十五秒!」

 チノが叫んだ。荷馬車がだんだんと坂道へ近づいていく。

「十秒! 投げろ!!」

 ラオの合図に合わせてめいっぱいの力で荷馬車を押し出した。

 荷馬車は先端をガリガリと地面に擦りつけながら、それでも自らの重量に従って坂道を加速していく。

「五秒!」

 ラオが言ったとき、坂の下にレッカの姿が現れた。背後を気にする様子を見せたあと、こちらをちらりと見てウインクした。

 荷馬車がまっすぐレッカへ向かう。レッカは腰を落とし、ここから死角になる場所にいる誰かに備えた。

「四秒! 三……二……一!」

 チノのカウントダウン。一を唱えたタイミングで、坂の下のレッカがバックステップで飛び退いた。代わってその位置に飛び込んできたのは、殺気に溢れた男。

 男は坂道を下ってきた荷馬車に驚いたように目を見開いたが、もう遅い。

「ゼロ!」

 ラオが告げると同時、荷馬車が男を巻き込んで川に飛び込んだ。大きな水しぶきと瓶が割れる音が混ざり合う。

「よっしゃぁ!」

 チノがガッツポーズをした。隣のラオと手のひらを打ち合わせる。

「おれの作戦通りだな!」

「何言ってるの? ぼくの作戦だよ」

「なにを~!?」

「ちょ、ちょっと二人とも」

 ロメがあわてて仲裁に入る。すると二人は不思議にもいがみ合いをやめ、各々右手と左手を掲げた。

「え……?」

「え、じゃないよ。ハイタッチ」

「おれたち、友達なんだろ?」

「二人とも……」

 ロメは目頭が熱くなるのを感じた。滲んだ涙を手の甲でこすって消すと、ロメは両手を思い切り彼らの手に打ち付けた。

「ちょっとー!」

 遠くから呼び掛ける声。坂の下を見てみると、レッカが不服そうな目でこちらを見ていた。

「なんでわたしだけ仲間はずれなのよ?」

「ごめんごめん」

 ラオが笑って坂を下り始める。チノとロメも一緒に下る。

 なにせ角度のある坂だ。転ばないように気をつけながら下っていく。

「ごめんなさいレッカ。忘れていたわけではないんですよ」

 ロメが右手を上げる。レッカも同様に右手を掲げた。

 次の瞬間、響いた音は、手のひらがぶつかり合う音ではなかった。

 川から大きな水しぶきが上がったのだ。

「何!?」

 ハイタッチのための手は引っ込められ、警戒心が跳ね上がる。

 水しぶきの中から現れたのは、やはりと言うべきか、今しがた水に落ちたあの男だった。信じがたいことに、ほぼ無傷に見える。

「嘘……なんで立てるの……!?」

 レッカの声には畏怖が混ざっていた。

 チノが叫ぶ。

「おいラオ! 次の手は!?」

「…………」

「ラオ!!」

 ラオは応えなかった。それが答えだった。

 男は川の中でゆらゆら歩いている。その目はまっすぐロメを見ている。

「く……来るなら来なさい!!」

 声が、足が震えていた。知らず知らずのうちに右足が一歩後退していた。

 ゆらゆら揺れる男。その背後から影が躍り出た。

「やめろぉぉぉぉ!!」

 プサイだ。男を羽交い締めにする。

「またお前か……!」

「また私だ! ロメに手を出そうとするなら、私は何度だってお前に食らいつく!」

「雑魚は引ッ込んでろ!」

 プサイの腕を乱暴につかみ、放り投げる。プサイの細い身体が大きな水しぶきをあげた。

「プサイ!!」

 ロメは叫んでいた。川から起き上がったプサイがこちらを見返す。

「ロメ!! あんた、誕生日プレゼントが欲しいって言ってたよね」

 プサイは右手に腕輪をつかんでいた。その腕輪がなんなのか、ロメはすぐにわかった。

 契約の腕輪。人間と契約獣を繋ぐ、魔法の道具。ロメがずっと欲しがっていたもの。

 ロメは目を見開いた。

「プサイ、それは……!」

「本当は渡すつもりじゃなかったんだけど。覚悟、ある?」

 契約者になる。その意味は、戦いの中に身をおくことを意味する。

 ロメは一瞬の間を空けて、ゆっくり頷いた。

 プサイも頷き返す。それから契約の腕輪をロメに投げて寄越した。

 腕輪に刻まれた名前はΨ(プサイ)。ロメはその文字をしっかり目に焼き付けてから、腕輪を左手首に通した。

「いきます、プサイ!!」

 腕輪を頭上高くに掲げる。それと同時にΨの文字と、プサイが同時に光を放った。

 光の中でプサイの姿が変わっていく。白く美しい髪は広がり、腕は翼へと変わる。光が消えたとき、そこにいたのは──

「契約獣…………Ψ(プサイ)

 ロメがこぼすように呟いた。

「……いくよ、ロメ!!」

 プサイは翼を広げ飛び上がると、男めがけて急降下した。振りかぶった右足で男の顔面に一撃入れると再び飛び上がり距離を取る。

「こいつッ……!」

「トルボ!」

 腕輪に触れながらロメは叫んだ。指先から稲妻が放たれ、ずぶ濡れの男へ襲いかかる。

「がァァァァァッ!?」

 濡れた身体に雷は効果抜群。身体に焦げあとをつけた男は怒り狂い陸に上がるが、そこへプサイの蹴りが炸裂する。

「この、ちョこまかと……!」

「ネイド!」

 風の呪文を唱える。たちまち男の周囲を竜巻が取り囲んだ。

 そこに飛び込んだのはプサイだ。竜巻の風に乗り、男に連続蹴りをしかける。

「トドメだ!!」

 プサイは竜巻から飛び上がると、男の遥か頭上で宙返りを決めた。そのままかかと落としの体勢に入ると急速落下。

「イアス!」

 ロメはアドリブで氷魔法をプサイの足にかけた。足首より下がたちまち氷漬けになる。

 氷のかかと落としが男の脳天に炸裂する。氷が砕け散る。

「ぐえッ」

 という、蛙がつぶれたような声を出して、男は地面に倒れ伏した。

「た、倒した……」

「ロメは下がって」

 プサイが男の様子を確認する。顔を覗き込むが、白目を剥いてびくともしない。

「……伸びてるよ。もう大丈夫」

 その言葉を聞いて、フッとロメの足から力が抜けた。地面にへたりこむ。

「よかった……これで一件落着ですね……」

「あれ? もしかしてもう終わっちゃった?」

 その場に似つかわしくない陽気な声。鎧のガシャガシャという音とともに現れたのは、コルナだった。背後に十数人の騎士団を引き連れている。

「遅いですよ」

「誰かと思えばアリエスのお嬢さん方と、ラットもいるじゃん。あんたらがこれやったの?」

「そうです。トドメはプサイが」

 コルナは翼が生えたプサイの姿を見た。すると何かを納得したように「ほうほーう」と唸ると、またロメを見た。

「この男を無力化してくれたこと、君たち五人に感謝する。こいつの身柄は我々騎士団で確保させてもらうけど、いいね?」

「異論ありません」

 ロメが告げると、コルナは背後に向けて指示を出した。彼女の後ろに控えていた十数人の騎士団はてきぱきと、伸びている男の拘束に取りかかった。

「ロメ……」

 控えめにプサイが声をかけてきた。その表情は暗い。

「なんですか?」

「……ごめん。ずっと黙ってて」

 プサイの身体が光に包まれる。ゆっくりと髪の広がりが収まり、翼も腕に戻る。

「私……自分が契約獣であることをロメに隠してた。ロメが契約者に憧れてるのを知ってて、なお」

「なんだ、そんなことですか。もういいですよ」

「……怒らないの?」

「そりゃ、隠してたのはムカつきますけど……でもプサイなりに私のこと心配してくれた故ですもんね。契約するっていうのがどういうことか、私がちゃんと理解したのも最近のことですもん」

 それより、とロメはプサイの顔に人差し指を突きつけた。

「帰ったら荷物をまとめてください。私、契約者になれたら家を出ると決めていたので」

 プサイが苦笑する。

「それはまた急な……」

「前々から決めていたんだから仕方ないです。旅に出て、この国のために……そしてノレスのために立派な契約者になるんです」

「……了解、お嬢様。どこまででもお供するよ」

 どちらからともなく笑いあった。少し前まで喧嘩していたのか嘘のように、二人なら何でもできるような気がした。

「それと……お父様にもお話しなければいけませんね」

「家を出ること?」

「いえ、それはどっちでもいいのですが……ラットのことです」

「……おれらの?」

 チノが自分を指差した。ロメは頷く。

「あなたたちは元来、悪い子ではないはずです。今日一緒に過ごして分かりました。環境に恵まれなかっただけなんだって。だからお父様にお願いして、あなたたちの環境を変えます。衣食住を整えます」

「……いいよ別に。ぼくたち不幸なんて思ってないし。このままでも生きていける」

「私が嫌なんです。あなたたちが街の人たちから嫌われているのが。タッくんだって望んでないはずですよ」

「……」

 チノもラオも黙り込んだ。互いに目を見合わせ、言葉を探しているようだ。

 レッカがわざとらしいため息を吐き出した。

「こういうのをお節介っていうのね。もしくは自己満足。わたしたち、助けてくれなんて頼んでないけど」

「そ、そんな……」

「……でも、それでもやるって言うんなら好きにしたら? わたしたちも勝手にするから」

 それだけ言うと、レッカは踵を返してどこかへ歩き出してしまった。それをチノも追いかける。

 最後に残ったラオが、ロメに問いかけた。

「環境が変わっても、ぼくたちは変わらず盗みをするかもよ。それでもいいの?」

「そしたら叱りに来ます! そしてまた一緒にお買い物しましょう!」

「……ほんっと、変な友達もっちゃったよ」

 ラオもくるりと身体を反転させて去っていく。その背中を眺めながら、ロメはとても満たされた気持ちになっていた。


 ◆ ◆ ◆


「──ということが今日、あったのです」

 その日の夜。アリエス家で夕食を食べながらロメは一日の出来事を両親に語って聞かせた。傍らにはプサイも控えている。

「旦那様と奥様に内緒で勝手な行動をしてしまい、申し訳ございません」

「プサイは悪くありません。私が無理やり連れ出したんです」

「父親としては、危険な行いをした娘たちを叱らなくてはいけないのだろうが……」

 リヴァルスはそこで言葉を切ると、リーラと顔を見合わせた。

「二人が街の危機を救ったことも事実ですものね……今回のことは不問にしてもよろしいのでは?」

「そうだな……しかし今後、二度と危険なことはしないように」

 ロメは、はい、とは素直に応えられなかった。契約者となった以上、予期せぬ危険に巻き込まれる可能性は否定できないからだ。

「お嬢様の身の安全は、私が守ります」

 プサイが頭を垂れた。危険なことはさせない、とは言っていない辺り、プサイも契約者の(さが)を分かっているのだろう。

 ロメはスープを一口すすると、話題を変えた。

「それてお父様、お願いなのですが……」

「ラット……だったか」

 ロメは頷く。

 リヴァルスはグラスを置くと、テーブルの上で両手を組んだ。

「正直、私は驚いている。親に捨てられた子たちが集まり、生きるために盗みを働いていたなんて……」

「……知らなかったんですか、彼らのこと。街を治める身でありながら」

「……ああ。ラットに関する報告は上がってきていない。知っていたらもっと早くに対処を──」

「……言い訳ですか」

「え?」

「あの子たちが今までどれだけ苦しい思いをしてきたか……それを報告がどうとか、そういう言葉を聞きたいんじゃなかったのに」

 ロメは静かに席を立った。テーブルの上にはまだ料理が半分以上残っている。

「よくわかりました。お父様は頼りになりません。私がノレスを変えます」

「待てロメ。お前はまだ子供だ。何ができる?」

「もう子供じゃありません。私は一人の契約者です」

 そう言って腕輪を見せる。Ψの刻印がリーラとリヴァルスに見えるように。

 リヴァルスは立ち上がり、ロメを睨みつけた。

「ロメ。危険なことはしないと、たった今約束したばかりだよな?」

「いいえ。そんな約束していません。私はこの街のためなら──友達のためなら、どんな危険にだって立ち向かいます」

「ロメ!」

 リヴァルスが怒鳴った。テーブルを回り、ロメに歩み寄ってくる。

「来ないでください!」

 ロメは咄嗟に腕輪に触れ、短く詠唱していた。よりにもよって口ずさんだのは、アリエス家にトラウマのある炎の呪文、「イレム」だった。

 宙に小火が弾ける。驚いたリヴァルスが足を止め、リーラは座ったまま口に手を当てている。

「ロメ」

 傍らのプサイが耳元で囁いた。

 ロメはハッと我に返り、腕輪から手を離した。そのまま何も言わず、部屋を飛び出す。父も母も追ってこなかった。

 ロメは自室に戻ると、鞄に最低限の荷物を詰め込んだ。そして朝そうしたようにカーテンで即席のロープを作るとベランダから屋敷の外へ出た。

「本当にいいの? 最後に挨拶しなくて」

 地面に下りたとき、木陰から声をかけられた。

 月明かりの下に出てきたプサイは小さなバッグを提げていた。服装も燕尾服ではなく、もっとラフで涼しげなシャツだ。

「いいんです。今さらどんな顔すればいいのかもわかりませんから」

「……帰るつもりは?」

「ないですね、今のところは。ノレスに戻ることはあるかもしれませんが、それも私が一人前になってからです」

「……そっか」

 プサイはロメの隣に立って空を見上げた。いくつもの星々が爛々と輝いている。

「……これからどうするか決めてるの?」

「まずはアスルガルドに向かおうかと。あそこならコンマ退治の依頼も多いでしょうし、生活資金集めにはうってつけでしょう」

「了解。着くまで何日か野宿になるかも」

「いいですね。してみたかったんです、野宿」

 そう笑って、ロメはアリエス家を出た。執事ではなく、親友をつれて。

 頭上の星が、まるでウインクするかのように瞬いた。


 ◆ ◆ ◆


 三年前の全てを語り終えたロメは、静かに両のまぶたを下ろした。

 ショータはただ黙って聞いていた。正面に座る、タッくんも。

 あの生意気な子供たちに壮絶な過去があったと知り、ショータは言うべき言葉に迷った。ロメの話を聞いたあとでは、ただの悪ガキとは思えない。

「……それから、ラットは、どうなったの?」

 それがショータに言えた精一杯の言葉だった。

 目の前のタッくんが口を開く。

「あれからあの子たちが盗みを働くことはなくなりました。ロメのお父さん──リヴァルスさんが僕たちのもとに来て、食べ物の保証をしてくれたんです」

「お父様が?」

 まぶたを開けたロメに、タッくんが頷く。

「街のほとんどの人は僕たちのことを疎ましく思ってたみたいなんですが、リヴァルスさんはあちこちに話を通してくれて……少しずつ街の人々とのわだかまりもなくなって。今度、行政が正式に衣食住を保証してくれそうなんです」

「行政が……それはすごいね」

 リヴァルスがいくらアリエス家当主だとしても、こんな案を通すのは容易ではなかったはずだ。彼の努力と情熱が目に浮かぶ。

「リヴァルスさんのおかげで、ラオは義眼手術を受けることができたんです。ロメさん、ありがとう」

「いえ……私は何もしてないですから」

「ううん。今の僕たちがあるのは、三年前にロメさんに出会って、お節介を焼いてくれたからだもん。お礼を言わせて」

 そう言うとタッくんは立ち上がり、頭を下げた。

 ロメはその姿をしばらく見つめていたが、やがてぽつりと。

「だったらどうして、彼らはあんなにピリピリしていたのですか……?」

 その言葉に、タッくんはゆっくりと頭を上げた。そして囁くように告げる。

「……衣食住を保証する行政の決定が、覆りそうだから」

「くつがえる……?」

 おうむ返しのようにショータは呟いた。

「どうしてそんなことに……街の人たちとも上手くやれているんだよね?」

「はい……でも全ての人が僕たちに友好的なわけではありません。特に、騎士団の新しい団長さんは僕たちを目の敵にしていて……」

「それって……」

 ショータは今朝のベータからの手紙を思い出した。ノレス騎士団長ラザロ・クライシス。単独でショータたちを捕らえに来る可能性のある人物。

 ショータはロメと顔を見合わせた。ロメも同じことを思ったらしい、険しい顔つきに変わる。

 ラットと敵対している男が、自分達にとっても敵かもしれない。もしかすると衝突はそう遠くない未来のことかもしれない。

 そう思ったショータの勘は、二秒後に的中することとなる。

「私の噂話とは……我ながら有名になったものだ」

 唐突に、大人の男性の低い声が屋内に響いた。

 床の軋む音とともにリビングに入ってきた男に、ショータとロメは立ち上がり臨戦態勢を取った。

 一九〇近くありそうな大柄な男だ。真っ赤なローブに身を包み、背中には長い槍を背負っている。こちらを睨みつける深紅の瞳は圧力があり、こちらに下手な行動を許さない。

「あなたがラザロ……?」

 クロスボウに矢を番えながらロメが投げかける。

「いかにも。私がノレス騎士団長、ラザロ・クライシスだ」

「前の団長さんはどうしたんですか?」

「あの男なら殉職した。不運な事故に巻き込まれてね。実にあっけない最期だった」

 さして興味もなさそうに告げた。

「そんなことより、鼠を捕らえにきたらまさか国王殺しがいるとは……好都合だ」

 ラザロは背中に背負った槍を手に取ると、その切っ先をショータへと向けた。

「その罪、命をもって償え」

「タッくんはどこかに隠れてて!」

 双短剣パラドックスの柄に手の平を重ねながら、ショータは背後に向けて叫んだ。はい、という短い返事のあと、小さな足音がリビングの奥に隠れる。

 ショータとロメ、ラザロの視線が交錯する。

 長槍を構えるラザロの右手首に、見慣れた腕輪があることにショータは気づいていた。刻印された文字は見えないが、それがショータたちのそれと同一であることは間違いない。

 ラザロの契約獣がどこにいるのかはわからないが、このまま均衡が続き、敵が交流して二対二になるのはディスアドバンテージだ。数の有利を活かして攻めるなら早い方がいい。

 空気が張り詰める。神経が尖る。

 数の有利を活かすなら、先手必勝。

 静かなる均衡を破ったのはロメだった。愛用のクロスボウ、クロックダイヤが敵の肩めがけて矢を放つ。

 寸分の狂いもなく飛んだ矢は、槍にあっけなく払われてしまった。

「イレム!」

 炎魔法を叫び、抜刀した短剣に火を灯す。ラザロに飛びかかるように炎を振り下ろすが、槍の柄で受け止められる。

「甘いな」

 柄で突かれ、蹴り飛ばされる。ごちゃごちゃしたリビングでなんとか転がって衝撃を受け流し、顔を上げたショータが見たのは、右手首の腕輪に触れるラザロの姿だった。

「クロープス」

──爆発魔法!

 ショータは咄嗟に身体の前で両腕を交差させた。直後、リビングの中央に橙色の魔方陣が現れ、爆発した。

 爆風が廃墟の壁をいとも容易く吹き飛ばす。当然、ショータとロメの軽い身体も紙切れのように飛ばされ、庭を転がった。

 口に入った泥を吐き出して顔を上げる。視界の隅でタッくんの無事を確認しつつ、吹き飛んだ壁からゆっくり歩み出てくるラザロに最大の警戒心を向けた。

「ロメ気をつけて! あいつ強いよ!」

「分かってます!」

 迫っててくるラザロと間合いを保つため、二人はじりじりと後退していく。

 乾いた風が冷や汗を掬う。敵から目を離したら終わりだ。

「来ないのならばこちらから行くぞ」

 ラザロは右手で持った槍を大きく左に振りかぶった。左手で右手首の腕輪に触れる。

「トルボ」

 短く告げたラザロ。槍の刀身がバチバチと電気を帯び始める。

 来る。そう思った次の瞬間には槍は振り払われ、雷の斬撃が四方八方へと弾けていた。

 避けられないと判断したショータは瞬時に腕輪を掴んだ。その横でロメも自らの腕輪に触れる。

「「シドル!!」」

 二人の声が重なる。現れた大きな魔方陣から、二つの盾が顕現する。

 縦に並んだ二つの盾と敵の雷が正面衝突する。その瞬間、ショータの両手にのし掛かる巨大な重量。

「ぐっ……!」

 かかとの方向に身体が滑る。なんとか踏ん張りを利かせるが、まるで岩を押しているかのように重い。

 一枚目の盾にヒビが入る。そこから亀裂が広がり、砕け散るのに三秒とかからなかった。

 二枚目の盾が雷と直接ぶつかる。より強大な衝撃がショータとロメを遅い、二人の身体は後ろに大きく滑った。

「抵抗はやめろ。私とお前たちとでは魔力の総量が違う。お前たちが何をしようと──」

 ピシッ、と音が鳴る。盾に蜘蛛の巣のような亀裂が走る。

「──無意味だ」

 二枚目の盾も砕け散った。その衝撃で二人は吹き飛び、泥の上に倒れ込む。

 守るものを失くしたショータめがけて雷が飛来する。左手でガードするが、雷はコントロールを失くしたように軌道をそらし、ショータのずっと右背後にある枯巨木に激突した。

 轟音が響き、煙が広がる。煙が晴れたときに見えたのは、焼け焦げ、大部分が消し飛んだ巨木の茎だった。

 静かに巨木がバランスを崩し始める。倒れゆくその先には、ロメがいた。

「ロメ……!」

 巨木の倒壊が重力にしたがって加速する。ロメが顔を上げたときには、巨木の一番太い部分が彼女の頭上まで迫っていた。

 間に合わない。そうショータが思ったとき、白い影が飛び込んでロメを蹴り飛ばした。次の瞬間、その影を飲み込む枯巨木。

 再び上がる、煙と轟音。その煙の中から転がり出てきたロメは、泥まみれの自分のことなど気にもせず、倒れた枯巨木の方を見て声を上げた。

「プサイ!!」

 煙が晴れ、倒れた巨木が見える。その下敷きになって倒れている長い白髪は、間違いなくプサイだった。

「ほう、白鳥の契約獣か。飛んで火に入る、とはこのことだな」

 ラザロはプサイに近づくと、その白髪を掴み、巨木の下から乱暴に引っ張り出した。プサイは気絶しているのか、抵抗しない。

「プサイから離れなさい!!」

 裏返った声でロメが叫んだ。クロスボウをラザロに向けるが、ラザロは冷静にプサイを盾のように前に突き出した。これでは矢はプサイに的中してしまう。ロメの奥歯が強く音を鳴らした。

「こいつは預かっておく。明日の正午、北の教会に吸血鬼の契約獣を連れてこい。お前たちに拒否権はない」

 ラザロは槍を背中に戻すと、腕輪に触れた。

「トルボ」

 またあの衝撃が襲ってくる、とショータは身構えたが、雷はラザロの足元で爆ぜた。巻き上がる土埃がラザロとプサイの姿を隠す。

 一瞬遅れて、ショータも腕輪に触れた。

「ネイド!」

 風魔法の呪文を唱え、竜巻を起こしてすぐに土埃を吹き飛ばす。しかし、土埃が晴れたその場所には、もう二人の姿はなかった。

「そんな……プサイ…………」

 ロメはその場で膝から崩れ落ちた。愛用のクロックダイヤもガシャンと音を立てて地面の上。

「ごめんなさい……私を助けたばっかりに……」

 涙が落ちて泥と混ざる。

 嗚咽を漏らすロメに、ショータはかける言葉が見つからなかった。

 ただ一度、思い切り地面に拳を振り下ろした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ