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第九録 「晴天と新校舎の世界」

 転移する直前、佐乃咲雫(さのさきしずく)が手を差し伸べてくれた。伸ばしてくれた手を掴んだ瞬間に私達は幻想世界に飛ばされた。気付いた時にはその感触は無く、離れ離れになってしまったんだと察した。


 私は辺りを見渡した。


「……」


 ここは、教室だろうか。私が通うレフォイア魔法学校の教室とはまた違う雰囲気。全体的に暖かい雰囲気だ。勉強するには最適な場所だ。壁や天井がとても綺麗だった。目の前にはマス目がはっきりと見る事ができる新しい黒板があった。新校舎だろうか。


 窓の外を見ると、雲一つ無い快晴が広がっていた。朝方の様な空の色はとても澄んでいて、見ているだけで心が落ち着くものだった。


「……!」


 空を眺めていたら、教室の扉が開く音が聞こえた。開いた扉の方を見ると、そこには扉に手を掛けている人物がいた。扉を開けた人は、赤いマフラーを身に着けた茶髪の少女だった。この世界は寒くはない。寧ろ暖かい方だ。それなのに彼女はなぜかマフラーを身に着けているのだろうか。


 少女は私を一瞥すると教室の中に入り、黒板の前に立った。新しいチョークを手にして、新品だった黒板に文字を書いていく。


 少女が文章を書き終えると私の方を見た。そして文章のすぐ下の部分を白いチョークでコンコンと軽い力で叩いた。その仕草は黒板に書かれている文字を見てほしいという意思表現の様に感じた。私は黒板に書かれた文章を見た。


『あなたは誰ですか?』


 と書かれていた。


「あ、わ、私は七珠針南(ななたまはりな)……です」


 私が黒板に書いてあった質問に答えると、少女が先程書いた質問の下に次の文章を書いた。


『どうしてここにいるんですか?』


「あ、それは……えっと、その……」


 私は少女に此処(ここ)にいる理由を説明した。異世界からやってきて、気付いたらこの教室にいたという事実をするものの、こんな信憑性の欠片も無い経緯を信じる人なんて、いる方が珍しいだろう。


「!」


 少女は少し目を見開くと、黒板に文章を走るように書いていく。


『それって本当ですか……?』


 言葉の後ろに点々まで付けて表現した。少女は目を輝かせながら私を見ていた。やはり少女は疑っていたが、それにしてはなんだか興味津々な表情を浮かべていた。


「本当です……」


 私がそう答えると、彼女は黒板消しを手に取り、書いた文章を全て消していく。黒板にチョークの消し痕が残る。新しい黒板だったので、消し痕はとても目立っていた。少女は黒板消しを元の位置に戻すと、私の目の前にやって来た。そして、


「コホンッ……。あ、あの……今まで声に出さなくて、ごめんなさい。私……喋るの慣れてなくて……」


 彼女はか細い声で話しかけてきた。


「いえいえ、全然大丈夫です! 私も、ここがどういう世界なのか分からなくて……。でも、話ができて、少し安心しました……」


 幻想世界に来ると、基本何をすればいいか分からない。過去にも数々の幻想世界へ転移されたが、話をする相手がいない世界に転移されると、一人でその世界を彷徨(さまよ)うしかない。この世界は話し相手がいる。それだけでもかなり心に余裕ができる。


「あ、私の自己紹介がまだでした……。私は岸花鈴音(きしばなりんね)です。来月からここの学校に入学します」


「来月? じゃあ……今は何してたの?」


 この学校も見た感じ、まだ建てられたばかりのようだ。入学が来月だというのに、どうして学校にいるのだろう。


「……異世界を探してました」


「異世界?」


 意外な答えだった。私は日常的に異世界に行っている事もあり、異世界に行く事はよくある事だと思っていたが、よくよく考えてみると異世界に行く事は通常、不可能な事だった。普通の人にはまずありえない事だ。


 鈴音は異世界が好きなんだろうか。先程私が異世界から来たという事をすぐに受け入れたのは、好奇心による補いがあるのかもしれない。


「私は異世界が存在すると思っています。そう信じています。でも、異世界はやっぱり空想の世界なんだって、改めて考えてしまうんです……」


「……」


 私は鈴音の話を聞いて少し考えた。この世界では異世界は架空の存在だと認識されているようだ。私はこの難しい話をどう対応すればいいのか考えた。


「鈴音さん。私でよければ、異世界を見せることができると思います」


 しまった。別の世界に転移される事を説明しようとしたが、この言い方だとまるで自ら異世界に行く事ができると言っているのではないか。私は自分の意思で世界を移動することができない。


「あ、違……言葉を間違えました! 本当は私が異世界に転移されるだけで、その……」


 すぐさま訂正しようと頭の中で文章を組み立てていた。すると、鈴音は慌てている様子を見て少し微笑んだ。


「ありがとうございます、針南さん。ただ、嬉しい……です。今まで異世界の話を聞いてくれる人がいなかったので……」


 私はその言葉でハッと落ち着きを取り戻した。同時に、私と鈴音しかいない校舎に予鈴が鳴り響いた。


***


 私は雫を探さないといけない。幻想世界ではぐれてしまえば、最悪見つける事ができないという事も考えられる。人を探している事を鈴音に伝えると、鈴音は手伝いたいと言い、一緒に探してくれることになった。探すとは言っても、どこから探せば良いか分からない。この世界にいるのだろうか、または別の世界にいるのだろうか。心配になりながらも校舎内の探索を始めた。


「雫さーん!」


 大声で名前を呼んでみるが、聞こえるのは自分が発した声の残響だけだった。近くにはいないようだ。


 私と鈴音がいる教室はこの館で一番奥の教室だった。鈴音曰く、この学校には三つの校舎があり、現在私達がいるこの校舎は第三校舎との事だ。


「第二校舎に行けば、探している人がいるかもしれません。まだわかりませんが……」


「第二校舎、行ってみたいです」


「分かりました。こっちです」


 私達は鈴音の案内の下、第二校舎へ移動した。


***


 第二校舎内も私達の足音がよく聞こえる程に静かだった。


「ここは第二校舎で、職員室とか音楽室とか、専用教室があります」


 私達は第二校舎を散策する。散策しながら私達は会話をしていた。特に鈴音は私の事で聞きたい事が沢山あるそうだ。


「あの、針南さんの住む世界は魔法ってありますか?」


「はい、あります。とは言っても、私は全然使えないですが……」


「魔法があるだけでも、とても羨ましいなって思います。私の世界は魔法も空想上の存在なので……」


 魔法が使えない世界はどのように発展するだろうと疑問に思った。


 専用教室を一つずつ調べていき、やがて一際大きな部屋に辿り着いた。鈴音曰く、ここは職員室のようだ。私と鈴音は職員室の扉を少し開けて、中を覗いた。広い部屋なのに誰もいなかった。


「ここが職員室……」


「針南さんの学校にも職員室ってあるんですか?」


「一応あるんですけど、余り入った事がないので、こうして入るのは少し新鮮な気持ちです」


「へぇ……」


 私達は職員室内を散策する。机の上には本棚が置いてあり、そこには沢山の書物が置かれていた。職員室を歩いて行くと、前方から幾つも積まれた茶色くて四角い物体が現れた。


「あの、これなんですか?」


「これはダンボール箱です。物を入れる時に使います。中に何か入ってるみたいですが、何が入ってるんでしょうか……」


 ダンボール箱。変わった名前の箱だ。私の世界ではまだ見たことがない物だった。


 鈴音はダンボール箱の中身が気になり、ダンボール箱の蓋を開けた。ダンボール箱は真ん中からパカッと開いた。意外な開き方に少し驚いた。


「これは……」


「何が入ってるんですか?」


「これは、生徒手帳ですね……」


「生徒手帳……!」


 生徒手帳は私の世界にもある。青色のカバーにレフォイア魔法学校の校章が印刷されている。私は普段鞄の中に入れて持ち歩いている。私は肩に掛けていた鞄を開けて中を見た。鞄の中にはハンカチ、手帳とペン、それと夢の中で占った際に貰ったペンダントが入っていた。しかし、生徒手帳はどこにも無かった。


「……あれ」


「針南さん、何かお探しですか?」


「あ、私の世界の生徒手帳。いつもカバンの中にあったんですけど、それが無くて……」


「落としちゃったんですか?」


「いえ、そんなことは無いと思うんですが。あ……」


 これも転移の影響なのかもしれない。そう思っていた途中で、今日のホームルームでゼラードが生徒手帳の更新の為に回収したのを思い出した。


「どうかしましたか?」


「思い出した……! 生徒手帳、学校の先生に預けてました!」


 そういえば、今日のホームルームでゼラードが記載変更の為にクラスの生徒全員の生徒手帳を集めていた。恐らく、生徒手帳はレフォイア魔法学校の中にあるはずだ。


「それなら良かったです。私の学校の生徒手帳はどんな感じなんでしょう」


 鈴音はダンボール箱の中にある生徒手帳を一つ手に取った。濃い赤色の生徒手帳だった。中を開くと、教訓や身なり、校則、メモ欄等、私の生徒手帳と似た項目が書かれていた。しかし、その生徒手帳は一番重要な事を記載していなかった。


「この生徒手帳、学校名がどこにも書かれていないのは、何か理由でもあるんですか?」


 この生徒手帳には学校名がどこにも記載されていなかった。


「確か、入学準備の説明用紙の中に学校名を考えてください……みたいな用紙があったのを覚えています。この学校の名前、まだ決まっていないみたいなんです」


「そうなんですね……」


 つまり、この生徒手帳はまだ未完成品という事だ。鈴音が生徒手帳をダンボール箱に戻した後、私達は職員室から出た。その後も、雫を探す為にあちこち部屋を回ったが、雫は愚か、人一人すら出会わなかった。


 第二校舎も雫の姿は無かった。二階にいた私たちは、まだ行っていない第一校舎へと向かった。


「第一校舎には学年ごとに用意されている教室があります」


「一つ一つ、教えてくれてありがとうございます」


「いえいえ、入学準備の時に紙に書いてあったので……!」


 私達は第一校舎を探索していく。しかし、やはり雫の姿は無い。やはり、この学校、()しくはこの世界にいないのだろうか。それでも、私達は諦めずに探索を続ける。そうして教室を回り続けて、最後の教室を出た後、鈴音に話し掛けられた。


「あの、一つお願いがあるんですが、いいですか?」


「お願い?」


「はい。私がこれから使う予定の教室に……一緒に来て欲しいんです」


 鈴音の目は真剣だった。何か目的があるという事がすぐに伝わった。


「……分かりました、鈴音さんの教室に行きましょう!」


「ありがとうございます! こっちです!」


 私は鈴音に付いて行き、鈴音の教室へと向かった。


***


「ここが私の教室です。私、ここでやりたい事があるんです!」


「やりたい事?」


 鈴音はそういうと、白いチョークを手に取った。


「この黒板に『入学おめでとう』って書きたいんです!」


 白いチョークをクイクイと動かしながらそう言った。


 私がレフォイア魔法学校に入学した時、色とりどりのカードを貰ったのを思い出した。これはそういうものの類なのだろうか。私は鈴音の隣に立ち、チョークを手に取った。


「はい! 私も書いていいんですか?」


「……多分!」


 多分という言葉に、本当にやっていいのだろうかと心配になったが、急遽、私達は黒板に新入生に向けたメッセージを書くことになった。隣にいる鈴音はそんな新入生の一人だけど。


 私は黒板に色々書きながら、鈴音に訊いた。


「あの……」


「何ですか?」


「ずっと気になっていたんですけど、どうしてマフラーをしてるんですか?」


「これですか……。情けない話、私はこのマフラーがないと心が落ち着かないというか……」


 鈴音はチョークの色を持ち替えて、再び話す。


「卒業した学校では友達を作る事ができなかったんです」


「友達ができなかった……」


「はい。私は人と話す事が苦手で、喋る事も怖くなって……。それで、何時しか筆談で話すようになったんです。それでも耐えられなくなって……。それで、このマフラーを巻きました。マフラーをしていると、心が落ち着くんです……」


「……」


 私は書いていた手を止めていた。


「今考えると、私の自業自得なんですけどね……」


「鈴音さん、ごめんなさい。重い話をしてしまって……」


「あぁ、いえいえ! 私は全然大丈夫です!」


 そう言うと鈴音はまた別の色のチョークを手に取り、黒板に書いていく。


「でも、私はこの学校で、変わろうって思っています」


「変わる……」


「はい。私は今まで閉じこもっていました。でも、これは私自身が変えないと、いつまでも変わらないって思ったんです」


「鈴音さん……」


 私は鈴音の話を聞いて、過去の自分を思い出していた。


 幻想世界は体質を持っている人しか行けない。もし体質を持ってない人が行ってしまったのなら、体は散り散りになってしまうという噂が出回っていた。その噂の影響で私は友達と呼べる友達はいなかった。私は学校生活でも常に一人だった。


 しかし、そんな関わり辛い体質を持つ私を、ゼラード・ジェスターは、佐野咲雫は、友好的に接してくれた。


 私は心の中の(もや)が少しずつ晴れていくのを感じた。


 私は雫の過去を自分の悩み事として抱えていた。しかしそれは私が背負うべき悩みでは無い。


 雫は学校と聞いて浮かない顔をした。なぜ浮かない顔をしたかは気になる。でも、それを私の悩みにすることは間違いだった。なぜ私は雫の事をこんなに気に掛けていたんだろう。その答えは一つしかなかった。私は佐野咲雫と、もっと関わりたいと思ったからだ。


 今まで友達がいなかった私は無意識に一人でいる事に対して寂しさを感じていた。心の底から幻想世界の事を馬鹿にしない身近な友達が欲しかったんだ。


 あの夕日の幻想世界で雫と出会った。訳も分からず手を引かれて走った。その時、私は心の中で感じた事の無い何かを感じた。雫となら、幻想世界の冒険がもっと楽しくなるのかな。私はそう思った。


「……あっ」


 自分の事に(ふけ)ていた私は我に帰った。ふと鞄を見ると、中から青い光が漏れている事に気付いた。私はその光る物を取り出した。


「ペンダント……」


 光る物の正体は、夢の中で出会った占い師から貰った青と紫の装飾が施されたペンダントだった。


「……! それは、なんですか?」


 鈴音が不思議そうにペンダントを見ていた。


「これは、ペンダントです……」


 私はそのペンダントを手の平に乗せると、窓から差し込む朝の光とペンダントの光が相俟って、幻想的な雰囲気を放っていた。


「綺麗ですね……」


「……」


 鈴音がペンダントを見ていた時、私は何を思ったのか、このペンダントを鈴音に渡したいと思った。理由は分からないが、渡さないと大切な何かが失ってしまう。そんな気がした。


「あの、鈴音さん。良ければこのペンダント、鈴音さんに受け取ってほしいです」


「私、ですか? でも、こんなに綺麗なペンダントをどうして、私に……」


 ……。


「友達になりたいです」


 私は無意識にそう言った。


「えっ……」


「……ぁ! いえ、いきなりすいません!」


 私は何を言ってるんだろうと、少しパニックになっていた。すると鈴音は私が持っていたペンダントを手に取る。


「鈴音、さん?」


「友達……」


 鈴音の目には少し涙を浮かべていた。しかし、自身の涙に気付いた鈴音は、直ぐに涙を拭った。


「私でよければ、よろしくお願いします……」


 私は思考が停止した。友達作りというのは、こんなにあっさりで良いのだろうかと考えてしまう。そう思うと友達を安く見ている気がして、少し申し訳ない気持ちになってきた。


「あぁ、あの、こちらこそよろしくお願いします! でも本当に良いんですか? こんなにあっさりと受け入れてもらって……」


 そう言うと鈴音は微笑んだ。


「私に友達になりたいって言ってくれた人は、針南さんが初めてです。私の友達第一号は針南さんです!」


「……! そう言われると私も嬉しいです!」


「あ!」


 すると鈴音は思い出したかのように、チョークを持ち直した。


「続き、書きましょうか!」


「……はい!」


 少し間が空いた後、私と鈴音は笑い合う。そして黒板に再びチョークを走らせた。


挿絵(By みてみん)


***


 黒板には大きな文字で『入学おめでとう』と書いてある。その周りに沢山の絵が描かれていた。私と鈴音はその黒板を遠くから見た。私と鈴音は完成して彩られた黒板を見て笑い合った。


「できたね!」


「……はい! 私のわがままに付き合ってくれて、ありがとうございました!」


 私と鈴音は達成感を味わっていた。


「針南さん、雫さんを探すんですよね」


「はい、元の世界に帰らないといけないので」


「私も手伝います!」


 鈴音も引き続き手伝ってくれるようだ。


 全校舎を周ったが、結局何処にも雫はいなかった。もしかしたら、雫も場所を移動しているのかもしれない。そう思い、私達は再び第二校舎へと移動した。


 第二校舎へと戻ってくると、針南は一つの扉が目に留まった。


「こんなところに扉があったんですね……」


「私も知りませんでした……」


 私も鈴音も知らなかったその部屋は、職員室のある一階の一番奥の部屋だった。その扉は壁の色とよく似ていた。私は冷たいドアノブを握り、ゆっくり扉を開けた。


「……え?」


「また扉がありますね」


 扉の先は小部屋が一つあり、部屋の奥にもう一つ扉があった。


「行くよ……」


「はい」


 私達は少し緊張しながらも扉を開けた。


 扉を開けると、真っ暗な部屋が広がっていた。鈴音が扉の近くの壁に付いてあるスイッチを入れた。すると電気が付き、その部屋の全景が露わになった。


「これは、鏡ですか?」


「鏡、ですね」


 目の前に壁一枚を覆う程の大きな鏡があった。その鏡には私達が綺麗に映っていた。


「どうして、こんなに暗い部屋の中に鏡があるんですか?」


「私にも、分かりません……」


 ……。


「なんかこの部屋、薄気味悪くありませんか?」


「私は別になんともないですが……」


 鈴音はなんともない。私だけが感じているのだろうか。この部屋、特に鏡の奥から視線を感じる。鏡の向こうに映る私達の視線では無い。鋭い視線だ。その視線は私に向かっている気がした。段々と気が遠くなり、感じた事の無い目眩が私を襲った。


「針南さん? ……針南さん!」


 私は耐えられなくなり、その場で座り込んだ。鈴音が私の名前を呼ぶ声が聞こえたと同時に、意識を失った。


***


「針南さん……? これは……」


 触れても透けてしまう針南の身体に鈴音は混乱していた。


 針南を助けたい。友達を失いたくない。


 鈴音は何かに強く祈った。


 その時、何かが割れる音がした。

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