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終わりは始まり

死ねない主人公が不死身な話(in???)と同じです。

連載することにしました


世界の全てが嫌になった。自分自身も嫌になった。生きることの意義がわからなくなった。生への執着が無くなった。死に対する恐怖心が無くなった。そして……

〝死ぬ〟という行為に希望をみたーーー

気付いた時には遅かった。僕の精神(こころ)は黒い感情に支配されていて、中心にぽっかりと穴が空いていた。それを埋められるものは、絶対的な〝死〟だけだと思った。不安や迷いは一切無かった。

息をするのと同じように、ごく自然に、当たり前のように、僕はそれを実行した。

何度も、何度も、何度も、何度も、頭の中で思い描いたこと。シミュレーションは完璧だった。僕の心は期待と不安で満ち溢れていた。

喉元に伝わる、冷たく硬い刃の感触。

僕の命を刈り取る死神の鎌ーー

自らが死神となり、躊躇無く喉元に突き立てる。


視界の暗転。薄れゆく意識の中で、蛇口が壊れたときのような、勢い良く噴射される水の音だけが聴こえていたーーー




真っ赤に染まった壁や天井。床に出来た紅い水溜まり。その中にある同じく紅く染まった包丁。濡れ固まった自身の服。鼻に付く鉄の匂いーーー

「………なんで生きて……」

掠れた声が漏れる。


世界に絶望し〝死〟にすがった僕は、〝死なない〟という事実にそれ以上の絶望を味わっていた。逃げ道など、最初から用意されてはいなかったのだ。

……訳が分らない。考えるのももう疲れた。本当に神がいるのならば、最悪な性格をしているに違いない。僕はただ、神という存在を憎み恨んだ。

「……ハハッ」

乾いた笑いが溢れる。笑うしかなかった。


ーーー神様は意地悪だーーー





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