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夢、そして夜

「魔界…?悪魔…?」

意味が分からない。まともな人間の言う言葉ではない。もしかしてこれが俗にいうちゅうに

「違うわよ!」

「心を読んだ!?」

「顔に出てるのよ!」

「…でもそんなもん簡単に信じらんねえよ…」

「100m…」

「分かったから!信じるから!」

裕は続ける。

「…で、その悪魔さんが何の御用で?」

「よくぞ聞いてくれました!一から説明するとちぃーっとばかし長くなるけど」

「まあ…それは妥協だ。重要な話になりそうだし」

「取りあえず悪魔達が力を求めていることは知ってるわね?」

「いや知らねえよ」

「…」

「…」

「まあとにかく魔力を集めて日々戦ってるの」

裕には分からないでも無かった。悪魔の印象がそんな感じだから。

「で、近年の調査で魔力を持つ人間というのがこの世界に数十名いることが判明したわけ」

「…つまりその数十名に俺が含まれると」

「察しがいいわね。つまりそういうことなのよ」

「ほ、ほう。もしやその魔力を吸収しに来たってことか」

「いや、そんな気持ち悪いことしないわよ。魔力の吸収にはそれを持つ人間を喰わなきゃいけないのよ?」

「なんだそれ…」

…ん?何か記憶が…気のせいか…

「ならおまえは何しに来たんだよ」

「あなたの魔力を借りながら戦いたいの」

それは突拍子のない一言であった。

「いや、…え?」

「もう1度言おうか?」

いや、聞こえてるが…。俺にはそんなことできないし…

「って人間は最初思うのよ」

「また心を読んだ!?」

「顔に出てるんだってば」

「う~ん…」

なぜか悔しい。

「で、どうすりゃ魔力は使えるんだ」

「私と契約するのよ」

それも突拍子のない一言であった。

「け、契約?」

「ええ、契約。悪くないと思うわよ。こんなに可愛い女の子と一緒にいられるんだもの」

「…」

「何さ、その目は?」

「いやぁ~お胸の辺りが ヘブゥ!」

「殺すわよ…?」

「は、はい。ごめんなさい」

痛い。別に小さいとは言っていない。それに別に自分は貧乳が嫌いというわけで ヘブゥ!

「黙りなさい」

「は、はい(しゃべって、ないのに…!)」

「契約の話に関してはしばらく考えて頂戴。1か月くらいの猶予はあげる」

「…もし断ったら?」

「…特に何もしないけど?(ニコッ」

駄目だ。断ると殺される気がする。

「か、考えておくよ…」

(とはいったが絶対面倒なことに巻き込まれるよな~…何とかこれを無かったことにしないと…)

「…何かよからぬ企みをしてない?」

「い、いや、してないよ?」

「ふ~ん…ならいいけど」

「あ、そうそうもう1つ聞いていいか…えーっと、キャビア」

「キャビルよ。「天性魔猫のキャビル」。あんたもう忘れたの?さっき言ったばっかりじゃん」

「悪魔とか魔界の印象がすごくて…」

「で、何さ?」

「第7位って何なんだ?」

「あーあれね。魔界悪魔序列。悪魔には強さごとに順位が決められてね。明確に1~30位までは決まっていてあとは強さでランク付け~みたいな感じのがあるのよ。」

彼女は急に窓辺に座る。

「その中でも上位7名のことをまとめて「魔界七獣」。そう呼ぶ。ちなみに上位12名でもなんか呼び方が最近出来たらしいけど忘れたわ。7位の私にとってはどうでもいいことだし。」

「でも、おまえはその中では1番弱いんじゃ…」

「何言ってるのよ。その7人の中じゃ多分私結構強いと思うんけど?」

「じゃあ何で7位なんだ?」

「年功序列ってやつね。」

「悪魔にもそんなのがあるのか…」

「そりゃね。」

「ちなみにお前はいくつだ?」

「私?私は13よ」

「1…3…?」

「そう。3歳で17位、5歳で11位にまで上り詰め、9歳の時には七獣の仲間入りした天才少女とは私のこと。」

「へぇ…」

「皆蔑みの目で私を見るけどね」

「なんでだ?」

「七獣には歳食ったものが入ることが多いからかな?そんなもん知ったこっちゃないけど」

「その歳食ったやつにはどんなのがいるんだよ」

「…う~ん、知ってるやつはそんなにいないんだけど…えーっと、まず2位は知ってる。」

「そいつはどんな奴だ?」

「良い人よ?私の友人みたいなものかな」

「悪魔にも友人とかあるのか」

「当然じゃない。勘違いしてるかもしれないけど信頼とか恋愛とか色々あるのよ?」

「へ、へぇー…」

あまりにも意外である。悪魔とはそんなに悪いものでないかもしれない。

「後はね…4位も聞いたことがあるかな?」

「そいつはどんな奴だ?」

「あんまり知らない。なんか斬るのが得意とかなんとか?」

「てか同じ集まりなのになんで知らないんだよ」

「個人情報だからね~」

「…」

「えーっと後は…5位も知ってるわ。」

「そいつの情報も知らないのか?」

「いや…知ってるわよ。何せそいつは…」

その時、キャビルの佇む窓辺に月を背景にして鎌を持ち羽の生えた人間の姿が浮かぶ。

「うふふ~見つけたわよぉ…」

「でたわね、性悪!」

裕は動けなかった。あまりの狂気に。体が竦み動けない。しかしこれは初めての感覚ではなかった。

「裕…。あんた、今朝なんか嫌な夢見なかったかしら?」

そうだ。この感覚は…

「見た…。とてつもない悪夢を見た!」

「それはあいつの力。こいつが悪事を働くときは対象に悪夢を見せるという意味不明な、ね」

「あらあら~。言い方がひどいわねぇ。ところであなたは誰かしら。どきなさいな。…と思ったらその「Ⅶ」はもしかしてあれかしら?七獣の片割れかしら~♪」

「そうよ性悪!あんたにこの男は渡さないわ!」

ちょっと恥ずかしい。意味は分かっているのだが…

「でもぉ…あなたその男をまだ…?ってことはぁ…もしかして契約希望?みたいな」

「そうよ!」

「バカでしょあんた?七獣ともあろうものが…」

なぜか背筋に悪寒が走る。

「そんな気持ち悪いことと比べたらプライドなんてクソ食らえだわ」

プライド…?どういうことだろう?

「じゃああんたに契約される前に食らわないとねぇ…?」

「!!?」

体が凍り付く。あの時の狂気と同じ。リアルな、いや本物の狂気。

「裕、落ち着きなさい。多分私の方があいつよりも強いはずだから大丈夫よ」

「えぇ~?そんな生意気なこと言っちゃってぇ…コ ロ ス ワ ヨ?」

駄目だ恐怖で意識が飛びそうだ…。そんなレベルだ。

「落ち着くのよ。何よあんなの。ただのこけおどしよ。」

少し落ち着いた。1つ思った。実は薄々感づいているが…一応聞いてみる。

「…あいつは何者だ?」

「あいつが序列第5位。「堕天使マリシア」よ」

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