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57話

「そういえば相良さん達は一日中スキル使わされてた、って言ってましたけども、具体的には何してたんですかね?」

 ここで刈谷から素朴な疑問である。

 私もそれ、気になってた。

「私は『花咲魔女』っていう職業なんです。だから、貴族の庭に花を延々とこう」

 咲かせてた、と。

 ……な、なんとも平和な職業だなあ、おい!あれか、メイドの仲間かね、花村さん。

「イラッとした時に貴族にヤドリギくっつけて生命力吸い取るのを我慢するのがどれほど辛かった事か!」

 あ、そうでもなかった。

 あれか、君、ドレイン系のいやらしいスキルをたんまり持ってるんだろ。そうだろ。

 あと、あれだ、人喰い花とか出すんだろ、そうだろ。

 ほら、赤地に白の水玉模様のアレとか。

「私は主に歌わされてたけども……ああ、あと社交界に連れていかれたわね」

 歌川さんは美人さんだからなあ。連れてたらそれはそれは自慢できる事でしょう。

「俺は……農作業やってたなあ、延々と」

 あ、相良君はそういう使われ方か。しかしまあ、『槌戦士』なんて、そういう使い方しかできないだろうしなあ。

「僕は何故かずっと着せ替え人形みたいにされてて……スキル関係ないことしてた気が……」

 童顔少年鏑木君は、聞いた話によると貴族のマダム達に大層可愛がられていたとの事。

 異国人の奴隷は、ほら、この世界の人たちにとっては美しさが上方にバグってるらしいから。そういう意味でも価値が高いんだろうね。

「俺は執事やらされてたな。だから他の奴よりは相当待遇よかったんじゃねーの?」

 加持君は何やら、とある貴族のお嬢様の元で執事兼ボディーガードをしていたそうで。

 うーん、それはそれでなんかロマンがあるね。

「アタシは闘技場にいたなー。でっかい牛とかと戦うのさ!めっちゃ楽しかった!」

 椎名さんは……職業が『バーサーカー』だ。

 本人が楽しかったっていうなら、もう私は何も言うまい。

「海野君と私は同じところで雇われてたわね。二人とも弓がつかえたから、狩りの御伴にされてたわ」

 そうかー、池田さんと海野君もそんなに待遇が悪かったわけじゃなさそうだね。




 後は適当に雑談なども交えて楽しくしていたら、ふと、あることを思い出した。

「そうだ、皆さんぜひとも、戦闘力に恵まれないメイドに愛の手を。スキル分けてください」

 スキルを分けてもらえそうな機会なんてそうそうないもんね。

 今後とも気を付けておかなきゃいけないのは、異世界人同士出会う事があったなら、それはもう積極的にスキルを『共有』させてもらいに行かねばならぬ、ということだ。

 他力本願でもなんでもこの際いいから、攻撃に転化できそうなスキルがもしもらえるのなら是非貰いたい。そして、そのチャンスは逃してはならぬ、絶対にだ。


 ということで、元奴隷の皆さんが愛の手を差し伸べてくださった結果、花村さんから『萌芽』、『生長』というスキルを、歌川さんから『独唱』を貰えた。

『萌芽』は任意の植物を生やすスキル、『生長』は植物を育てるスキルである。

『独唱』は多分、『歌謡い』とか『魔声』の効果を増幅させてくれるスキルだ。

 うんうん、これはメイド的にも戦闘力的にも役に立つかもしれない。

 どうもありがとうございます!




 そしてそろそろ眠くなってきたという事で、9人分の布団を作る作業に入りました。

 またメイドさん人形を展開して糸作りからです。何時ぞやを思い出すね。

 それでもなんとか20分足らずで9人分の布団を作り上げ、女子は化学実験室で、男子は化学講義室でそれぞれ寝ることになった。

 ケトラミさんは……今日は諦めて布団で寝ます。じゃないと皆ケトラミさんで寝たがりそうなんだもの。

 なので今日はケトラミさんのお腹の上ではハントルとメイドさん人形たちだけが寝ることになったのでした。

 というか、何故メイドさん人形まで。




 朝は早く起きちゃったけど、私ががさごそやるとまだ寝ている女の子たちまで起こしちゃいそうなので、今日は時間のかからないパン食ということにさせていただくとして、二度寝を決め込んだ。

 うん、パン焼き直して、サラダ作って、あとは燻製にしたお肉薄切りにして焼いて、あと野菜スープ作る時間がシビアかな……後は果物切ればいいか……。うん。お休みなさい。


 と思って寝たのに、すぐに起こされました。

 メイドさん人形たちに、です。

 寝てたら顔面にもふもふもふっ!と乗っかられたもので……あー、びっくりした。

 多分、いつも朝ごはん作り始める時間になっても私が起きないから起こしてくれたんだろうなあ。ごめんごめん。

 でも今日はもう少し寝かせてくれい、ということで、起こしに来てくれたメイドさん人形たちも布団に突っ込んで三度寝である。はー、幸せ。




 三度寝から起きたら、今度こそ適正時刻だったので、静かに朝食の準備をさせていただく。

 肉で出汁取って、そこに刻んだ野菜をぶち込む作業が一番時間がかかる。

 とは言っても、最近はメイドさん人形たちも良く働いてくれるので結構楽になったものである。

 包丁を使う作業は大抵私がやるけど、テーブルセッティングとか、作り置きの物を出してくるとか、そういう事は全部メイドさん人形たちがやってくれるのだ。




 昨日は皆さんお疲れだったようで、全体的に寝坊気味だった。

 実験室で寝ていた女の子たちも疲れていたんだろう、朝ごはんの準備をしていても全く起きなかったし。

 ……なので、朝起きていつも通りに実験室に来てしまった角三君は、まだ女の子たちが寝ているのでメイドさん人形たちに追い返されてしまったのである。ごめん。


 朝8時過ぎ位になって全員揃ったので朝食と相成りました。

 普段は7時頃に食べてるから新鮮ですなあ。

 何と言っても皆さん、早起き化傾向にあるからね……。


 朝食が終わったら、今日は金策の日になります。

 まずは、『転移』で鳥海が相良君達をデイチェモールの質屋のオッサンに紹介しに行く。

 それからお願いもしにいった。

 ……つまり、オッサンに金庫番をやってもらおう、という危険極まりない話だ。

 これは何でそういう事になったか、っていうと、私達と相良君は多分、これから先別行動になっちゃう。

 相良君達が貴族になるだけのお金の余裕が出来ちゃえば、彼ら自身が貴族としてここら一帯の異国人の奴隷解放を行った方が効率的だし、私たちは自由に動いて1Fの教室を探しに行った方がいい。

 しかし、そうなっちゃうと何が問題かっていうと、お金を稼ぐ人と使う人がバラバラになっちゃうって事なんだよね。

 奴隷は高価だ。金貨100枚は簡単に吹っ飛ぶ。異国人、ともなれば尚更。

 そういう事になってくると、バンバン稼げる手段が必要な訳だけど、現在をもってして一番稼ぎやすいのが私なのだ。

 ……ホントね、これね、どうにかしてほしいんだけど、『金属制作』で作った装飾品って……遺跡から出てきた装飾品のデザインを真似て作ると、なんでか、絶対に何らかの補正が付いてしまうらしいのである。

 かといって、遺跡の装飾品を真似ずにシンプルな装飾品作っちゃうと、例え効果があったとしても、高値では売れないという……。

 その点、私が服作ると、効果が無いのにあるっぽく見える服が作れるので、現地住民相手に売るのには一番いいのだ。

 そして、この手のスキルを相良君達9人は持っていない。

 となると、やっぱりお金をどこかで受け渡さなきゃいけないんだけど、お金を渡す度に私たちの行動が制限されるのも面倒だし、だったらいっそ、お金は定位置に置いておくことにして、そこにお互いが立ち寄ればいいじゃん、っていう事になったのである。




 で、その定位置っていうのが、デイチェモールの質屋のオッサン。

 ……正直、初見の時にぼったくってきたのが印象的だったけども、話してみたら割と親切な人だったし、何よりも今、私達と利害が一致してたりするのだ。

 オークションではことごとく異国人の奴隷を落として、貴族側にスキルの恩恵が渡らないようにする。そして、スキル……『失われた恩恵』を得てる(っぽい)服を優先して質屋のオッサンに卸す。

 こうするとあらまあ、なんということでしょう、貴族はこぞって質屋のオッサンの所から装備を買って行くことになりません?なりません?

 で、その見返りとして、お金を預かっておいて、相良君達が来た時に渡してあげてね、っていう係になってもらおう、と。

 そういう話を鳥海たちは持ちかけに行ったわけです。




 正直それ、面白そうだから見に行きたかったんだけども、私はそんなことよりも何よりも、さっさと服を量産せねばならんのでまたしてもメイドさん人形たちと服製造マシンと化しています。

 MPを吐きながら続ける悲しいマラソンですよ……。

 そして、それを私一人で素早く量産する為のお手伝いをだな、余った皆さんにはしていただいております。

 つまり、繊維の元になる木材集め、染料の元になる植物集めだね。

 植物については……花村さんに咲かせていってもらった方が圧倒的に速いんだけども、うん、残念ながら彼女は質屋のオッサンに顔見せとかないといけないからね……。

 正直、繊維作る工程、裁断、縫製、染色を私がやらないといけないっていうのが辛い。

 裁断と縫製はメイドさん人形たちでもできないことは無いんだけど、私がやった方が断然早い。

 精々、待ち針打ってもらったりする程度。

 型紙とかがあれば裁断もやってもらえるんだけども、これ、スキルのお蔭なんだろうか、裁断しながらどういう形の物作るか決めるという恐ろしい所業ができてしまう為、型紙作る手間考えたら……ねえ?

 というか、型紙作っても、同じデザインの物量産するわけにもいかないんだし、結局は効率悪いことこの上ないんだよね。




 ということで、まあ、お昼時に鳥海と相良君達9人が帰ってきた頃にはドレス他諸々の服がごっさりとできていたわけですが、私はと言うともうMPインターバル走も限界で、へばっておりました。

 もうだめだ、メイドさん人形たちが肩揉んだりふかふかすりすりして癒してくれたりするけどももうだめだ、私は燃え尽きた。真っ白な灰になった。

 ということで、メイド一生の不覚なのだけれども、お昼ご飯も手を抜かせていただいてしまった。

 作り置きのパン焼き直して、レタスっぽいのとかトマトとか切って、焼いた肉とか、やはり作り置きのソース各種を出して、放置。

 適当にパンに具挟んで食って下さい。私は寝る。寝るぞ。




 起きたら動けるようになってました。やったね!これでまたMPインターバル走できるね!死ぬ!

 一方私以外の人たちはというと、午後は全員王都に出て、地下オークションとやらを見に行きました。

 お金があった方がいいっていう事で、午前中に私が作った服は全部デイチェモールの質屋のオッサンの所に持っていって売ってからいくとの事。

 数えたら19着あったから、うん、それなりのお値段にはなるんじゃないかと。


 ということで、また服製造マシンを再開して、そして2時間ちょっとで限界が来て止める羽目に。

 できたのは10着。さっきよりも慣れたけれど、やっぱり時間が短いとできる量も少ない。

 もっとMP増えればきっと楽になるんだろうけど、これでもMPを限界まで増やした装備なのよね。

 今もMP空っけつだし。MP回復茶でも飲んで回復させれば、理論上は可能なんだけども……気力がね、持たないのです。どんどん精度が落ちていく、というか。

 情けないなあ、我ながら。


 できないものはしょうがないので、メイドさん人形にMP回復茶でも淹れてもらって、夕ご飯の仕込みでも始め……ようとして、気づいた。

 気づいてしまった。

 思えば、数日前からおかしかった。なのに何故気づかなかったかと言ったら、こいつらが可愛いからに他ならない!

 そう!何故!MP空っけつなのに!このメイドさん人形たちは動いてるんだ!


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