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55話

 朝です。おはようございます。

 朝起きたらメイドさん人形が一緒に寝ててもふもふ具合が増してた。

 凄く可愛い。

 それは置いておいて、本日は剣闘士大会最終日。張り切って参りましょう。

 とはいっても、どうせ私の仕事は大したものでもないので気楽なものだね。


 一昨日同様、ご飯とお弁当作って、朝ごはん食べたら出発しましょう。

 本日のお弁当はお弁当箱に入ったタイプの古き善き日本のお弁当です。

 こういうタイプが一番作り甲斐があるってものです。

 只、おかずを沢山詰めようとすると苦労するという。

 特にから揚げ!こういう立体形でいて、かつ不規則な形状の融通の利かない固さのおかずは詰めるのが大変ですね。

 その点千切り野菜の炒め物とかは非常に優秀な詰められ要員と言えましょう。

 詰めるときにはメイドさん人形たちとああでもないこうでもないやって詰めた。




 ということで、出発。

 どうせ今日も半分消化試合みたいなもんだろうから気を引き締めつつ気を抜いていきます。


 ……ふむ、どうやらこのノナの部、一人で出るのは恥ずかしいけど、仲間と一緒ならそんなに恥ずかしくない!みたいな、皆で一緒にトイレ行く女子高生みたいな考え方で出てくる人が多い模様。

 あ、いや、女子高生たちが一人でトイレに行くのが恥ずかしいから皆で行ってるのかって言われるとちょっと自信ないんだけども。


 現に、第一回戦で当たったのは女の子ばっかり9人のチームでした。

 如何にも駆け出し冒険者、っていうかんじの若くて綺麗な娘が9人。

 戦いづらい事この上ない!

 うーん、しかし、こういう場に出てくる以上、覚悟はできてるんだよね?一応この大会、死んでも責任は取りません、みたいな但し書きがあるんだけど。

「わ、私たちが勝ったら付き合って下さい!」

 しかもこういう可愛い宣言をされちゃうと、もうこっちとしてはどうしようもなく戦いづらい。というかだね、こっちは一人女なんだけども、この可愛い女の子たちは……ええと、一人余るけどもいいのかい?私はそっちの気はあんまりないよ?

「……どうせあいつら対策も何もしてないだろ。ダリア、アレ頼む」

「アイサー」

 どうしようもなく戦いづらかったので、『子守唄』で全員に眠ってもらった。

 圧勝。




 次に当たったのは例の門番さん達のチームである。

 こちらはまあ、一昨日同様の宣言もあったし、割かし真面目に戦いました。

 とてもじゃないけど、武器を『お掃除』する余裕が無くて、背後から回って鎧とかを『お掃除』するに留めました。

 駄目だ。あの剣戟の中に入っていったら読み切れずに一発二発食らってしまう。

 私に回復を割かせるぐらいなら何もしない方がマシなので、後はひたすら傍観である。

 仲間が強いっていいね。

 という事で、ここも労せずに勝った。




 ここで一旦お昼を挟んでから、準決勝に臨むことになった。

 まあ今回もそんなに労せず行けるでしょう、と、思ったのが間違いでした。

『ここで対戦カードを紹介いたしましょう!まずは、東側!槌戦士アライ!歌姫ウタガワ!魔術師ハナムラ!剣士コンノ!魔術師カブラギ!戦士シイナ!騎士カジ!射手ウミノ!射手イケダ!……』

 ……対戦相手は全員、どこか懐かしい響きの名前ばかり。

 そう。全員、私たちと同じ、異国人……つまり、魔法じゃなくてスキルが使える集団だったのです。


 多分、あれだな。異国人の奴隷を買った貴族が、奴隷の消耗を避けつつ、それでいて『異国の魔法の部屋』を入手しようとした結果がこれだったんだろう。

 第一回戦で当たったみたいなチームが多いノナの部だったら、確かに勝ちやすいだろう。

 一人当たりの戦力差が違いすぎるんだ。それが9人ともなれば、ごり押し戦法でも消耗を抑えて勝てちゃうだろう。

『さあ、世にも珍しい、異国人ばかりの対戦です!これには期待が抑えられない!』

 これは……うん。私の戦法は決まったね。

 ズバリ、『一人でも多く道連れにする』作戦!

 ……これも立派な作戦だよ。




 ということでステージ上で対面しましたが、これはひどい。

 相手全員フルフェイス!こりゃー、分からないですよ。はい。

 苗字だけだと正直な所、そんなに友好関係が広くなかった私としては、誰が誰だかさっぱりでございます。

 まあ、ここで負けるわけにはいかないので、何とか勝つしかない。

 私のとる戦略については既に皆さんから了承を得ているので、遠慮なくいこうと思います。


 という事で、開始直後に『転移』して、敵陣のど真ん中に動きます。

 そしたら、想定してなかったわけじゃないけども、それでも想像よりも遥かに速く、誰かの剣が思いっきり腹に刺さりました。が、まあ、痛くない訳では無いけども、動ける。

 残念ながら、私には『痛感耐性』があるのです!

 正直、ヘビの胃の中で生きたまま溶かされるよりも痛くない限りは大抵耐えられると思う。

 ということで、剣を腹に刺したまま、もう一度『転移』。

 私に剣を刺した誰かさんと、後4人位巻き込めるはずが、2人はあり得ない判断速度で離脱しちゃったので、結局巻き込めたのは3人。

 それでも只のメイドが3人巻き込めれば上々でしょう。

 そのまま場外に移動してやったので、3人の相手方を退場扱いにできた訳です。

 ……と、思ったんだけども、どういう仕組みか分からないけども、気づいたら1人は離脱してた。

 ふーむ、巻き込んだと思ったのは幻かなんかだったのだろうか?

 まあいいや、それでも2人は削った。そして、1人については、手の内を若干晒させた。

 うん、上々。我ながら中々頑張ったと言えるでしょうなあ。

 後は皆さん、任せたぞー。




 係の人に腹の傷の回復をしてもらいながら、観戦。

 自分のことながら、ぼったぼった血を垂れ流しながら『なんじゃこりゃーっ!』て叫ぶ元気はあるわ、自力で歩いて救護室まで行けるわ、異世界クオリティ凄いね。

 さて、私が2人削ったのは中々相手にとって痛手だったらしい。

 動きに乱れが見える。

 というか、相手方はコンビネーションも何も、元よりあったもんじゃない。

 こりゃ、寄せ集めで9人組んだ、って感じだな。

 多分、9人も異国人の奴隷を集めて仲良くさせながら置いておいたら脱走される、とか、そういう危惧があったんじゃないかと推測される。

 対して、こっちは一応9人……じゃないや、私を除く8人は普段から8人でモンスター相手に戦いまくってる人たちである。仲もいい。

 よって、絶対にこっち側に利があるのだ。

 事実、モノの部にも出ていた槌戦士のアライさんのどでかいハンマーを鳥海のハルバードが弾き飛ばし、すぐにアライさんを戦闘不能に追いやったり、向こうの魔術師らしい人を角三君が場外にしたり、と、大躍進である。

 ふむ。圧倒的だね。これで8対5。このままごり押しでも十分いけるんじゃないかな。

 ……と、思ったんだけどね。

 思ったんだけど、ね。

 負けた!まさかの負け!ありえん!どうしてこうなった!




 理由は聞いてくれるな、訳が分からん……。

 只、ありのまま起こったことを話すと、『向こうの女子が『頼むから負けてよ!負けてくれなきゃ私達終わりなのよ!』と叫んだところ、こちら側が全員ダウンした。叫んだ女子もダウンした』というかんじになる。

 向こうの女子がダウンしたのはMP切れ、こっちがダウンしたのは向こうの女子の何かしかのスキルの所為、と考えるのが妥当かな。

 ……しかし、まさか、まさか、負けるとは、なあ……。

 どうしよう。これで私たちは、教室を1つ取り逃したことになる。




 5つ中4つの部で優勝を収めた私達ですが、正直ジとヘキサはどうでもよかったのに、肝心のノナで負けました。

 やばい。ここで3つ教室を手に入れられるはずだったのに、1つ取り逃した。

 ……この失態は取り返しがつくだろうか。

 全員暗い面持ちで、表彰式に出席することになりました。




 表彰式はステージ上で行われる。

 準備などでパタパタと動き回る人たちを眺めつつ、私たちは待機である。

 何気なく、私達全員それぞれの部で優勝しちゃってるので、全員が表彰式に出ることになった。皆さんはともかく、私が出てていいんだろうか、いや、良くない気がする。


「ちょっとごめん、静かに」

 今後の方針を暗い面持ちで話し合っていたところ、急に鳥海が皆を黙らせた。

 多分『地獄耳』を使っているのであろうということは全員すぐに分かったので、言われた通りに黙る。

 そのまま暫く静かにしていると、だんだん鳥海の顔が面白い事になってきた。

 凄く愕然としたかと思ったら、だんだんふやけてきて、最終的には含み笑い状態に。

「……どしたの、変顔になってるけど」

 角三君が突いてようやく我に返ったらしい鳥海、非常に面白い事を言いました。

「ノナの部の優勝賞品が盗まれて、盗んだらしい連中を突き止めて、アジトに乗り込んで捜索したんだけど、既になくなってたらしいよ?」

「話のオチは?」

「突入したアジトでは拘束されたオッサンが3人転がってて、地下の牢屋の壁が焦げてたんだそうですわー、いやー、怖いね!」

 ……ああ、あああ!

「優勝賞品を盗んだ奴から更に盗んだ奴……一体何リアさんなんだ!?」

「どっちかっていうと何ーズマリーさんな気が……」

 ……つまり。ノナの部の賞品になる予定だった物、それは、『放送室』であったらしいのでした、という。

 ナイス!私!もっと褒めて!褒めてくれていいのよ!

 いやはや、正に人生万事塞翁が馬。




 という訳で、私たちはホクホクの笑顔、主催者側は真っ青状態で開始した表彰式。

「えー、モノの部優勝者カドミ。汝の勇姿を讃え、失われた恩恵を宿す剣と、異国の魔法の部屋を進呈する」

 すかさず私と社長と刈谷の目が動いて、角三君が渡された剣と宝石を『鑑定』。

 ……ほほう。宝石は『職員室』。剣には『威風』という効果が付いている。

 よし。では次。

「続いて、ジの部優勝者ハリウ、カトリ。汝らの勇姿を讃え、失われた恩恵を宿す腕輪を進呈する」

 またしても『鑑定』したところ、この2つの腕輪は凄い!多分!ついている効果は『交信』。つまり、つまり、トランシーバー?

 連絡手段になるとしたら、これは相当に便利そうだね。

「続いて、トリの部優勝者スズモト、ハガサキ、ダリア。汝らの勇姿を讃え、失われた恩恵を宿す杖と、異国の魔法の部屋を進呈する」

 杖には『思考速度上昇』なるものがついてるね。うーん、分かりやすい。

 そしてお待ちかね、教室の方は、『印刷室』であった。わーい、予想通りだ!

「続いて、ヘキサの部優勝者スズモト、ハガサキ、シャチ、ハリウ、トリウミ、カリヤ。汝らの勇姿を讃え、失われた恩恵を宿す外套と霊薬を進呈する」

 外套……マントだね、付いている効果は『防御力上昇』。舐めてんのか。

 それから霊薬、の方は……私の『鑑定』だと、染料になりそうだっていうこと位しか分かりませんでした。残念。


 そして来ました。ラスト。

「続いて、ノナの部優勝者アライ、コンノ、カブラギ、ハナムラ、ウタガワ、シイナ、ウミノ、カジ、イケダ。汝らの勇姿を讃え、失われた恩恵を得た指輪と、異国の魔法の部屋を進呈する」

 人様のものだけども、ちゃんと『鑑定』はしてみたら、やっぱりというか、宝石を鑑定したら『アメジスト』って表示されたよ。思いっきり偽物ですね。

 指輪の方はHP回復速度上昇とかそういうのだったので放置。

 ……勿論、ここでこのままスルーしてもいい。

 いいけども、少しでも私たちにとって有利になるように事が運べば万々歳だ。

「それ、偽物ですよね」

 社長が良く通る声で『アメジスト』を指差しながら言うと、場が凍り付いた。

 うーむ、本当に空気クラッシャーな奴だ。いいぞー、もっとやれー。


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― 新着の感想 ―
[一言] ~「続いて、モノの部優勝者スズモト、ハガサキ、ダリア。汝らの勇姿を讃え、失われた恩恵を宿す杖と、異国の魔法の部屋を進呈する」 トリの部のはずー。誤字報告機能解放されたらそちらで出します。
[一言] あ、そういや女性が連れ立ってトイレ行く習慣は本来、単独でのトイレは各種の犯罪行為に狙われやすいから、だとか。いや今のもちもちさんなら既に知ってそう。
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