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54話

 あったーらしーいーあーさがっきった!

 ということでおはようございます。

 今日はお留守番の日なので楽しくお留守番しようと思います。はい。

 お弁当と朝ごはんをこさえて、角三君と加鳥以外の皆さんを送り出したらお留守番スタートです。




 ……さて。

 今日はひっさびさにご飯に力を入れる日にします。

 なのでまずは、暇している角三君と加鳥を連れて、海へ『転移』。

「さて角三君、加鳥君。君達には今から海に入ってもらいます」

「えっ何それ、聞いてない……」

「そりゃそうだよ、言ってないからね」

 今日の目的、それは昆布です。

 この世界、昆布を食べる習慣は無い模様。海藻の類が全然市場に無いんだよね。

 しょうがないから自力で取ることにしたんです。


 ということでまずは、脱ぎます。

「え……ちょ、ちょっと、待て待て待て待て」

「舞戸さん、着替えるなら向こうの方行こうよ」

「失礼な、ちゃんと下に着てるわ!」

 流石に全裸になるようなアホなことはしないぞ、私も。

 メイド服のまま海に入ったら重くて動けなくなりそうだったので、軽いワンピースを着てきました。

 皆さんご存知でしたか?日本において水着が開発される前、水着として使用されていたのは絹のワンピースだったそうです。

 勿論、泳ぐのには非効率的だったそうです。じゃあなんでそんなもん着たんだよ。解せぬ。


「ちなみに僕ら、水着とか無いよね?」

「日本古来より褌一丁で泳ぐ人は居るものです」

「えー……まじか」

「着衣水泳でもいいってんならそれでもいいけども。『お掃除』で水っ気は飛ぶし」

 君達、着衣水泳しても平気な位の補正は掛かってるでしょ?と聞いてみると、まあ多分、との事。

 それでもなんだかそのまま水に入るのに抵抗があるらしく、一応色々脱いで軽装になってから入っていた。


 海に腰辺りまでつかる位の位地には、海藻がふよふよしていた。

 そこら辺で海藻や貝を拾い集めてもらって、それを『鑑定』。

 美味しく食べられる、食べられる、有毒、の3つに分類して、食べられる、のグループはリリース。

 美味しい奴は持って帰ってご飯にするし、有毒の奴は社長に贈呈しよう。きっと社長の事だ、喜ぶに決まってる。


 そうして延々と海藻と貝を採集した結果、昆布、わかめ、テングサが取れました。

 それぞれ、特にでかかったり色が変わってたりはしません。

 つまり、効果付きの食べ物。

 効果は……『HP回復速度上昇』、『HP回復』、『HP回復』でした。

 貝は残念ながら有毒なものしか見つからなかった。

 社長は喜ぶだろうけどさ。




 浜辺に上がったら、角三君と加鳥を『お掃除』しておいて、早速昆布を天日干しに……。

「舞戸さん、舞戸さんも早く『お掃除』しなよ」

「だって昆布触ったらまたどうせ濡れるし」

「いいから」

 良くないんだけども、しょうがない。『お掃除』すると、濡れたワンピースが一瞬で乾いて、裾がふわりと広がる。ふむ、やっぱりこのスキル、中々の優れものですなあ。


 そして昆布を天日干しにしていくわけですが。

『お掃除』では、食材の水分を飛ばしたりすることはできなかった。

 ……ならばここでスキルを入手せずにどこで入手するか。

 スキル入手を祈りつつ、昆布を浜辺に広げて太陽に当てると、やっぱりというか、ドッグタグが光る。

 ……ふむ、『天日干し』。そのまんまなスキルですなあ。

 しかしこのスキル、昆布を浜辺に干す事無く乾燥昆布にできちゃうので、非常に素晴らしいスキルなのでした。

 ……そして、後で判明したのだけれど、このスキル、お布団にも使えてだな……。最高!ほっかほか!ふっかふか!




 乾いた昆布は軽くなるのでいっぱい持って帰れるね!昆布を袋に詰めている間、角三君と加鳥は水遊びしていた。

 ……うん、まあ、楽しそうで何よりです。

 あ、あっちの方に綺麗な貝殻落ちてる。拾ってこよう。




 貝殻拾ったりサンゴの欠片拾ったりしていたら、角三君と加鳥が消えていました。

 ……あれっ、二人とも、どしたの?もしかして溺れた?流された?

 って事はないよなあ。多分。

 となると……潜ってるのかしらん?

 じーっと見ていると、海面に加鳥が出てきて息継ぎしたかと思ったら、また海に潜っていった。

 な、なんだなんだ。

 それから角三君も何度か顔を出したりして、無事は確認できたんだけども……。

 何やってんだろ、あれ。




 それからしばらくして、二人とも水面に顔を出した。

「舞戸ー!大収穫!」

「教室見つけたよー」

 ……えっ?


 浜辺に上がってきたので見せてもらうと、確かに手のひらサイズの宝石があった。

『鑑定』したところ、『職員玄関』、とのこと。

「宝石がどこにあるか分からなくて、結構かかった」

「海の中にも教室ってあるんだねえ」

 そうかー、海に沈んだ教室もあるのか。

 というか、『職員玄関』とかいう、半分屋外みたいな部分だったから海に沈んでいたのか。

 ふーむ、これはどうしたもんかな。

 他にも海に教室があるとしたら……探すのがめんどくさいことこの上なさそうだけども。

 まあ、今回は見つかってよかったよ、ホントに。昆布以上の収穫だね、これ。




 という訳で、2F北東に戻ったら、お昼ご飯ですね。

「何か食べたいものある?」

「えっ」

「えっ」

「まさか聞かれるとは思ってなかったなあ」

 そういえば……聞いたことなかったね。ごめん。

「……卵って、余分ある?」

「いっぱいあるよ」

 そりゃ、箱で買ってるからね。

「卵かけごはん食べたい」

「作る側としては何とも言えないセレクションだなおい」

 それでもまあ、ご希望と在らば卵かけごはんにしますよ。

 ご飯炊いて味噌汁こさえる位でいいかな、うん。

 ……同じ卵でご飯だったら、オムライスとかさあ、もうちょっと無いのかね?


「ごちそうさまでした」

「お粗末様でした」

 お粗末この上ないけども、まあ満足げだからいいか。




 お昼ご飯が終わったら、早速本日のメインイベントと行きましょう。

 はい、お菓子です。

 お菓子ですよ。お菓子。

 バターも卵もあるからね。うーん、何作ろうかな。

 そういえば、サトウキビから砂糖作った時に廃糖蜜でラム作って、果物漬けておいたなあ。

 まだ若いかもしれないけど、アレ使っちゃえ。

 ということでフルーツケーキ作るよ!


 まあ、あれだ、パウンドケーキの中にラム漬けのフルーツ入れるだけなので、そんなに難しいもんでもない。

 後はオーブンだけども、これもまあ、火魔法で火力調節しつつ、化学実験室にあった温度計でオーブンの温度を計りながら、大体180℃ぐらいで焼けば完成である。

 オーブン作ってもらっておいて良かったです。はい。

 できたらケーキは寝かせておこうね。そうするとしっとり落ち着いて美味しくなりますので。

「なんかいい匂いする」

「何作ってるの?」

「ケーキ焼いた」

 焼けたケーキを置いておいたら、なんか釣れた。

「えーと、食べるのは」

「今晩か明日の晩かな、と」

 角三君が無言で、ちょっと悲しそうな顔した。

 ……成程、私も甘味に飢えていたけれども、こいつらも相当甘味に飢えているのか。

 ふむ、ならばおやつもついでに作ろうじゃないか。

 ケーキ焼き終わったら大体2時。

 今からのんびり準備してもおやつ時には間に合うね。


 さてさて、じゃあパンケーキでも焼きますかね。

 クレープとかでもいいんだけども、生クリームは買ってこなかったんだよね。

 クレープにはクリーム欲しいじゃない。だからまあ、本日はパンケーキで。

 パンケーキも簡単だね。粉と砂糖と卵と重曹と溶かしたバターちょっとと牛乳混ぜて、フライパンに流して焼いたら出来上がりだ。

 今日はそこにフルーツソース掛けて食べましょうかね。

 あ、果物の類は見つけた種類全部、ジャムとソースにして保管してる。

 ほら、瓶大量に買い込んだじゃない。

 それで保存が可能になったので、やっとこさ色々作っておいておけるようになったのですよ。




 パンケーキ出したら割と好評でした。

 もふもふパンケーキ食べてる二人は見ていてなんか微笑ましい。

『舞戸、舞戸、僕も食べたい』

 ハントルも食べたがったので、パンケーキの小さい欠片を与えてみた所、こっちにも好評でした。君、肉食じゃなかったっけ?

『俺の分はねえのか』

 え、ケトラミさんも召し上がりますか?そっちこそ肉食じゃなかったっけ?

 まあご所望と在らば、ということで出してみたら、こっちにも好評でした。ケトラミ曰く、『人間の食い物も悪くねえな』との事。

 それでいいのか狼。


 そしてその時事件は起こった。

「ただいま」

「早くないですかお帰りなさいませご主人様達」

 なんか、帰ってきた。

 そうかー、鳥海はもう『転移』できるんだもんなあ。メイド不覚。

「勝った?」

「勝った。で、何食べてんだお前ら」

「パンケーキ」

「パンケーキ」

『ぱんけーき!』

『パンケーキっていうらしいぞ、コレ』

 ケトラミまでパンケーキ食べてる不思議な眺めを前にして、何とも言えない表情になる皆さん。

「これ、俺らの分って」

「はい作ります」

 はい6人前追加でーす。

 ……皆さん、男性諸君にありがちな、甘いもの苦手、っていうのがあんまし無いから助かるよね。




 晩御飯はご飯に味噌汁に煮物と鶏肉の焼き物です。

 ふふふふふ、煮物と味噌汁は昆布出汁だ!いやー、やっぱり日本人としてはこういうの欲しくなるよね!

 うーん、ここまで来ると鰹節も欲しくなってくるけども……遠洋漁業は辛いかなあ。というか、鰹いるんだろうか、この世界。

「そういえば教室拾ってきた、海で」

 角三君の報告に、本日ヘキサの部で戦ってきた皆さん、唖然として角三君を見る。

「教室っていうか、『職員玄関』だけど」

 はい、と宝石を出す加鳥を見て、そういえば、と思い出す。

「そういえば私も結構前に『放送室』拾ってたわ」

 鞄から宝石を出すと、またしても皆さん、唖然として私を見る。やめろ、そんなに見つめるな。

「待て、それはいつどこで拾ったんだお前」

「攫われ先にあったから拾ってきた」

 ね。すっかり忘れてたんだよね。

「……それ窃盗」

「窃盗された私が窃盗品窃盗して何が悪い」

「色々おかしいよね、それ」

 まあ、皆さんも特にそれについて文句がある訳でもないのでいいんだけども。

「……うん、まあ、これで1Fの教室が2つ、と、予定で3つ、か」

 そうね。剣闘士大会で3つ手に入る予定だからね。

 ふむ、これで3つ手に入るとしたら……印刷室と職員室、事務室……あたり、かな?

 そしたら1F南はあと、校長室と会議室と保健室……あたりだろうか。

 うん、ちょっと先が見えてきた気がしないでもないぞ。




「そういえば昨日対戦した門番いたじゃん」

 あー、ローズマリーさんに気づかないあの門番さんかあ。

「むかついたからこてんぱんに伸してきた」

「そっか、報告ありがとう」

「次はノナの部で、ということです」

「そうかそうか」

 ……うん、どうせ敵ではないんだけどさ。




 さて、明日はノナの部と、表彰式ですな。

 うふふふ、これで教室が3つと……多分、なんかの景品がもらえますよ。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 書籍版でどうすんのかなぁ。 [気になる点] 毒使い(目と心臓に効く) [一言] 染〜物! 調〜合〜士っ!
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