19話 ガルン
「君達。何で普通に立ってるの?」
ブン・ディン・健・百合・里奈は、地面に膝をついた。
「な、何で地面に膝をつけている。」
「それは、私も聞きたいです。」
「動けない。」
「嘘。」
「百合。隆人お兄ちゃんの鍵が開いた。」
隆人には、3つの鍵で能力を封印されている。封印を作ったのは、隆人の母親。だから、妹たちには何が鍵を開けるルールなのかもわからない。隆人には、能力が4つある。1個目は、魔文字。2個目は重力。他2つは、誰も見たことがない。
「そうだ。俺が立ってるときは君達は地面に膝をつけてないとおかしい。」
「隆人ふざけるな。」
健は、隆人に反論した。
「隆人。お前おかしいぞ。お前はそんな人ではなかった。」
「黙れ。」
健は、声が出なくなった。
「ブン、何なの。あの不思議な能力。」
「わかりません。だけど、昔の世界を破滅に追い込んだ人に近いと思います。」
「もしかして、ガルン?」
「はい。ガルンは、世界を破滅に追い込んで失敗して死んでしまった人です。」
その話は、全部聞こえていた。
「ガルン。懐かしいな。ガルンは、俺の兄だよ。」
え!そんな、事は絶対にありえない。ガルンには、兄弟とか親とかは全て殺されているはず。
「何で兄とか言えるんだ?」
「ブン。何様だ。」
ブンは、自分が上目線で言った事に気づいた。
「ちょっと隆人。調子乗ってるんじゃない。」
ディンは、少し怒りながら言った。
「ちょっとディン。ダメだよ。」
「そうだよディン。」
百合と里奈は、もうわかってる。自分達の立場。
「そこの2人は、よくわかってる。名前を教えろ。」
これが、隆人の人格に鍵をすることになるとは思いもしなかった。
「私の名前は、西原百合です。」
「西原里奈。」
「うっ、頭が……」
隆人は頭を押さえて苦しんでる。
「隆人お兄ちゃん。」
「隆人お兄ちゃん大丈夫ですか?」
俺は、答える事ができないで倒れこんでしまった。
「隆人お兄ちゃん。」
「しっかりしてください。」
倒れた隆人の近くに寄った。
「ブン。どう思う?」
「何がですか?」
「さっきの、隆人のおかしな言い方。」
「ガルンとそっくりと思います。」
「隆人の中に居るとかないよね。」
「それは、ないと思います。」
健も話に加わった。
「ブン・ディン。話があります。」
「どうした?」
「どうしました?」
「隆人の中には、ガルン居ます。」
ブンとディンは、黙ってしまった。それは、世界の絶望に近いと思った。
「ホント?」
「何でガルンが、いると思う?」
それは、ありえない答えだった。
「隆人には、ガルンと同じ傷が同じ場所に無数にあるんです。」
それは、ガルンが死んでから遺体が消えたと言われている。もしかして、死んだガルンの遺体が隆人の体と相性があってる。あってないと、体の融合は不可能。
「あそこに居るのは…」
「嘘だよね。」
隆人の方を見た。
「多分百合と里奈は、知らない。知ってるのは、僕だけ。」
その答えだけでも世界は混乱にならなくてよかったと、ディンは少しだけよかったと思った。
「だけど、早く発表しないと。」
「ダメだよ。まだ、私達が確認できてないんだから。」
そう、まだ確実な証拠が見つかってない。