15話 死
「ちっと、ブン何があったんだい。」
健の後ろに立っていることに気づく。
「そいつ、死んでる。」
健は、何を言ってるのかわからないな。
「ブンさん、何言ってるんだよ。隆人は生きてるんだよ。」
「いや、ブンの言うとおり隆人は一度死んでる。」
綺麗なお姉さんが言った。お姉さんの名前は、ミミ・ディン。
「何で死んでると言えるんだよ。」
「それは隆人から体温が感じなかったから。」
「は?体温なら感じるだろ。」
健は、隆人の手を握った。
「冷たい。」
「これで、わかったでしょ。隆人くんは一度死んで何らかの方法で生き返ってるんだよ。」
「その方法とは?」
「それがね。わからないのよ。」
「うん。戦うときに調べたけどわからない。」
そんな話をしていたら隆人は、起き上がった。
「隆人?」
「う~ん、どうした?」
「隆人は一度」
「やめなさい。」
健が言おうとしたことをディンはとめた。
「どうしたんだよ。」
「……。」
「ディン話していいか?」
「は~、もう知らないからね。」
「わかったよ。隆人くんは人間なのかい?」
「人間だよ。何かあったの?」
「そしたら、何で隆人くんの体温は冷えているんだい?」
「……。」
隆人は黙った。
「隆人何か言ってくれよ。違うよな。」
隆人は言った。
「ごめんな健。もう、バレてるなら話すよ。確かに俺は一度死んでるよ。」
「そんな…。」
健は、床に膝をつけた。
「でも、隆人くんは何で生きてるんだい?」
「俺の能力Tで今は生きてる。」
「T?」
「Tは、天使。俺は死ぬ瞬間に発動して天使に命だけを戻してもらったんだよ。」
それは、死んだ人間がゾンビに近い。
「なら、隆人くんはゾンビなのか?」
「それに近い。命はあっても体温・味覚だけ無くしてるんだよ。」
「それは代償?」
「そうだよ。代償は絶対にあるんだよ。」
話続けていると健が言った。
「なら、隆人は僕を騙していたのか?」
「すまん。騙すつもりはなかった。」
「妹達も騙すのか。」
「……。」
「何で黙ってるんだよ。何か」
ドン
「ナイスだよ、ブン。」
健を気絶させたのはブン。
「危険に感じた。」
「……。」
「そうだね。」
ディンは、見えていた。今隆人の中に混乱の心ができていること。
「すいません。少し一人にしてもらえませんか?」
「わかったわ。ブンと健と私はここから出てすぐ近くにいるから。何かあったら読んでちょうだい。」
「すいません。」
そして、資料室に隆人は一人になった。




