第一章 一節 超能力者
長期滞在していた寒気が、いつの間にかに去ったと思ったら、桜が咲き始めた四月。気温は徐々に暖かくなってきたものの、未だに冷え切っているのは、俺の心と懐くらいだった。
そこかしこに真新しい制服を着込んだ少年少女が期待に胸を膨らませつつも、どこか不安が垣間見える顔をしている。悲しくも二年目の高校生活が始まって早数日が経過した今日。俺は町を徘徊し、過ぎ去りし春休みの日々を思い出していた。
周知の事実だが、高校生の春休みと言うのは非常に短い。長期休暇とはよく言ったもので、ゴールデンウィークがちょっと長くなったくらいのものだ。
まったくもって言葉の詐欺だ。
はっきり言って必要ない。
もうシルバーウィークとかブロンズウィークとか、そういう名前でよくね? 春休みとかいう名前にするから皆期待すんだよ。
でも知ってるか?
俺たちもあと何年かしたら初めて春休みというのは意味を持ってくる。大学生にもなると、春休みは夏休みを越えるほどの長期休暇に早変わりするのだ。まぁそんな事は数年後の話であり、今の俺には短い休みしか与えられていないのは事実だけどな。
俺もその間に彼女を作ったり、バイトなんかをしていれば、春休み明けの今の状況は回避できたかもしれない。だが俺は、そんな一般ピープルのように、休みを無駄に使ったりはしない。
遊び呆けてやったさ。全力でな。
決してバイトを探せなかった訳でもない。彼女だって――作ろうと思えば作れたさ!
別に『リア充爆死しろ』だとか『働いたら負け』だとか思っている訳じゃない。本当だからな?
何故か長期休暇というものは、俺のやる気をなくす。それだけの事だ。
「よう拓夢! お前もサボりか?」
考え事をしながら歩くと危険だ。と、昔誰かから教わったような気がするが、俺はお構いなしで街中を歩く。
だってさ、俺たちの人生は言わば小説と同じ。なら俺は主人公だろ? そんな俺が先人の教えをいつまでも気にしてる訳にもいかねーっしょ。
「おい! 無視すんな!」
「俺のことはサタンと呼べと言っただろ?」
丁度公園にたどり着いた時、俺はベンチに座りながら口を開いた。
「何言うてんねん? 拓夢は拓夢やろ?」
「違う。今日からは金崎拓夢改め、サタンだ。分かったな?」
「何でや?」
「主人公だからだ」
俺の悪友、真宮寺大河。
高い身長と、細身に見えて意外と筋肉が付いている身体は、服の上からでも彷彿とさせる。髪は金色のソフモヒ。左耳にはピアスと、世間一般でいう不良と言うやつだ。
見た目だけでは主人公の俺よりも目立つ上、似非関西弁という属性までもってやがる。親が関西、自分は関東という境遇で色々と混ざった結果、関西の人が聞いたら怒られそうな関西弁を使う。って、何で俺がそんな事いちいち説明せなあかんのや!
「まぁいいわ。それで? 人の話聞いてた?」
「あぁ、聞いてたよ。それで、何だっけ?」
ふと周りを見渡す。時間は十時を回ったばかりという事もあって、人影は少ない。
何故そんな時間に制服で街にいるのかって?
「せやから、拓夢もエスケープしてたんかっちゅう話」
始業式を数日前に無事終え、晴れて俺たちは二年生へ進級する事ができたのだが、俺も大河もここにいるってことは――。
「エスケープ? 違う。風が俺を呼んでたんだ」
まぁ、簡単な話サボりだ。
「お前もか! 実は俺もや!」
「嘘こけ!」
まさかこいつ。俺の主人公的立場を狙っているのか?
「お前さ、もしかして俺の役職狙ってんのか?」
「は? なんやそれ?」
「主人公だよ」
「何の?」
「俺たちの物語のだよ」
いい加減、しらを切るのをやめろ。
「何中二臭い事言うてんねん。何が主人公や。俺たちは小説の登場人物じゃないで?」
「う、うるせ! お前だって何だその髪? 金髪とか、高校生にもなって中二臭いんだよ!」
「うるっさいわ! 人の事を見た目と外見で判断すんなっ!」
この野郎! また美味しいボケしやがって。
「それのどこが違うんだ? 相変わらずだねぇ」
そんな俺たちの言い合いを見て呆れたのだろう。横から声がかかった。
来たよ。またもや俺の主人公を危ぶませる輩が……。
「誰が馬鹿や!」
「君だよ」
「おらお前ら! この俺を置いて勝手に盛り上がるな!」
「いやぁ拓夢。君も相変わらずみたいで安心したよ」
「ほっとけ!」
声の主は、桜井昇。
程よい背丈と決して細いだけではない体つき。さらに、甘いマスクが備わった、主人公の俺よりも遥かにモテる二枚目。俺のもう一人の親友にして天敵だ。
まぁでも、どの作品でも主人公よりカッコいいキャラってのは存在するし、二枚目だと言う事に関しては大目に見よう。
なんてったて、俺は過去を振り返らない心の広い男だからな。小学校から『なんで桜井君があのバカ二人と一緒にいるの?』って言われ続けたのも俺は……。
「ちくしょぉぉぉ! 俺は主人公だぞ? 桜井君と一緒にって、まるで昇が主人公みたいじゃねーか!」
「な、なんや拓夢! いきなり叫ぶな」
「うるせぇ! お前もお前だよ!」
理不尽にキレる俺を、昇は笑顔で見ていた。
「何がや? お前がごっつ怒っとる意味が分からん」
「じゃぁ逆に聞くけどさ、当たり付きのアイス完食したら棒に『負け』って書いてあったら、お前黙ってられんのか?」
「いや。そりゃ黙ってられん」
「だろ? お前もムカつくだろ?」
「あぁ。時間が無いなら当たりをもっと増やせばええ話やろ! 何考えとんねんな?」
ん? ちょっと待てよ?
「おまっ、その『巻け』じゃねーよ!」
「え?」
こいつと話すとHPがかなり削られるような気がするぜ……。
「もう何でもいいけどさ、僕はちょっとDVD返さないといけないからもう行くよ?」
「待てコラ! 逃げるのか?」
そう言って大河は昇の肩を掴んだ。
「誰が逃げるって?」
「あ? お前じゃ昇坊ちゃん」
あ、馬鹿!
「あ? 今なんて言った?」
「昇坊ちゃんって言うたけど、何や?」
昇は長ったらしい会社の御曹司なのだが、その事を言われるのを非常に嫌っている。特に坊ちゃんは禁句中の禁句。俺も滅多に言わない。
「上等だよ。血祭りに上げてあげる」
「おもしれぇ。かかってこいや!」
「おい! 主人公の俺そっちのけで喧嘩すんな!」
気づくと俺たちはブレザーを脱ぎ捨て取っ組み合いをしていた。
これが俺たち、星高の黒い三連単。喧嘩が絶えないが、決して仲が悪い訳じゃない。
よく言うだろ? 喧嘩するほど仲がいいって。
ちなみに黒い三連単ってのは、アニメ好きの昇が有名ロボットアニメから抜粋してきた。分かる奴には分かるだろうが、まだ小さかった事もあって星を単って読んでしまったのが間違いの原因だ。今でも直すつもりはないけどな。
「それで? やっぱりみんなもサボり?」
喧嘩した挙句に疲れ切った俺たちは、休戦協定を結んだ後、缶コーヒーを片手にベンチに座って空を見上げていた。
「ん? 俺は自前の腹痛や」
「俺はその看病で」
「つまり、サボりなんでしょ?」
「そのとおぉり!」
俺と大河の息はピッタリだった。これも長年培ってきたものの賜物だろう。
ちなみに、俺たちはこうして学校をさぼっている訳だが、別に待ち合わせをしていた訳じゃない。これも、長年培ってきたもので、なんとなくサボると、大体俺たちは鉢合わせする。
噂では、一部で都市伝説として語り継がれているらしい。
「昇は?」
「僕はさっきも言ったけど、借りてたアニメを返すのを忘れていてね。今から返しに行くところ」
桜井昇。実は根っからのアニメ好きで、その領域は既にオタクと呼べるものだった。
どうでもいい情報だが、好きなジャンルは泣ける系。
「そういう拓夢は?」
「俺は、この公園が寂しがってたからな」
俺と言えば、これと言った趣味は持ち合わせていない。昔からアニメや漫画を見るのは好きだったが、昇ほどじゃないし、それを趣味と言えるかどうかは怪しい。
まぁそれでも、主人公として、必要最低限の知識は持っているつもりだ。
「大河は……いっか」
「おい! 俺にも聞けや!」
「いい解答が聞けるとは思えないんだよね。でもまぁ、そこまで言うなら仕方ない。じゃぁ三文字以内で」
「おう! え――」
「はいっ! そこまで! いやぁ、短くまとめたいい『すもも』だったよ」
「すもも? 何やそれ? 早口言葉か?」
「いや、気にしなくていいよ」
意味は分かったけど、無理してボケる必要が果たしてあったのだろうか? ここは俺が助け舟を出してやるか。
「昇が言いたいのは、言葉が少なくても俺たちには伝わるって事だ」
大河の肩に手を置く。
「うん。大河はエロゲーを買いに行こうとしてたんでしょ?」
「マジか! よく分かったな!」
『当然だろ!』
俺たちは、親指を立てて前に出す。ダブルプレーを取った気分だぜ。
大河は、顔に似合わずエロゲーやギャルゲーといった疑似恋愛が好きだ。現実逃避とも取れる趣味だが、それさえ知っていれば推理は簡単だよ。
「なっ、ワトソン君」
「そうだね、ホームズ」
俺たちはお互いの実力を認め合い、腕を絡めるように組んだ。
「そうか。やっぱお前らとの友情は本物やったわ」
その横で、大河は偽りの友情を確かめていた。
「すっかり夜になってしもうたな」
「君が電気屋で時間を食ったのが、最大の原因なの理解してる?」
「何や? 昇が新しいアニメを買おうか迷ってた時間かて、えらいロスタイムやったわ!」
「まぁ、俺の場合完全に道連れだったけどな」
「君が一番楽しそうだったけど?」
「そ、それは気のせいだ!」
俺たちは、制服のまま夜まで遊び通した。最初はレンタルビデオ屋。次に電気屋。その後は、まぁゲーセン行ったりしてぶらぶらと。
ちょっとサボるつもりだったのに、こいつらといると時間を忘れるよ。
「ふぅ」
俺は懐から煙草を取り出し、口に銜えて火をつける。
「おいっ!」
「拓夢。流石にこの恰好で街中堂々と喫煙するのは、少しまずいと思うよ?」
「しょうがねぇだろ?」
しょうがない。
そんな一言で何も言わなくなる。事情を知っているこいつらから、しょうがない行動だからだ。
今回ばかりは中二臭いから煙草を吸っているんじゃない。実際煙草なんて吸いたくないしな。もちろん法律で禁止されてるし、俺より周りの大人に迷惑がかかる。いいことなんて一つもないと言える。
でも、しょうがない。
生きる為だ――と言ったら、あながち間違いじゃないが、少しオーバーだ。
正確には、普通の人間として生きてく為だ。
その為に、俺はどんな手段を使っても、偽り続けると誓ったから。
「おい! 待てや!」
突然大河が声を荒げた。
「どうした?」
「透明人間にでもあったか?」
冗談交じりで大河に状況の説明を求める。
「ちゃうわ。このおっさんがいきなりぶつかってきてな、誤りもしないんや」
よく見ると、大河の目の前にはスーツを着込んだサラリーマン風の男が立っていた。
「…………」
「黙ってないで何とか言えや!」
大河は短気だが、こんなこと位じゃ怒る奴じゃない。わざとしか考えられないぶつかり方をしてきたのだろう。
だとしても、夜の街中で、しかも制服で喧嘩なんてしたら人目につきすぎる。
「おい!」
「…………」
サラリーマンは、胸ぐらを掴まれてもだんまりを決め込んでいた。俺と昇は目で合図し、
「おい! 落ち着けよ!」
「少しは考えな。こんな所で喧嘩なんてしたら、すぐ警察沙汰になる。一度落ち着くんだ大河」
とりあえず大河を鎮めようと試行錯誤する。その横で、サラリーマンは今だ黙って下を向いていた。
「ええやろ。おいおっさん! ちょっとついてこい!」
大河といると争いごとと縁が切れないから困る。
「まったくよ。先陣切って主人公みたいじゃねーか。はぁ、悪いなおじさん。ちょっとついて来てもらうぞ?」
「安心してください。お金とか取るつもりありませんから」
今の昇の言い方だとやりかねないな。俺は結構常識あるからそこは阻止するつもりだ。
夜道を歩いて十五分。大河が連れてきたのは、俺たちの通学路でもある河川敷だった。今は春先とはいえ、やっぱり夜になると肌寒いな。
「おっさん。俺に言う事があるやろ?」
サラリーマンは、逃げる素振りも見せずに黙って後を付いてきた。俺たちは、サラリーマンと対峙するように反対側に身構える。
もし襲ってきたとしても三対一。相手がいくら手練れでも、俺たち三人はそう簡単には倒せないだろう。
「ええ加減にせーや! シバくぞコラ!」
まぁいざとなっても大河が一人でやるだろう。ムカつくが、馬鹿のくせに大河が俺たちの中で一番強いからな。
「……か……」
「あ?」
一昔前の不良のように、下から見上げるようにサラリーマンに迫る大河。おそらく、大河も本気で殴るつもりなどないだろう。
「……か……え……り……」
かえり? かえりって何だ? 奥さんの名前か何かか?
「何やて?」
大河が一気に詰め寄る。とうとう手を伸ばせば届く距離まで近づいた。
「帰りたいんじゃぁぁぁ!」
「くっ!」
先に手を出したのは、驚くことにサラリーマンの方だった。その拳が、大河の顔を捉える。
「この野郎!」
「待て! 拓夢!」
昇の制止を振り切り、俺は殴りかかる。
「俺のダチ公になにすんだぁ!」
理不尽ではある。だが、不意打ちってのが俺の理性を吹き飛ばした。
「帰り方を教えろぉ! 超能力者!」
「なっ!」
今、なんて言った?
「ぐっ!」
もろに顔に入った。めり込むような重い拳。俺は、重力に逆らい宙に浮いた。
「教えろぉ!」
「ぐはっ!」
もう一発。今度は腹に。俺は数メートル浮遊した後、雑草の生い茂る地面に落下した。
昼食ったパフェが出てきそうだ……。
「拓夢! 大河!」
昇が俺たちに駆け寄る。
「くそっ! なんやねんあいつは? 世界チャンプか?」
「だったら――あいつはライセンス――取り消しだな」
笑ってごまかすが、正直かなりつらい……。
「それだけ喋れれば大丈夫だね。それより、あいつの顔を見てごらん」
今までは暗がりで良く見えなかったが、スーツを着ている部分以外は、到底人間とは思えない形をしていた。
顔はいびつに尖り、頭には角。手は異常に大きく、まるで短剣のような爪がついていた。
「なんやあいつ? 世界チャンプやないんか?」
「いや。それについては最初から分かってる事でしょ? 今は君の馬鹿に付き合ってる場合じゃないんだよ」
「なんやコラ!」
「落ち着け! とりあえずあの化け物をどうにかしねーと!」
『お困りですか?』
不意に声をかけられたと思ったら、俺たちの前に颯爽と現れる影が一つ。
それは人の形をしていて、顔を見ると俺たちとあまり変わらない歳の少年だった。
彼はこう言った。
「お困りでしたら、助けて差し上げましょう」
今日は散々な一日だ。喧嘩になるわ、その相手が化け物だわ、終いには全身黒タイツの変態の登場ときた。
『いや、別に困ってないです』
俺たちは軽快に断った。
「ずびばぜん……僕困ってて、助けてください……」
タイツ男は、そう俺たちに懇願してきた。
つい数分前には、まるで救世主のように登場してきたくせに、いざ戦闘になると凄まじい勢いでフルボッコにされていた。
「あど……痛い……マキロンありばず……が?」
「おいこいつ、マキロンとバズーカあるかやて」
残念ながら、マキロンもバズーカもない。って言うか、そんな事言ってないだろ。
「とにかく、僕の見解では、早くあいつを何とかしないとまずいと思う」
「そうだな。俺もそれが言いたかった」
とりあえず黒タイツは放っておこう。今は目先の脅威をどうにかしなくては。
「おしえろぉぉぉ!」
叫びながら暴れ狂う化け物。
教えろって言われてもなぁ。何を教えればいいか分かんないし。やっぱあいつを倒すしかないか。
「良く聞け、二人とも。これから作戦を伝える」
俺は二人に近づき、肩に手を回した。
「作戦名は、オペレーション・ビッグリバーアタックだ」
何かやるときは作戦名を付ける。これは俺の中の決まりごとだ。
「また中二な作戦名やな。せやけど、初めて聞く作戦や」
「僕は大体理解したよ」
「すげーな昇。まだ何も聞いとらんのに、もうどんな作戦か分かったんか」
「うん。この作戦の要は、大河。君だよ」
「なんやて!」
こいつ、もう理解したか。
「その通り。この作戦は、大河の働きで勝敗が決まる!」
少しオーバーなジェスチャーをする。これで、大河は間違いなく乗ってくるはずだ。
「マジかよ! 俺そんなに信用されてたっちゅう事か。任せろ! 絶対に成功させたるで!」
ほらきた。ここまでくれば、もう簡単だ。
「いいか。俺たちは、大河を先頭に突撃する。お前の最初の一撃が、この作戦の要だ!」
嘘は言ってない。頼んだぞ、大河!
「任せろ!」
「じゃぁ、行くぞ!」
『おう!』
俺たちは、地面を強く蹴った。俺と昇は大河の後を行く。その後、左右に散開して……。
「え?」
大河の間抜けな声が聞こえた。
『オペレーション・ビッグリバーアタック』
その名の通り、大河突撃作戦だ。まず大河を突撃させ、囮にする。その後、左右に展開した俺たちで攻撃する。奴を仕留める為、この作戦の要は囮の大河にかかっていると言っても過言じゃない。
「待て! お前らまさかっ!」
頑張れ大河……。
「くっそぉ!」
勢いを落とさず突撃する大河。その姿は、まさに日本男児! 古き日本の大和魂というやつだった。
「はぁぁぁ!」
「教えろぉぉぉ!」
大河の一撃は、無残にもはずれ、胸ぐらを掴まれる。
「昇! 今だ!」
「任せろっ!」
合図とともに、俺は叫ぶ。対角線にいる昇と俺の間には、化け物と囮の大河。
――刹那。鈍い音が鳴り、風と共に化け物が俺の方に吹き飛んでくる。ついでに大河も飛んできたが、作戦に変更はない!
「おらぁぁぁ!」
俺は、全神経を右足に集中させ、大河ごと蹴り飛ばす。
「ぐぁぁぁ!」
「お前ら、覚えとけやぁぁぁ!」
化け物の悲鳴と共に、大河の叫びが聞こえた。
水しぶきが上がる。
作戦終了。
大河……お前の犠牲は忘れまい。




