表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Re-start  作者: 朱砂 晃
1章 約束の場所
9/88

懺悔

 「皆さん、準備はできましたか?」


きっかり一五分後、イクスを含めた騎士たちは全員廊下にそろっていた。全員が旅に出ていたころの粗末な服でなく、これから一国の主に会うのにふさわしい恰好をしていた。


「それでは行きましょうか」


こわばった笑顔でイクスは全員を案内する。少しくたびれた絨毯、ほのかに香る夕食の匂い、そして締めっぱなしの部屋から香る怪しげな匂い。最後に案内するのはいつもの部屋、ふかふかの椅子に、いつも姫が深く腰掛けていたあの場所である。ここにいる誰もが毎日のように出入りをしてきた場所だ。


「それでは、なかに……」


大きくて重たそうなドアの前に立つと、イクスは深く息を吸った。そして中にいる姫に来訪を知らせるため、ドアを軽く叩こうとした。しかし、


「ちょっと待ってくれ」


そのドアに触れそうな手を掴んだのはナイトだった。誰もが息を飲んでも守る中、それでもナイトは聞き出す。


「イクス……俺たちに何か言いたいことがあったんじゃないのか?」


イクスの腕を握る手に力がこもる。

 城の場所が変わっていないにもかかわらず、城から遠い場所に皆が集まった理由を知りたかった。もし、そこに最悪の結果が待っているのだとしても、この扉の向こうにいる人物に会う前に聞きたいとナイトは思った。

 その力に気圧されてか、イクスはゆっくりと全員に向き直った。緊張しているのか、顔は青白い。


「……皆さんにはかないませんね。言おうと思ってたんですが、言い出せませんでした」

 

諦めたようにそこまでいうと、イクスは長く息を吐いた。そして、意を決したように前を見据えた。


「……私は皆さんに言わなければならないことがあります。隠していたこと、話さねばならないようです」


 そこからイクスは語り始めた。あの日イクス自身に起こった出来事と、その後何が姫に起こったのかを。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ