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ライジング・サーガ ~初心者エルフとチート魔人~  作者: 秋原かざや
第4章 偽りの王女奮闘記

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SAVE19 ちょっと待って、こんなの聞いてない!?

「ラナシード・ユエル殿下、ご到着ー!!」

 そんな中、入ってきたのは。

 銀髪の……ラナ、君!?

 っていうか、その王子様ちっくな格好はどうしたの!?

「良かった、間に合ったようだね」

「ラナ、君……?」

「ごきげんよう、ミラーセ姫。その華やかな美貌は衰えることはありませんね。そして、リシアス殿下」

 ミラーセ姫の手の甲にそっと口づけして挨拶すると、ラナ君はきっとリシアス王子を見据えた。

「我が姫に、何用ですか?」

「な、なぜ、そなたが……?」

 すっと瞳を細めて、私の腰を抱き寄せて、微笑んだ。

「サリューン姫がここにいると聞きまして。私と彼女は愛を誓った者同士ですから」


 ええええええええええっ!!!!?

 き、聞いていません、聞いていませんよぉーーーーーーっ!!

 っていうか、ラナ君の優しい瞳が、怖い気がするのは、気のせいでしょうか!?


「そなたは、この国を救った英雄の一人……ラナシード殿下では……ありませんか?」

 リシアス王子は困惑した顔で、もう一度、声を発した。

「ええ、そうですよ。それで、彼女をいただくことにしたんです。こんなにも愛らしい方ですから」

 にこりと微笑むラナ君の目は、すごく怒っていた。

「えっと、その……」

 何といったらいいのか。

「けれど、これはここだけの秘密にしてもらいたい」

 ラナ君は続ける。

「このことはまだ、公には発表していないことなので、それまで内密にしていただきたいのです。彼女もそう希望しています」

「あ、はい……」

 なんだか、知らない間に知らないことが着々と進んでいるようなんですが、気のせいですか?

「わ……わかりました、ラナシード殿下」

 すごすごとリシアス王子が下がり、ミラーセ姫の元へ。


 すると……。


 ぱんぱかぱーんっ!!

 聞き覚えのある、この音は……。

『シルキィキャット、および、ライジングサンのメンバーは、イベントをクリアしました。

 ノーマルクリアですので、ボーナスの加算はありません。

 引き続き、イベントをクリアしてください』


「え? イベントがまだ続くって?」

 ラナ君の表情が変わった。

「えっと……もしかして、おかしいの?」

「おかしいも何も、このイベントが終わったら、後は自動的に帰還するはずなのに……」

「それってどういう?」

「もしかしたら、バグが悪さしているのか……」

 考え込むラナ君に、掛ける声をなくしたときだった。


 ごごごごごごっ!!


 み、妙な音が外から聞こえるんですが!?

「ラナン、大変だよっ!! 魔王軍が攻めてきた!!」

「何だって!?」

 ラナ君はすぐさま装備を切り替え(しかも一瞬で!)、外に飛び出した。私も後に続く。

「な、何……あれ……?」

 数百体の敵がこっちを……ガルドラシスの城を狙ってきている!?

「ごめん、サナ。すぐあっち片付けてくるから、打ちそびれた木っ端な敵を相手してくれる?」

「わ、わかったっ!」

 すぐさま、アイテム欄からロッドを取り出し、構える。

「すぐ戻るから!!」

 ラナ君はそういい残すと、数メートルも高さのあるバルコニーから、華麗に飛び降り、魔王軍へと突っ込んでいく。

 良く見ると既にセレさんや、ミスティさん、アルフさんにとうさんが、前線で戦っている。

 ラナ君が到着したかと思うと……でっかい光線らしきものが、魔王軍を薙いだ。


 ……なに、あの魔法?

 あれ一発で、半数がいなくなったんですけど!?

「さすがは、最強と歌われるラナシード殿下」

 いつの間にか、リシアス王子がいて。

「この分なら、ここも大丈夫ですわね」

 リシウス王子の腕を抱き寄せるミラーセ姫の姿もあって。

 もういちゃいちゃですか!?

 変わり身の速さに、私、なんていうか、置いてけぼりなんですけど!!

 って、え?

 変なのがこっちに飛んでくる?

 小さいトカゲみたいなのが、こっち目がけてやってくるんですが!?

 トカゲ?

 トカゲってもしかして、あの、やっぱり……ドラゴン?

「きゃあああ、いやあああああ!!!」

 持ってる魔法、全部、ドラゴンにありったけぶつけましたとも。ぶつけました。

「サナっち、すごい……」

 いつの間にか侍女服のキッドもいたりする。いつの間に!?


 ぴろぴろぽーんっ!!

『サナはレベルアップした!!』

 お陰で、さっき減ったMPがあっという間に補充されました。

 レベルアップすると、MP補充されるのね、このゲーム。

 いやいや、それどころじゃないよ!


「キッド、大変大変!! 魔王軍が!!」

「うん、でも、さすがはライジングサンだね! ほら見て。そんなに時間経ってないのに、もう粗方やっつけちゃってる」

 キッドに言われて、指差された先を見ると、本当に、あと何体か倒したら終わりそうだ。

 は、はやっ!?

「一体、何が起きてるんだ!?」

 着替え終えたカインさんも駆けつけてきた。

「えっと、魔王軍がやってきて……」

「何だって!?」

「ラナ君達が……やっつけちゃった」

 話している間に、マジ、戦いは終わってしまった。


 けれど、戦いはそれだけじゃなかったんだ。

 殆ど無傷なライジングサンメンバーを迎えたと同時に、他国の使者が来たの。

「大変です! マーベリアが、マーベリアにも魔王軍が迫ってきてっ……!!」

「何だって!?」

 ラナ君もびっくりだ。

 幸いにも、アクアバランには来ていないらしい。

「こんなイベント、聞いたことがない……せっかく、サナに逢えたと思ったのに……」

「ラナ君、いってらっしゃい!」

「さ、サナぁ~!?」

 泣きそうなラナ君を見送るのは、私。

「だって、あの戦い見てたら、やっぱ、行くのはラナ君達がぴったりだと思うの」

「でもでもでもでもっ!! こっちにまた敵が来たら……」

 そんなラナ君の声を制したのは、セレさんだった。

「はいはい、そこはボクにお任せあれー! 最強結界しておくから。その代わり、ラナンの力、貸してね? その分、サナちゃんをばっちり守ってあげるから」

 にんまり笑うセレさんが、ちょっぴり小悪魔的に見えたのは、うん、気のせいだと思うよ。うん。

「だから」

「「いってらっしゃい♪」」

「さ、サナぁ~~!!」

「いい加減、諦めなさいよ、ラナン」

「サナの言い分も尤もだし」

「俺らが行くのが道理」

 ミスティさんに引きづられて、ラナ君はずるずると行ってしまった。

「さてっと、ラナンの魔石ももらってきたし、さくっと結界、張っちゃおうか?」

 とっても楽しげなセレさんと、私達は、最強の結界とやらをこの、ガルドラシスに張るために準備を始めたのだった。

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