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霊能力探偵(仮)  作者: 道化師
目次
9/11

玖 「死にたくない。死にたくない。死にたくねぇよ」


 金曜日。

 なんとか最後の力を振り絞って、僕と琥珀君は犯人と対峙していた。


「刑事ドラマ風にキメるつもりはないんで、単刀直入に言うぜ」


 犯人はドキッとしたに違いない。ほとんど要件だもん。


「お前だろ? 小鳥遊天を呪った奴は」


 琥珀君は指で犯人を指す。


「何を言ってるんだ?」


 小倉翼の声は震えていた。


「証拠だけ、見せるよ。僕には時間がないからね」


 僕は翼に財布を投げる。


「どこにあったんだよ?」

「病院。忘れて行ったのを覚えていたんだ」

「あの時は、お前の症状を見て、ビビってたからな」


 保健室の時も、そうだったんだろう。


「お前と瞳のプリクラを見ちまった時、気が付いたら抜いてた。プリクラを捨てた後、誰かに見つかったらって思ったら、怖くて捨てられなかった」


 やや長い沈黙。そして、決断。


「呪い返しのこと、図書館で話したよね?」

「おい、まさか。俺を殺すのかよ?」

「先に小鳥遊を殺そうとしたのは、テメェだろ」


 琥珀君が翼の胸倉を掴む。


「そんな、死ぬなんて思ってなかったんだ。だって呪いだぜ?」


 その弁明は予想内。


「そもそも、天が、俺に怪我させて……瞳も!」


 それも予想内だ。

 クラスの女子に聞いた話だけど、翼はずっと、あいつに片思いだったらしい。僕が憎くて憎くて仕方がないだろうな。


「悪いのは田所だ! 俺にこれを教えたのは、田所なんだ」

「関係ねぇよ」


 僕は動揺した。琥珀君は一蹴した。翼は泣き始めた。


 それを僕は、いい気持ちで見ることができなかった。


「死にたくない。死にたくない。死にたくねぇよ」


 支離滅裂な言い訳と訴え。だが、内容は全て理解できた。

 瞳のことも含めて、全て、予想内の動機。

 田所のことを除いて、全て、予想内の嘆き。


 なぜか心が揺れる。


 なぜか、心が揺れてしまう。


 どうしようもなく、同情する。


 胸が張り裂けそうに痛い。



「犯人の確認は終わったぜ。コイツには悪いが、帰るぞ」

「待ってくれないかな?」


 僕は、琥珀君の返事を待たずに、翼のそばにしゃがむ。


「お前は死なせない。瞳をよろしくね」

「お前、今、なんて?」


 僕に、その問いは届いてなかった。




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