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霊能力探偵(仮)  作者: 道化師
目次
3/11

参 「そうですね」

「二章が短い」

「急に喋るなよ! びっくりするから!」


 どうやら、シチュエーションは二章と同じみたいだ。

 翼が僕の見舞いで、僕は見舞われている。ただ、場所は保健室じゃない。もっとしっかりした場所だった。


「急に倒れるからびっくりしたぞ。そんで、急に起きられてびっくりしたぞ。それよりも、お前、頭大丈夫か?」

「勉強は君よりできる」

「急に倒れただろ? そっちだよ」


 頭痛がしてたのに帰ろうとしたから、また倒れたのか。

 そんな馬鹿な。さすがに倒れはしないだろ!


「お前、サッカーボールで頭を強打したの覚えてないんだな?」

「そっちか」

「どっちだよ」

「いやいや、待て待て待て」

「待ってるぞ?」

「サッカーボールに頭をぶつけたんだよな」

「ニュアンスは変だけどな」

「それで、病院?」


 そう。ここは病院。名前まではわからないけど、間違いなく病院の病室である。


「お前、いつからそんなに貧弱になったんだ?」

「僕もわからない。陸上部の一員として、普通に体育会系だと思っていたんだけどね」


 こんな僕と翼の中身のない会話は、神妙な顔のお医者さんの登場で打ち切りとなった。


「気分はどうだい?」

「悪いです。ガンですか」

「いや、違うよ」


 神妙な顔をしているから、ガンかと思ったのだけど、どうやらそうじゃないようだ。

 お医者さんは驚いたような顔をしているけど、ま、構わない。

 お医者さんは再び神妙な顔に戻って、翼に向かう。


「小鳥遊君と二人で、話をさせてもらえるかな?」

「あ、わかりました。じゃあな、また明日」

「じゃあな」


 短い挨拶を交わすと、翼は真っ白い部屋から出ていった。

 急いでいたみたいだ。あいつ、財布を置いて行った。

 完全に翼がいなくなると、お医者さんは神妙な顔で僕に質問を始めた。


「君には失神の癖はないかな?」

「ないです」

「虚弱体質かな」

「違います」

「以前に似たような経験は?」

「今日のお昼頃に一度だけ」

「今日のお昼頃に?」

「はい」


 それだけ聞くと、しばらく、お医者さんは神妙な顔でブツブツと呟き始めた。

 そして考えがまとまったのか、確認するように切り出した。


「サッカーボールが当たっただけで、気絶して病院だなんて、変だね」

「そうですね」

「これは、不思議だね」

「そうですね」

「まるで、魔法だね」

「そうですね」

「オカルトチックな症状だね」

「そうですね」

「まったく科学的じゃない」

「そうですね」


 これでは、完全に、平日のお昼の某テレビ番組だ。

 僕が一通り肯定すると、お医者さんは、嬉しそうに顔をほころばせてこう言った。


「きっと呪いだね」


 いや、違うでしょ。僕はその言葉を口にできなかった。

 だってあまりにも嬉しそうに笑うから、否定してはいけないような気がしたのだ。




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