魔法学園編①
魔法学園広ーい!
王都と、我がエルデシュタイン領との
ちょうど間にあるのが、この魔法学園のある街。
無駄にでかくて、
無駄に荘厳で、
無駄に“選ばれし者しか入れません感”を出してくる。
私は今日からヴィオラ様の付き添いでこの学園に同行。
優雅に歩くヴィオラ様と、
その横に一定の距離を完璧に保ちながら着いて行く
マッチョメイド護衛ことシンシア。
その後ろにヴィオラ様の荷物を持った私の構図。
学園生徒がヴィオラ様を見る目はほぼ二極化していた。
やべぇ!近づくな!
目が合ったら殺されるぞ!
という感じでさっさと逃げていく人達と
生徒会長よ!久しぶりの登園だわ!
なんと凛々しいお姿!憧れるゥゥ!
いつものお付きのメイドさんも素敵!
のどちらか。
なるほど。
取り巻きというのがなぜ
悪役令嬢の周りにいるのか。
今まで謎だったが、
ついに私はこの謎を理解した。
ーーーむっちゃくちゃ気持ちいい♡
他人の力で無敵になるなんて。
なんなら最強令嬢だけでなく
最強ゴリラマッチョまでいるのだ。
今の私に怖いものはない。
自分が強くなったと
勘違いして調子に乗る
悪役令嬢の取り巻きの気分が
痛いほどわかった。
ヴィオラ様は学園では会長と呼ばれていた。
「会長、おはようございます」
「......ごきげんよう」
声をかけてきたのはふわふわフリフリの
修道服を着た優しい雰囲気の女の子。
シンシアが私にそっと情報を耳打ちしてくれる。
「聖女マリベル様です」
「聖女!!」
光属性魔法というレアスキルを持つ彼女は
この国の教会の将来の聖女だそうで
平民出身でありながらこの魔法学園に通っている。
……ま、間違いない。この人。
主人公だ!!!
乙女ゲームの主人公だ!絶対そう!
まさか、うちの主はこの可愛い美少女を
いじめたりしないだろうな……?
「メイドさんもおはようございます」
「マリベル様おはようございます」
「あら、あなたは?新しいお付きの方かしら?」
この美少女はこんなスキル無しのゴミにまで
優しく語りかけてくれるのか。うん。もう好き。
「ごごごきげんようございます!ナミですん!」
盛大に噛んだ私を見て
「…ぷっ!」
と顔を逸らし肩を震わすゴリラメイド。くっ!こいつ!
「マリベルです。ぜひ仲良くなりたいですわ」
カワユス!カワユス!
天使はいたのね。この世も捨てたもんじゃない。
そこへ
「ちょっと!平民のくせに会長に近寄らないで!
取り入ろうと魂胆が見え見えですわ!」
これまたあきらかな三下貴族が絡んできた。
しかしヴィオラ様が
スっと目配せをした次の瞬間
シンシアが間に入る。
ゴリラマッチョメイドの無言の圧により
三下貴族はモブ全開のセリフを吐くのだ。
「くっ!上手く取り入ったようね!覚えてなさい!」
なんて痛快なんだ。ここまで見事な
ベタ展開が繰り広げられるとさすがに気持ちいい。
ーーーなんだ。
うちの主。
聖女の味方じゃないか。
全然悪役令嬢じゃない。
ヴィオラ様。
あなたのこと誤解してました。
ごめんね。
と、安心したのもつかの間。
「おい、平民」
ん?
聞き間違いかな?
うちの主が聖女のことを
平民って呼んだような?
まさかね。
「教会が日曜礼拝に来いとうるさいのですが
行かないと伝えておいてくださいまし。」
「はわわ!会長、私にはまだ教会に対して
そのような発言の権利は……!!」
「頼みましてよ」
「そんなぁ会長〜」
「ワタクシ、神に祈ったことはございませんの」
問答無用。
扇が口元を隠す。ピシッ!
この仕草は
あなたとの会話は終わりましてよ!の仕草。
半泣きになっている聖女を尻目に
ヴィオラ様は優雅に進む。
……悪役令嬢どころではなかった。
何だこの人は。
ラスボスか何かか。
ちなみにヴィオラ様は魔法が好きではないらしい。
学園では経済学や帝王学を学んでいるとのこと。
魔法苦手なのかな?
くく。意外と可愛いとこもあるんだね。
というわけで授業を受ける気がない会長は
教室には行かず生徒会室に直行する。
生徒会室に入ると、
中にいた人が直立不動する。
「おはようございます!会長!」
おっと。これまた絵に書いたようなイケメン。
シンシアの耳打ち。
「アルベルト第8王子殿下でございます」
「王子様!!!!」
まさかの王族。生徒会副会長をしているのが
この乙女ゲームの攻略対象のトップに
君臨してそうなお方。
さぞやモテモテハーレムを
築き上げているのかとおもいきや……。
「8番目。報告をさっさとしなさい。
指示されていて出来ていないことはありませんね?
書類は後でまとめて確認しますわ。」
「はいっ!」
何かしらの報告を会長に向けて
一生懸命している副会長様。
え、待って?
王子だよね?
絶対偉いよね?
学園では会長のが偉いの?
いや、何かもう、そういう問題でもないような…
ん?
待て。
8番目て、なんだ?
まさか
第8王子殿下の
"第8"のことを言ってるのか!?
おいおい。
なんて呼び方してやがる!
マジでやべぇなこの人!
聖女だろうが王子だろうが
このお方の前では一切関係なし。
改めて
私は傍観者であり続けようと誓う。
なるべく関わらなようにしよう。
うん。ほんとに。
「会長あと、新入生なのですが」
「召喚された勇者候補が1人来ます」
……!!
勇者候補!
まさかあの時の!?
「8番目。そんなものはあなたが対応しなさい。」
あー……
なんかほんと……
嫌な予感しかしないなー……。
波乱の魔法学園編が、はじまる……!
読んでいただきありがとうございます!
もし少しでも面白いな、
続きが気になるなと
思っていただけましたら
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