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転生少女と悪役令嬢②


「……で、今どこ向かってるんですか」


沈黙に耐えきれず、私は口を開いた。


「エルデシュタイン家のお屋敷でございます」

シンシアと呼ばれているメイドさん。


執事――セバスチャンが、穏やかに答える。

「王都から二つ先の街、

魔法学園都市を越えた先が我が領地です」


領地へ戻る侯爵令嬢を乗せた馬車。


その前を走るもうひとつの馬車に私は乗っている。

見張り?として執事とメイドが

こちらに同乗している。


「侯爵領、ですよね」

「よくご存じで」

少しだけ、感心したような声。

(オタクなめんな)

公・侯・伯・子・男。

この世界の爵位構造くらい、

テンプレ知識として頭に入ってる。


侯爵って、王族の次くらいのポジションだよね……

悪役令嬢としては、かなり“格”高い……


「ちなみに……」

恐る恐る、メイドを見る。

「その……私の事縛ったりしなくていいんですか」

「必要ないのでございます」 即答。


「……ですよね」

だって。縛るまでもなく、

変な動きした瞬間に“処理”されるのが分かる。


さっきちらっと見えたメイド服のスカートの下。

武器庫?ナイフ何本仕込んでんの!?

それはフリフリのスカートの下にナイフホルダーという

強者キャラのメイドさんのスタイル。


さらに。遠目に見るとわからないが、

よく見ると肩から腕にかけての盛り上り。


このメイドさん、ムキムキじゃん……。


女性ボディビルダーの大会で見たことあるやつだ。

仕上がってるよー!


「……メイドさん」

「シンシアでございます」

「シンシアさん、毎日鍛えられてます?」

「ヴィオラ様のボディガードは私でございます」

ですよねーーーーー!!


その直後。

馬車が止まる。

「魔物、でございます」

外が騒がしい。

「少々失礼」

シンシアが立ち上がり、外へ。

――数秒後。

「戻りましたでございます」


戻ってきたこのマッチョメイドは

服一つ乱れていない。


(秒殺……)


これ縛られてないの、逃げようとしても

秒で捉える自信があるからだ……


「お嬢さん」

セバスチャンが声をかける。

「怖がらせてしまったかな」

「……いえ、とても頼りになるボディガードさん」


執事だけは私に優しい。

私は眼鏡執事属性は特にないけれど、

目覚めてしまうかもしれないくらい

今優しくしてくれるのは唯一この人……


セバスチャンが馬をひく業者に一言。


魔物ごときで馬を止めるとヴィオラ様の

機嫌を損なうので止めないようにと。


やっぱり…怖いよう…




屋敷。

派手ではない。

けれど、空気が違う。


「従者は十名ほど」


セバスチャンが説明する。


「侯爵家としては少なめですが

現在侯爵、侯爵夫人ともに、

別邸にて病気療養中でして

そちらに従者が半分いる状態です。


今はヴィオラ様が領主代行として

ほぼ全ての権限を持っています。」


王都にいた人に暴君て呼ばれてたの聞こえてたかんね。



応接室。


「……」


ヴィオラ・エルデシュタイン侯爵令嬢。


やはりこの人は禍々しいオーラを纏っている。


正直、悪役令嬢どころじゃない。

もはやなんか全ての黒幕でしたくらいの

覇気を放っている。


「調査は終わりまして?」

「はい」

セバスチャンが一礼。

「今回20年ぶりに召喚された勇者候補、4名」

「3名は高位スキル保持が確認されて

城では連日歓迎の宴が施されています」


私だけさっさと追い出して、

みんなはよろしくやってるのね…。


「そして1人はスキル無し。

公には勇者候補3名召喚と発表されています」


ーーーわぁ、私なかったことにされてるー


「そう…まぁ…勇者候補なんてものには

大して興味はないのですけれど…」


あ、興味ないんだ?なんで連れてきた?


「多大な労力をかけて召喚した勇者候補は

強スキルを持って現れるのがこれまでの事例でした」


私はダメな方の記録を作ってしまったらしい。

ーーーどうも生まれてきてすいません…。


「それはゴミとして捨てるのは当然ですわね」


わーい、ゴミって言われたー♪



ヴィオラ様の目が細くなる。

「……しかし不自然ですわね」


だよね!?気になるよね!?


もしかしたら隠れたスキルがあるかもしれないよ?

大器晩成型でさ、あとで覚醒とかしちゃうかもだよ?


「選択肢を与えますわ」

「は、はいっ!」


「このまま、また捨てられて、野垂れ死ぬか」


扇が、閉じる。ピシッ!


「それとも――」


一拍。


「私の側使い(そばづかい)として、ここで働くか」


選択肢あるように見せて一択じゃん!!


「答えなさい」


私は、大きく息を吸って。


「……働きます」


「よろしい」


「指示されないことはしなくて良し。

ただし指示されたことは必ず実行しなさい」


……いちいち怖いな。


「とりあえず荷物持ちから励みなさい。よろしくて?」

「…はい!ありがとうございます!」


なんとか生き延びたようだ。

奴隷とかではないみたいで一安心…


あ、でも、これ、もしかして…


「侯爵令嬢に失礼ですわよあなた!ムキー!」

「おーほっほ!庶民は近づかないでくださいまし」


とか言ってる悪役令嬢の横にいる

1番最初にやられる取り巻きのポジションだ!


よーし、…最悪だ!


すでに破滅ルートに入っているようにしか見えないが

いーや、せっかく来た夢の異世界!

こんなフラグに負けるもんか!

絶対……生き延びてやんよ!


意外と冷静に状況を把握しているのは

生粋のオタクであるが故。



こうして……


ナミの異世界生活は始まったのである。




読んでいただきありがとうございます!


少しでも面白いな、

続きが気になるなと

思っていただけたら

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