【No.87】冬の黄色いキク科の花 キクタニギク他
以前、秋の七草のときに「秋は黄色い花が多い」みたいな話を書きましたが、今回は秋から冬に咲くキク科の黄色い花を。
キクタニギク(キク科)
Chrysanthemum lavandulifolium
キクタニギクです。
東北地方南部(岩手県以南)から関東・中部地方・近畿地方、九州北部に分布します。
茎の高さは数十cm程、花は直径2cm弱くらいでしょうか。樹林の林縁部の明るい場所で良くみかけます。
葉と花をみてわかるとおり、栽培種の家菊に近縁で、小さいながら大変品の良い花を咲かせます。前に秋の七草の所で書いた「秋に多い黄色の花」の代表選手のひとつ。花は10月頃から咲きますが、年を越しても咲いているのをよく見ます。良い香りがします。私としては冬の花のイメージがあります。
昔、田舎の実家の近くに小さなため池があり、良く犬を散歩させに行ったんですが、冬になるとこの花が沢山咲いていました。このほかにも、ムラサキシキブやツルウメモドキなんかが生えていましたから、正月は私が花材を取りに行って、玄関先に活けたりしていました。まあ、活けるといっても花瓶に放り込んでお終いですけど。
割とありふれた花だと思っていたのですが、調べてみると、環境省のレッドリストで準絶滅危惧(NT)になっていました。名前は、かつて京都にあった自生地の「菊渓川」という川の名前に由来するそうです。
◇
さて、冬に咲く黄色いキク科、他にもあります。
今度は海辺に咲く2種をご紹介しましょう。
ワダン(キク科)
Crepidiastrum platyphyllum
ワダンです。海辺の岩場などに生えます。分布は狭く、千葉・神奈川・静岡県と伊豆諸島だそうです。
キク科といっても、こちらはニガナに近い仲間。キク属Chrysanthemumとの違いは、キク属の花(頭状花序)が舌状花と筒状花でできているのに対し、ニガナの仲間は舌状花のみであること。
写真の個体は千葉県の鵜原という所で撮ったものです。普通は総苞片が明るい緑色なんですけど、この写真の個体は色が乗って黒に近い色になっており、花とのコントラストがきれいな個体でした。
「ワダン」という名前は、海を意味する「わだつみ」と「菜」から来ているそうです。
「わだつみ菜」→「わだ菜」→「ワダン」
みたいな感じでしょうか。知らんけど。
葉っぱは厚くていかにも食べられそうですが、実は苦くて食べられないそうです。
これの仲間でもうひとつ。ワダンをだいぶ小さくした感じ。
アゼトウナ(キク科)
これは伊豆の爪木崎で撮影したもの。
花の直径は1cmくらい。潮風を避けるようにして岩にはりついて育つので、高さは5cmないくらいでした。ワダンに比べると花も少なくだいぶ地味ですが、それでも冬の日差しを受けて咲いている姿はなかなかいいものです。
◇
「あてどない植物記」、今年はこれで終了です。
年が明けたらまたお会いしましょう。
皆さま、良いお年を。




