【No.85】シリーズ可哀そうな名前⑤ 違うそうじゃない クサレダマ
クサレダマ(サクラソウ科)
Lysimachia davurica
クサレダマです。
山地の明るい湿地等に生えます。背丈は数十cmほど。夏に写真のような明るい黄色の小花が穂になって咲きます。なかなかきれいなものです。その明るい黄色から「硫黄草」の別名もあります。
匂いは、特にありません。腐ったような臭いも、硫黄の臭いもしません。
「じゃあ、なんで『腐れ玉』なんて名前がついてるんだよ?」
それ、誤解なんです。
クサレダマを漢字で書くと「草連玉」。別に腐った臭いがするわけじゃない。
「連玉」というのはマメ科の低木で、鮮やかな黄色の花が咲きます(ああ写真がない)。同じマメ科の低木のエニシダに良く似ていますが(ああすみませんこれも写真がない)、それに似た黄色い花が咲くから「草連玉」。
<クサレダマの花>
実は生物の和名というのは、学術的に扱う場合はカタカナ書きにするという決まりがあり、そのため普通に植物の名前を表記する場合も、慣習的にカタカナ書きにされます。ところがそうなると、元の漢字がわかりませんから、場合によってはこういう誤解が生じてしまう。
そういう訳で、「腐れ玉」ではなく、「草連玉」が正解です。
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クサレダマの属名はリシマキア。グラウンドカバーなんかに使われる園芸植物のリシマキアと同じ仲間です。そういえばあれも黄色い花。
日本に自生するリシマキア属、実は結構沢山あるんですが、一番身近なのはこれでしょう。コナスビ。
コナスビ(サクラソウ科)
Lysimachia japonica
路傍や畑の脇なんかに良く生えていて、茎は地面を這って伸びます。花はやっぱり黄色で、1cmないくらいの小さなものですが、背丈が低いので花が結構目立ちます。和名は実がナスに似ていることから来ているらしいのですが、丸い小さな緑色の実で、大きさも色も形も、ナスを思わせる所は特にないように思うのですが。
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それにしても。
黄色い花を例えるにしたって、もうちょっと別なものにしておけば良かったのにねえ。
こんなきれいな花を咲かせるのに、
可哀想じゃないですか。




