【No.79】海岸の岩場に咲く ハマギクとイソギク
ハマギク(キク科)
Nipponanthemum nipponicum
ハマギクです。青森県から茨城県の太平洋側の海岸の岩場などに生えます。
属名のNipponanthemumは「日本のキク」という意味。その名の通り、一属一種の日本特産種です。
この花の一番の特徴は、何といっても花が大きいこと。直径6cmの花は、日本の野菊の中で文句なしの最大の花。生育環境は、海が迫る海岸の岩場や崖など。ちょっと近寄りがたい場所に、単独で群落を作って生えます。この人を寄せ付けないかのような雰囲気とは裏腹に、栽培は容易で、昔から育てられていました。栽培すると、分枝してこんもりとした丸い姿になります。
葉は海岸の植物らしくつやがあります。茎は固くなり、小さな樹木のようです。上の写真では姿がわかりづらい所があると思うので、植物園で撮った写真を下に掲載します。
<ハマギクの姿>
ハマギクは、その花の大きさから、園芸種の交配にも利用されます。ハマギクとフランスギクを交配したものがシャスターデイジーと呼ばれ、フランスギクのように背が高く、ハマギクのように大きな白い花を咲かせます。
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海岸の岩場に咲くキク、もう一種あります。イソギクです。
イソギク(キク科)
Chrysanthemum pacificum
こちらは筒状花のみで、花びら状の舌状花がありません。
それでも多くの花が固まって咲くので、これもなかなか美しい。
そして、姿がいい。海岸の岩場に群生するとこんな感じに。
<イソギクの群生>
ハマギクのような華やかさはありませんが、私は結構好きですね、イソギク。
イソギクは、こんな姿をしていますが、実は栽培されるキクと同じクリサンセマム属。意外と近縁です。なので、時々、栽培ギクと自然交雑して、こんなやつが出来ることがあります。
<ハナイソギク>
イソギクと違って舌状花があります。また、葉にも栽培ギクの影響が感じられます。
でも、美しさや品の良さでは、私はやっぱりイソギクの方が上かな、と思います。
秋から冬の厳しい潮風に吹かれながら咲く、2種の野菊の話でした。




