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あてどない植物記  作者: 蘭鍾馗


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【No.78】シリーズ可哀そうな名前④ ハキダメギク

「掃き溜めに鶴」という言葉がありますけど、これは「掃き溜めに菊」。

 ハキダメギクです。


ハキダメギク(キク科)

Galinsoga quadriradiata

挿絵(By みてみん)


 まあ地味にひどい名前なんですけど、これ前回のママコノシリヌグイと同じく、命名者はNHKの朝ドラ「らんまん」のモデルになった牧野富太郎博士。この人、命名に関しては結構容赦がありません。で、なんでハキダメギクなのかというと、最初に発見したのが世田谷某所の掃きだめだったんだそうです。そのまんまかい。


 このハキダメギク、熱帯アメリカ原産の外来種です。生えている場所は、道端とかちょっとした空き地の隅っことか。生えてる所には固まって生えていますが、同じ外来種でも、セイタカアワダチソウみたいに大群落になったりはしないようです。大きさは10~20cmくらいかな。図鑑をみると「15~40cm」とか書いてありますが、私は40cmの個体は見たことありません。

 ハキダメギクの花期は6~11月と長い。まず茎のてっぺんに一つ花を咲かせると、その後脇芽を出して茎を分岐させながら、長い期間にわたって咲くようです。花は写真のとおり。中心に黄色い筒状花があって、その周りを5つの舌状花が取り囲む。キク科の標準的な花のつくりです。直径は数mmくらい。小さいけれどもなかなか可愛い花です。舌状花の端がギザギザに3つに割れているのがチャームポイント。葉と茎は結構毛むくじゃら。


<花の拡大>

挿絵(By みてみん)


 これ、掌に乗るくらいの小さな鉢に植えて丈を詰めて咲かせると、なかなか悪くないかも知れません。大きくなると、只の雑草にしか見えなくなりますからね。


 ◇


 ハキダメギク、外来の雑草ではありますが、在来種を押しのけて大繁殖するほどの力はないようで、いつの間にか庭の隅に入り込んで咲いている、といった感じの控えめな存在。


 庭で見つけたら、抜く前にちょっと観察してみてください。

 意外と可愛いですよ、ハキダメギク。

 こんな名前をつけたら、可哀想じゃないですか。


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