表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あてどない植物記  作者: 蘭鍾馗


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

80/95

【No.71】シリーズ可哀そうな名前③ ママコノシリヌグイ

 このシリーズも3つ目になるんですが、今回のが多分最悪の名前。

 汚い、痛い、差別的。これを超える名前はちょっとないでしょう。


ママコノシリヌグイ(タデ科)

Persicaria senticosa

挿絵(By みてみん)


「継子の尻拭い」ですよ。


 意地の悪い継母が言うわけです。「お前の汚い尻なんか、その棘だらけの草ででも拭いときな。」って。

 うわー痛そう。

 上の写真をよく見るとわかりますけど、右側に写っている茎には、下向きの小さいけれども鋭い棘がある。良く見ると葉柄にも棘がある。これで尻なんか拭いた日には、肛門周りが血だらけになります。


 このママコノシリヌグイ、湿地のヨシ原の中なんかに生えます。茎は長いんですが自立できないので、傍に生えてるヨシの茎なんかに凭れるようにして成長します。その時に、ヨシの茎にひっかかりやすいように、下向きの短い棘が生えています。以前に出てきたタチスミレなんかと戦略は同じ。タチスミレは単に長い茎でヨシによりかかるだけですが、こいつらは棘でひっかけて、より確実にヨシの茎に自らを固定しようとする。

 タデ科にはこういう戦略の種が他にもいくつかあります。イシミカワ、サデクサ、ウナギツカミなんかがそうです。どれもヨシ原等、湿った高茎草地の中に生えます。で、どれも茎に下向きの鋭い棘がある。


イシミカワ(タデ科)

Persicaria perfoliata

挿絵(By みてみん)


 上の写真はイシミカワ。ヨシ原の調査なんかでこれに良くからまれます。痛いんですこれが。

 ちなみに、写真の下に写っている青いものは実です。この青い実、実は花弁が大きく厚くなって種を包んだもの。花が受粉すると花弁が閉じて肥大し、青い色がついて果肉のようになるという、面白い実のできかたをします。


 ◇



 さて一方、同じ湿地でも、背の低い草が生える明るいところに生えるミゾソバなんかは、茎に棘がありません。そもそも背も低いので、ちゃんと自分の茎で自立して花を咲かせます。


ミゾソバ(タデ科)

Persicaria thunbergii

挿絵(By みてみん)


 これ、田んぼの脇の水路や放棄水田なんかでよく見かけます。花は金平糖みたいで結構きれい。

 ママコノシリヌグイも、花はこれより小さくて地味ですが、色はミゾソバと変わらないきれいなピンク色。いくら棘があるからって、「ママコノシリヌグイ」という名前はちょっと………


 可哀想じゃないですか。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
こんな鮮やかな「青い実」って、珍しいな、と。痛いのは遠慮したいですが、ちょっと現物を見てみたい、とは思いました。 可哀そうな名前③は、他の植物のフォローとかなんかしていて付けられた名前かな?とか思った…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ