【No.69】秋の七草+1 その7 オミナエシ
オミナエシ(オミナエシ科)
Patrinia scabiosifolia
オミナエシです。
秋に咲く花は、リンドウやキキョウの青紫、ヤマハギやカワラナデシコの赤紫、アキノキリンソウの黄色、コウリンカのオレンジ、センブリの白といった具合に結構色とりどりなのですが、秋の七草を並べてみると、どうも紫系に偏っているような気がする。
紫系の花を挙げてみると、
・青紫:キキョウ
・赤紫:クズ、カワラナデシコ、ハギ
・淡紫:フジバカマ
といった感じ。で、残りが、
・黄褐色:ススキ
・黄色:オミナエシ
となります。秋に結構よく目にするはずの黄色の花は、オミナエシだけ。
アキノキリンソウとかツワブキとかキンミズヒキとかシマカンギクとか、秋咲きの黄色い花は他にも沢山あるんですが、秋の七草に入れてもらえたのはオミナエシだけ。
まあ、秋といえば紫のイメージ、というのもなんとなくわかりますが。
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ところで、「オミナエシ」という名の由来。
調べると、有力な説は2つあるようです。
①「女」+「圧」=美女を圧倒するほど美しい花。
②「女」+「べし(推量の意)」=女らしい花。
個人的には、①は褒めすぎ。②くらいがいいかなと思いますが。
まあしかし、美しい花であること、女性的なイメージがあることは確かです。
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ところが。
話をややこしくする、オミナエシに近縁の花があります。オトコエシです。
オトコエシ(スイカズラ科)
Patrinia villosa
見ての通り、「白いオミナエシ」みたいな花。
これについては、粟飯のような黄色い花が咲く方を「女飯」と呼び、一方の糯米のおこわような白い花が咲く方を「男飯」と呼び、それが訛って「オミナエシ」「オトコエシ」になった、という説があります。
これもある程度は説得力があるような気がしますが、粟飯を「女飯」、おこわを「男飯」と呼んだ、なんて話は、このオミナエシの語源の話以外ではどうも聞いたことがない。
という訳で、私としては一番無難な「女らしい花」説を採用しときます。とりあえず。
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秋の七草、草刈り等で維持される半自然の草地に咲く花が多いのですが、オミナエシもそう。そして、例にもれず、半自然草地の減少により絶滅の危機にあります。昔はありふれた花だったのでしょうが、今やキキョウと並んで、人里近くでめったに見かけない花になりました。
それに比べると、オトコエシは山地の林縁や草地で、今でもそれなりに見かける花です。
ただ、オミナエシに比べるとだいぶ地味です。群生することも少なく、単独で咲いていると、オミナエシ程の華やかな感じには乏しい。こういうのを「華がない」と言うんですかねえ。
オミナエシの花言葉は「美人」「儚い恋」
そして何故か「親切」。
ちなみにオトコエシの花言葉は「野性味」「慎重」「賢明」だそうです。
オミナエシの話でした。




