【No.64】秋の七草+1 その2 ワレモコウ
活動報告のところでも書きましたけど、ワレモコウ、秋の七草じゃありませんでした。
謹んでお詫び申し上げるとともに、タイトルをちょっと訂正。
では、気を取り直して。
その2は、ワレモコウ。
ワレモコウ(バラ科)
Sanguisorba officinalis
地味です。
なにせ、花の色が黒紫。
こういうの、前に一度出てきましたよね。そう、ミツバアケビ。
ただ、ミツバアケビは真っ黒に近かったんですが、これは濃いエビ茶色みたいな感じ。
まあ、それでも地味。
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「バラ科」っていうのも、ちょっと意外。
花は花弁がなくて、4枚の萼片があるだけ。5枚花弁がデフォルトのバラ科ではちょっと異色です。
花を拡大すると、こんな。
<ワレモコウの花の拡大>
ワレモコウの黒い花は、小さな花が集まった「花序」であることがわかります。
真ん中あたりにある、ちょっと白っぽい花が開花中の花。その上にあるのは開花が終了した花で、つぼみは下のほうにあります。ということは、この花序は、普通とは逆に上から順番に咲いていくようです。
開花中の花と終わった花の色が違う、ということは、以前に「【Intermission】色が変わる花」でやった「終わった花を目立たなくする」というやつかも知れません。が、それにしては変化小さすぎ。
もっとも、虫の目からは違って見えるのかも知れませんが。
名前の由来や意味については、諸説あるようですが、良くわかりません。
漢字で書くと「吾亦紅」。意味を直訳すると「私もまた赤い」。
よくわかりませんよねえ。
でも、そんなことはお構いなしに、ワレモコウは秋の草地で、この小さな地味な花を風に揺らしています。その姿は地味だけれども確かに品がよく、秋を感じさせます。
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ワレモコウが生えるのは、草刈りで維持されるような半自然の草地。最近だと、河川の堤防の草地なんかで良く見かけます。性質は強く、草刈り頻度等の管理が生活史に合致していれば、結構なペースで増えて、株も大きくなります。以前、仕事のからみで大学の草地学の先生が管理している圃場を見せてもらったことがあるのですが、そこで育てられている野草の中では「ワレモコウが一番強い」と言われていたのを思い出しました。
でも、草刈りで維持される半自然の草地が減っている昨今、残念ながら見る機会が減っている草花の一つに数えられます。
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ところで、ワレモコウには近縁種があります。その名も「ナガボノワレモコウ」。
御覧の通り、穂が長い。穂の形も、樽型のワレモコウに対して、ナガバノワレモコウは円筒形。
あと、花色も少し明るいかな。ワレモコウよりも湿った草地に生えます。
ナガボノワレモコウ(バラ科)
Sanguisorba tenuifolia
この花、白花の個体もあります。以前はそれぞれ「ナガボノアカワレモコウ」、「ナガバノシロワレモコウ」と呼ばれて別扱いでしたが、最近は同種とされているようです。
<ナガボノワレモコウ(白花)>
花言葉は、「変化」「物思い」「移ろい」などだそうです。




